交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故で骨折の怪我を負って入院した場合、慰謝料をどれくらい払ってもらえるのでしょう?
退院後の安静期間の取扱いも含めて調査してみました。
先生!わたし、骨折の慰謝料の交渉を自力でやってみます!
残念ながら、保険会社は被害者本人に対しては、大幅に低い基準の慰謝料しか払おうとしないんだ。弁護士を通して交渉するだけで、相場水準に近い交渉ができるようになるんだけどね。
弁護士を通すだけでですか、やっぱり依頼することにします!
交通事故被害者が骨折の怪我で入院した場合、被害者本人だけで加害者側保険会社に賠償金を請求すると、かなり低い基準で慰謝料を提示されるらしいです。
このことは弁護士業界では常識ですが、一般の人達にはまだ十分知られているとはいえないようです。保険会社は、できる限り保険金の支払いを少なくして収益を上げるために、弁護士をつけない被害者本人には慰謝料を低く提示するマニュアルで動いているのだそうです。
一般的に、入院慰謝料は入院期間に応じて一定の慰謝料相場が決まっているようですが、下の表にあるように、保険会社が提示する金額とはかなり大きな開きがあるのが分かりますね。
慰謝料の増額幅が大きい場合には、弁護士費用を払っても、自分で交渉するより手取りが増えることも少なくないとのことです。
最近は自分の自動車保険に弁護士費用特約がついている場合があり、弁護士費用を保険会社に負担してもらえることも多いようなので、弁護士へ相談することを検討する必要がありそうです。
(まとめ表)
入院慰謝料の計算方法(万円) |
|||||
経過月数 |
慰謝料相場 |
任意保険基準との差額 |
経過月数 |
慰謝料相場 |
任意保険基準との差額 |
1月 |
53 |
+27..8 |
8月 |
284 |
+131.5 |
2月 |
101 |
+50.6 |
9月 |
297 |
+134.5 |
3月 |
145 |
+69.4 |
10月 |
306 |
+135.9 |
4月 |
184 |
+88.2 |
11月 |
314 |
+136.3 |
5月 |
217 |
+103.6 |
12月 |
321 |
+137 |
6月 |
244 |
+115.5 |
13月 |
328 |
+139 |
7月 |
266 |
+124.9 |
14月 |
334 |
+141.2 |
入院慰謝料の計算方法(万円) |
||
経過月数 |
慰謝料相場 |
任意保険基準との差額 |
1月 |
53 |
+27..8 |
2月 |
101 |
+50.6 |
3月 |
145 |
+69.4 |
4月 |
184 |
+88.2 |
5月 |
217 |
+103.6 |
6月 |
244 |
+115.5 |
7月 |
266 |
+124.9 |
8月 |
284 |
+131.5 |
9月 |
297 |
+134.5 |
10月 |
306 |
+135.9 |
11月 |
314 |
+136.3 |
12月 |
321 |
+137 |
13月 |
328 |
+139 |
14月 |
334 |
+141.2 |
(旧任意保険支払基準を参照)
主治医の先生から、ギプスはまだ外せないけど、退院して自宅で療養するよう指示された場合、慰謝料は減ってしまいますか?
退院した後であっても、自宅療養でのギプス固定期間中は、入院期間と同視して慰謝料の算定対象にしてもらえることがあるよ。
よかった、安心して退院できますね。
交通事故で骨折の怪我を負って入院した場合、骨折した箇所をギプスで固定する処置がされることが多いです。病院によっては、入院を早めに切り上げて、あとはギプス固定を継続しながら自宅療養を指示することも少なくありません。
通常、入院慰謝料は、実際に病院に入院していた期間を基準にして金額が計算されますが、ギプス固定を伴う自宅療養の期間中は、入院期間と同視して慰謝料の算定の対象としてもらえることがあるそうです。
たとえば、全治入院6ヶ月の骨折の怪我を負った被害者が、実際は4ヶ月間で退院し、残り2ヶ月のギプス固定期間を自宅で療養していた場合を紹介してもらえました。
慰謝料相場としては入院4ヶ月分の184万円ですが、ギプス固定期間を入院期間とみてもらえる余地もあるので、実際の慰謝料額は184~244万円の範囲で、裁判所が怪我の部位や程度を考慮して認めてもらえることになるとのこと。
このような場合、弁護士に依頼せずに被害者本人だけで保険会社と交渉しても、入院4ヶ月分に対応する任意保険基準の95.8万円の慰謝料しか払ってもらえないというから、その差は歴然としています。
(まとめ表)
入院期間 |
慰謝料相場 |
請求できる慰謝料額 |
|
怪我の内容 |
全治入院6ヶ月 |
244万円 |
184万円~244万円の範囲で決定 |
実際の入院 |
入院4ヶ月 |
184万円 |
|
保険会社からの提示額 |
95.8万円(入院4ヶ月分) |
先生!同じ入院期間でも、1ヶ所骨折している場合と、3ヶ所骨折している場合の慰謝料が同じなんておかしくないですか!?
たしかにおかしいね。3ヶ所も骨折している場合には、入院期間に対応する慰謝料額から増額してもらえる可能性があるよ。
ちゃんと考えてくれるんですね。よかった。
交通事故被害者が骨折で入院した場合、慰謝料は入院期間だけで一律に計算されるのでしょうか?どうやら、骨折の内容によっては、慰謝料を増額してもらえる余地もあるようです。
たとえば、一か所だけでなく手足を複数か所骨折した場合、頭部を骨折した場合、複雑骨折や開放骨折など骨折の態様が酷い場合などは、入院期間に応じた相場水準よりも増額してもらえる可能性があるとのことです。
増額幅は、骨折の内容によって変わりますが、約2~3割の増額が目安といわれています。ただし、相場水準からの増額は、裁判でも認めてもらえる場合が限られているので、増額を希望する場合は弁護士に依頼するのが必要不可欠になりそうです。
(まとめ表)
骨折の内容 |
手足を一か所のみ骨折した場合 | ●複数か所を骨折した場合 ●頭部などの枢要部を骨折した場合 ●複雑骨折・開放骨折がある場合 ●繰り返し手術を要する場合 |
慰謝料額 |
相場水準にとどまる | 相場より2~3割増額してもらえる可能性あり |
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了