交通事故慰謝料の
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更新日:
新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
この記事では、交通事故でむちうちになった場合の慰謝料について解説しています。
むちうちの慰謝料額は加害者側との示談交渉で決まりますが、このとき提示される金額は相場よりも低いことが多いため、鵜呑みにすると損をしてしまいます。
この記事で適切な慰謝料額や、相場よりもさらに増額できるケース、慰謝料請求での注意点について知り、十分な金額の獲得を目指しましょう。
お得に弁護士相談・依頼ができる方法も紹介しているので、記事を読んで必要だと感じた場合には、ぜひご利用ください。
注意
加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りを受けた方。
そのまま治療を終了してしまうと、その分、慰謝料額も減ってしまう可能性があります。慰謝料請求に入る前に、一度弁護士にご相談ください。
目次
まずは、むちうちで通院した場合に請求できる「入通院慰謝料」と、しびれや痛みが後遺障害として残った場合に請求できる「後遺障害慰謝料」について解説していきます。
交通事故でむちうちになった場合には、他にも請求できる損害賠償金があるので、その内訳も合わせて紹介します。
入通院慰謝料とは、交通事故による入院や通院で生じた精神的苦痛を補償するものです。
具体的には、次のような精神的苦痛を補償します。
入通院慰謝料は、1日でも通院したのであれば請求できます。
後遺障害慰謝料とは、交通事故による怪我が完治せず後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償のことです。
具体的には、次のような精神的苦痛を補償します。
後遺障害慰謝料は、原則として交通事故による後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されれば請求できます。後遺障害等級の認定を受ける方法は、『後遺障害認定の手続きはどうすればいい?具体的な申請方法と認定のポイント』をご覧ください。
交通事故でむちうちになった場合、加害者側にはほかにも以下の損害賠償金を請求できます。
ポイント
むちうちで請求できる慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料がある。
続いて、むちうちの慰謝料額とその計算方法を見ていきましょう。
計算方法よりも先に慰謝料額の相場を知りたい場合には、こちらの慰謝料計算機を使ってください。
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料のほか、後遺障害逸失利益もわかります。
ただし、この計算機でわかるのは「弁護士基準」に基づく相場金額です。弁護士基準については後程解説します。
あくまでも機械的に計算した金額なので、より状況に即した正確な慰謝料相場を知りたい場合は、弁護士にご相談ください。
交通事故の慰謝料計算では、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3種類の基準を用いるので、まずはこれらを理解しておきましょう。
自賠責基準 | 交通事故被害者に補償される、最低金額の計算基準。 |
任意保険基準 | 示談交渉で加害者側が提示してくる金額の計算基準。 自賠責基準の金額とほぼ同等。 |
弁護士基準 | 過去の裁判例をもとにした相場金額の計算基準。 任意保険会社の金額の2倍~3倍。 裁判基準とも呼ばれる。 |
示談交渉をする際は、少なくとも弁護士基準の計算方法・金額は把握しておきましょう。
加害者側の任意保険会社の提示額が正当か、どれくらい増額の余地があるかを判断するために必要です。(関連記事:『弁護士基準で慰謝料はいくら増額する?』)
ここからは、各基準での慰謝料の計算方法・計算例を紹介していきますが、任意保険基準は各保険会社が独自に設定しており非公開です。
金額は自賠責基準とあまり変わらないため、目安にしてみてください。
入通院慰謝料は、自賠責基準の場合は計算式で、弁護士基準の場合は表を用いて金額を算定します。
むちうちで2ヵ月半通院した場合(実通院日数は20日とします)をモデルケースとして、実際に数字を当てはめた計算例も解説します。
自賠責基準の場合、入通院日数は次の計算式で算定します。
4300円*×入通院期間(*令和2年3月31日以前の交通事故に対しては4200円)
入通院期間は、次のうち少ない方を採用
「入院日数+通院期間」を計算する場合は、通院期間の起算日と終了日に気を付けてください。
通院期間の考え方
通院期間の開始日
通院期間の最終日
通院期間の例
では実際に、むちうちで2ヵ月半通院した場合(実通院日数は20日)を想定して、入通院慰謝料を計算してみましょう。
つづいて、弁護士基準での入通院慰謝料の計算方法です。
弁護士基準では、入通院慰謝料算定表という表を用いて金額を算定します。
表には軽傷用と重傷用がありますが、むちうちであれば軽傷用を用います。軽傷用の表は次の通りです。
では実際に、むちうちで2ヵ月半通院した場合(実通院日数は20日)の入通院慰謝料を計算してみましょう。
入通院慰謝料の計算方法の仕組みがさらに詳しくわかるこちらの記事『交通事故の慰謝料|計算シート』もおすすめです。
次は、後遺障害慰謝料の金額を見ていきましょう。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて決まっています。
むちうちの後遺症に対して認定される、12級13号もしくは14級9号の慰謝料額は以下の通りです。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級 | 94 (93) | 290 |
14級 | 32 | 110 |
単位:万円
()は令和2年(2020年)3月31日以前の交通事故の場合
両基準を比較すると、14級では32万円と110万円で100万円近く、12級に至っては94万円(93万円)と290万円で200万円近くも差があるのです。
加害者側の任意保険会社の提示額は自賠責基準とほぼ同程度と考えらえるため、示談交渉でしっかりと増額を主張していかなければ、損をすることになります。
後遺障害12級については『後遺障害12級|慰謝料相場は290万円!』、後遺障害14級については『後遺障害慰謝料|14級は110万円!』の記事でも詳しく解説しています。
ポイント
交通事故の慰謝料には3つの算定基準がある。加害者側の任意保険会社が提示してくる金額(任意保険基準)は最低限の金額(自賠責基準)とほぼ同等で低額。
過去の判例に基づく金額(弁護士基準)は任意保険基準よりも大幅に高額。
むちうちの入通院慰謝料・後遺障害慰謝料の計算方法について説明してきましたが、上記の方法でわかる金額はあくまでも一般的なものです。
実際には事情を考慮して慰謝料が増額されたり、減額されたりすることもあります。そこでここからは、むちうちの慰謝料が増額・減額されるケースを紹介していきます。
該当するものがある場合には、弁護士により詳しく話を聞くことがおすすめです。
ここで紹介するケース以外でも慰謝料が増額・減額されることはあるため、心当たりがある場合は弁護士に相談してみてください。
むちうちで入通院慰謝料や後遺障害慰謝料が増額されるケースには、次のものがあります。
それぞれのケースについて、さらに詳しく解説していきます。
加害者が故意に交通事故を起こした場合や、重過失があった場合には、慰謝料を増額させられる可能性があります。
重過失には、具体的に次のものがあります。
交通事故後、加害者に反省の色が見えず、被害者を挑発してくる場合や、加害者の事故対応が悪かったために怪我が悪化した場合には、慰謝料が増額される可能性があります。
上記のように、入通院中に特に大きな精神的苦痛が生たと考えられる場合には、慰謝料が増額される可能性があります。
むちうちによる入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、次の場合には減額されてしまいます。
過失割合も素因減額も専門的な用語なので、詳しく解説していきます。
過失割合とは、交通事故が発生した責任が加害者と被害者それぞれにどれくらいあるかを示したもので、示談交渉で決められます。
被害者側にも過失割合がつくと、その割合分、慰謝料や損害賠償金が減額されてしまいます。被害者に2割の過失割合が付いた場合、慰謝料・損害賠償額が2割減らされてしまうのです。
追突事故のようなもらい事故を除けば、たとえ被害者でも多少の過失割合が付くことは多いです。
ただし、示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示してくる過失割合は、適正であるとは言い切れません。しかし、正しい過失割合を被害者自身で算定するのは難しいので、一度弁護士に相談することが大切です。
素因減額とは、被害者がもともと持っていた「素因」も、交通事故による被害に影響したとして、慰謝料や損害賠償金を減額することです。
素因減額には身体的素因減額と心因的素因減額があり、次のような場合に適用されます。
上記のように、生じた損害額を全て加害者が補償するのは不公平であると判断される場合、素因減額が適用されます。
以下の引用は、素因減額が適用された事例です。
(略)原告B1に脊髄の圧迫による神経症状が発生したこと(略)重篤なものとなったことについては、原告B1に本件事故前から広範囲にわたる脊柱管狭窄(略)等の既往があったことが大きく影響しているものと認められるから(略)40%の素因減額をするのが相当である。
東京地方裁判所 平成26年(ワ)第30124号
素因減額については、「それは本当に素因として認められるのか」という点が加害者側と争われやすいです。
たとえ加害者側の任意保険会社が素因減額を主張してきても、弁護士の視点から見れば素因減額には当たらないこともあります。
ポイント
交通事故の慰謝料は、事情に応じて増額・減額されることもある。
ただし、本当に増額・減額されるか、どの程度増額・減額されるかは示談交渉次第。
次は実際にどのように慰謝料を請求していくのか見ていきましょう。
交通事故の慰謝料は、次の流れで請求していきます。
示談交渉は通常、電話やFAXを通して行われます。特に大きくもめることがなければ、1~2ヵ月程度で合意に至れることが多いですが、それ以上交渉が長引くこともあります。
被害者自身で示談交渉を始めてみて、なかなか主張が通らないようであれば途中から弁護士を立てることも可能です。
ただし、正当な慰謝料額・過失割合については、事前に弁護士の見解を確認しておいた方が良いでしょう。
ここからは、安心して慰謝料請求に臨めるよう、4つの注意点と対策を紹介していきます。
後遺障害等級認定の審査は、納得のいかない結果になることも少なくありません。
審査は基本的に書類のみを通して行われるのですが、むちうちによる神経系統の後遺症はレントゲン写真やMRI画像に異常が写らないことが多いからです。
後遺障害等級認定の結果は後遺障害慰謝料の金額に大きく影響するため、対策を練る必要があります。
むちうちで後遺障害等級認定を受ける場合には、次の点を意識しましょう。
上記3点については、担当医にアドバイスを求めれば良いとは限りません。医師は医学の専門家ですが、後遺障害等級認定には詳しくないこともあるからです。
たとえば、医師の立場から見て必要な神経学的検査と、後遺障害認定の観点から見て必要な神経学的検査は違う場合があるのです。
そのため、後遺障害等級認定の対策については、医師だけではなく弁護士にも相談することがポイントです。
被害者が持つ損害賠償請求権には消滅時効があります。
むちうちの場合は人身事故として扱われるため、損害賠償請求権の消滅時効は次の通りです。
怪我のみ | 事故日から5年 |
後遺障害あり | 症状固定日から5年 |
いずれも、2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合
特に滞りなく示談交渉が進めば問題になるような期間ではありませんが、何らかの事情で示談成立が大幅に遅れると、時効に間に合わない可能性があります。
損害賠償請求権の消滅時効は成立を阻止できるため、時効までに示談が成立しそうになければ弁護士に相談しましょう。
初めから示談交渉を弁護士に依頼しておけば、被害者自身で交渉に臨むよりもスムーズに合意に至りやすいため、あらかじめ弁護士を立てておくことも対策としておすすめです。
加害者側の任意保険会社が示談交渉で提示してくる金額は非常に低額なので、十分な金額を得るためには増額交渉が必要です。
しかし、被害者がいくら増額を求めても、満足いくほどの金額になる可能性は低いです。
被害者は加害者側の任意保険会社よりも慰謝料に関する知識が浅く、示談交渉の経験も少ないため、どうしても交渉で不利になってしまうのです。
示談交渉で十分な慰謝料額を獲得するためには、弁護士を立てることが重要です。
弁護士なら法律の専門家であり、示談交渉のプロでもあるため、被害者側の主張が通りやすくなります。
示談交渉初期から弁護士を立てるとより効果的ですが、初めは自分で交渉にあたってみて、途中で必要性を感じれば弁護士を立てることも可能です。
示談交渉の際、加害者側の任意保険会社の態度はあまり良いくないことが多いです。
高圧的だったり、被害者の話をきちんと聞かなかったり、専門用語を多用してどんどん交渉を進めていったりすることは珍しくありません。そのため委縮してしまったり、ストレスを感じたりする被害者もいます。
中には心無い言葉をかけられるケースもあるため、自分で示談交渉をする場合には心の準備をしておいた方が良いでしょう。
加害者側の任意保険会社が良くない態度をとるのは、交渉の主導権を握るための作戦の1つで、委縮したり腹を立てたりしては加害者側の思うつぼです。
できる限り冷静に対応することが望ましいですが、強いストレスを感じる場合には弁護士に相談してください。
弁護士を立てるか検討する際にネックとなりがちなのが、相談・依頼にかかるお金です。
確かに弁護士費用は安くはありませんが、負担を減らす方法が2つあります。どんな方でもどちらか1つは実践できるので、しっかり確認していきましょう。
弁護士費用特約とは、被害者自身が加入する任意保険に弁護士費用を負担してもらえる制度です。
負担してもらえる金額には上限がありますが、弁護士費用が上限内に収まり、実質無料で弁護士に相談・依頼できる場合もあります。
弁護士費用特約は任意保険のオプションですが、被害者本人の任意保険についていなくても、家族の任意保険についていれば使える場合があります。
弁護士費用特約を利用しても保険の等級が下がることはないため、安心してご利用ください。
弁護士費用特約の関連記事
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了