交通事故で4ヶ月通院した場合の慰謝料相場額と計算方法を徹底解説

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通院4ヶ月 交通事故慰謝料相場

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「交通事故で4ヶ月通院することになったけど、慰謝料はいくらもらえるんだろう?」
このような疑問を持って本記事を開いた方は多いのではないでしょうか。

慰謝料の相場額や請求の方法を知らないと、相場より低い金額しか得られない恐れがあります。

本記事では、慰謝料の相場額や、相場の慰謝料を得るための手段を紹介しているので、慰謝料を取り損ねたくない方は是非確認してください。

4ヶ月通院した場合の慰謝料相場額

通院4ヶ月で請求できる具体的な慰謝料相場額

交通事故の怪我を治療するため、4ヶ月間通院を行った場合の慰謝料相場額は、以下のようになります。

傷害の程度慰謝料額
むち打ちや軽傷67万円
上記以外の重傷90万円

※軽傷とは、軽い打撲や傷のことをいいます

これは、交通事故の被害者が通院することで生じる精神的苦痛をお金に換算した、入通院慰謝料の金額です。
通院の期間から金額が計算されます。
入院期間、通院期間から計算される入通院慰謝料の金額は、赤い本と呼ばれている民事交通事故訴訟損害賠償算定基準の別表で確認可能であり、以下のような表となります。

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

1月を30日とし、端数が出た場合には日割りで計算を行って下さい。
通院が長期に渡る場合には、実際の通院日数を3倍から3.5倍とした期間を通院期間とする場合があります。

重傷といえる傷害であり、通院期間が135日(4ヶ月と15日)の場合は、以下のように計算してください。

90万(通院4ヶ月)+(105万(通院5か月分)-90万(通院4ヶ月分))×15/30=97万5千円

慰謝料は交通事故の際に請求できる損害賠償請求の一部でしかありません。
そのため、治療費や通院するための交通費といった損害は、慰謝料とは別に請求可能です。
慰謝料以外に請求できる損害については、「慰謝料以外に請求できる内容」において詳しく記載しています。

加害者からの提案額は相場以下となる

交通事故の場合は、加害者側から慰謝料の金額が提案されることが多いでしょう。
しかし、提案額は上記した相場額より低いことがほとんどです。

慰謝料の金額については、3つの計算基準があります。

自賠責基準

自賠責保険に対して慰謝料を請求した場合に、自賠責保険会社が慰謝料額を計算するための基準

任意保険基準

加害者側の任意保険会社が提案する慰謝料の金額を計算する際の、任意保険会社ごとの独自基準

裁判基準

裁判所が慰謝料を計算する際に利用する基準
弁護士が請求を行う際にも利用されるため弁護士基準とも呼ばれる

3つの基準のうち裁判基準により計算される金額が最も高額であり、上述している相場の金額になります。
裁判で得られる金額こそ、本来得られる適正な金額といえるためです。

慰謝料の金額について、3つの計算基準による算出される金額を比較。

これに対して、自賠責保険は被害者に最低限の補償を行うための保険であるため、相場よりも低額になります。
計算方法としては、以下のようになります。

自賠責保険の計算方法

  • 1日4300円として計算
  • 2020年3月31日以前に発生した事故の場合は1日4200円
  • 治療日数を2倍にした数字と治療開始から終了までの日数の低い方を日数として採用

通院期間を4ヶ月、毎月10日間の通院を行った場合の計算例と金額は、以下のようになります。

治療日数は、毎月10日間の通院を4ヶ月続けているので、2倍の数字は40×2で80日であり、治療期間である120日間を下回っているため80日として計算します。

4300円×(40日×2)=34万4千円

また、自賠責保険の傷害に関する慰謝料は、治療によって生じた費用も含めて120万円を上限としているので、治療に関する費用が高額になると、全額の請求が不可能となる恐れがあります。

任意保険基準は内部基準のため非公開ですが、自賠責保険と同額か多少上乗せした程度の金額になることが多いでしょう。

加害者の多くは任意保険に加入しているため、任意保険会社の担当者が任意保険基準にもとづいて計算した金額を、慰謝料として支払うことを提案してきます。

提案額が相場よりも低額であるなら、任意保険会社に対して増額の交渉が必要となります。

自動計算機を使用すれば、通院期間にもとづいて計算される慰謝料の相場額を簡単に知ることが可能です。
加害者の提示額と比較してください。

実際の通院日数を入力すれば、正確な相場額が判明します。
通院前に入院もされている方は、入院日数も入力してください。

通院4ヶ月における相場の慰謝料額とは

  • むち打ちや軽傷なら相場額は67万円
  • そうでない重傷なら相場額は90万円
  • 相場額は裁判基準で計算した金額
  • 加害者は相場よりも低い金額を支払う提案をしてくる

4ヶ月通院したことによる慰謝料請求のために気を付けるべきポイント

相場の慰謝料を得るためには、請求前に行っておくべきことや、知っておくべきことがいくつかあります。
特に問題となりやすい点をまとめているので、現在通院中の方や、これから慰謝料を請求しようと考えている方は是非確認してください。

通院中における4つの注意点

通院をしっかりと行おう

通院の頻度が少ないと、すでに必要な治療が終わっているのに通院していると判断される恐れがあります。
通院により生じる慰謝料は、通院期間にもとづいて金額が決まるので、通院期間が短く判断されれば慰謝料の金額も下がってしまうのです。

このような事態を避けるためにも、医師が通院は不要と判断するまではなるべく頻繁に通院してください。
具体的には、月に10日を目安に通院することを心がけましょう。

4ヶ月の通院中にリハビリした場合も通院に含まれるのか

リハビリも治療行為の一貫なので、リハビリするための通院も通院期間として認められます。

もっとも、通院期間として認められるのは、これ以上は治療の効果が望めないという症状固定の状態になったと医師が判断するまでです。
症状固定と判断された後のリハビリは、対象外となるので気を付けてください。

整骨院や鍼灸院への通院も対象となるのか

整骨院や鍼灸院での治療は医師による治療ではないため、基本的に通院として認められません。
ただし、医師が治療を受けるよう指示した場合は、適切な治療内容といえるため、通院と扱われます。

そのため、事故後は病院の整形外科で診察や治療を受け、医師の指示があれば整骨院や鍼灸院でも治療を受けてください。

通院4ヶ月経過前に治療費を打ち切るといわれたらどう対処すべきか

加害者が任意保険会社に加入している場合は、治療費を加害者側の任意保険会社が立て替えてくれることが多いでしょう。

しかし、治療期間が長期に渡ると、任意保険会社から必要な治療期間が経過したので、治療費の立て替えを打ち切ると連絡してくることがあります。
特に、むち打ち症は3ヶ月程度で完治することが多いため、4ヶ月を経過する前に打ち切りの連絡が来る可能性が高いでしょう。

打ち切りの連絡が来ても、直ちに治療をやめる必要はありません。
通院期間は、通院治療が必要と医師が判断している期間をいいます。
打ち切りの連絡後も、痛みがあり、医師は通院治療が必要と判断しているのなら通院を継続してください。

通院4ヶ月で請求できる慰謝料が増額する事情

慰謝料の金額は、通院期間以外の事情により増額する場合があります。
事故の内容や加害者の態度などから慰謝料の増額を認めた過去の裁判例があるのです。
具体的には、以下のような事情になります。

  • 飲酒運転や過度の速度違反など、加害者の過失が悪質である
  • 加害者が反省の態度を全く示さない
  • 加害者が事故を起こしたことを認めない

加害者側にとっては不利な事情のため、増額の事情があることは被害者側から主張する必要があります。

増額する事情に明確な基準はないので、増額する事情があるのかについては専門家である弁護士相談し、確認してください。

通院4ヶ月で請求できる慰謝料が減額する事情

被害者にも事故の原因がある場合は、被害者の過失割合に応じて慰謝料が減額となります。
過失割合の程度は、慰謝料の具体的な金額を決める際に、話し合いにより決まることが多いでしょう。

過失割合の判断を間違えば、慰謝料の金額が必要以上に減額してしまうのです。

過失割合の判断は、基本的に基準表にもとづいて行われます。
基準表は、赤い本と呼ばれている民事交通事故訴訟損害賠償算定基準などで確認可能です。

基準表には、典型的な事故のケースと、ケースごとの基本的な過失割合、そして、過失割合が増減する事情が記載されているので、自身の交通事故に対応しているケースから判断してください。

加害者側の言い分に納得がいかないが、自分自身で判断することが難しいと感じたのであれば、専門家である弁護士に妥当な過失割合を確認するべきでしょう。

4ヶ月通院したならいつ慰謝料を請求するべきか

慰謝料を請求する際には、事故により請求できる金額の合計額を支払うよう求めるべきです。
最終的に支払うことになる金額を確定しなければ、事故の処理が終了しないので、一度の請求で終わらせるべきでしょう。

そのため、請求可能な金額の合計額を計算できるようになった時点が、慰謝料の請求時期となります。

具体的には、怪我が完治し、治療終了となった時点です。
治療が終了した時点までの期間が通院期間であり、治療終了までにかかった費用が判明するため、請求額の計算が可能となります。

治療により完治せず、後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定を行い後遺障害が生じているかどうかの判断を受けてください。
後遺障害が認定された場合は、認定された等級により請求できる内容や金額が異なるので、後遺障害等級の認定結果が確定した時点で請求額の計算が可能です。

後遺症が残った場合に何をすべきかについては「後遺症が残った場合に行うべきこと」で詳しく解説しています。

慰謝料を請求すべき時期

  • 治療により怪我が完治した場合
    医師が完治したと判断した治療終了後の時点
  • 怪我か完治せず後遺症が残った場合
    後遺障害等級認定申請の結果が確定した時点

金額でもめた場合はADR機関を利用しよう

最終的な慰謝料の金額については、示談交渉における話し合いで合意した金額となることが多いでしょう。
しかし、当事者間で合意が得られない場合は、示談交渉以外の手段が必要となります。

ADR機関とは、仲介人である第三者を紹介し、仲介人から解決案を提案してもらう場を提供する機関です。
仲介人である弁護士が当事者の意見を一通り聞いたうえで、妥当な金額を提案してくれます。

交通事故におけるADR機関には、以下のようなものがあります。

  • 日弁連交通事故相談センター
  • 交通事故紛争処理センター

費用は掛からず、裁判を行うよりも手続きとしては簡単なため、金額の合意が得られない場合にはとても便利な機関です。
また、仲介人である弁護士は裁判基準で計算される金額を基準額として提案することが多いので、被害者が納得できる金額で解決することが多いでしょう。

日弁連交通事故相談せいたーにおける交通事故の示談の流れを説明。

慰謝料を請求する際の注意点

  • 通院は月に10日を目安に行う
  • 医師の指示があれば整骨院や鍼灸院で治療を受ける
  • 医師が治療終了と判断するまでは治療を続ける
  • 慰謝料は事故の個別事情により増減することがある
  • 金額でもめたのであればADR機関を利用しよう

4ヶ月通院したものの後遺症が残った場合に行うべきこと

怪我の治療を続けていたが、怪我が完治する前にこれ以上は治療の効果が望めないという症状固定の判断がなされると、後遺症がのこります。

後遺症が残った場合には請求できる内容が増える可能性があるので、そのためにどのような手続きが必要なのかを紹介します。

後遺症が残ってしまった方は是非確認してください。

後遺障害等級認定を行おう

後遺症が残ったのなら、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。
後遺症が、後遺障害に該当すると認められれば、障害の程度により認定される等級にもとづいて、慰謝料の請求が可能です。

後遺障害が認められた場合に請求できる後遺障害慰謝料の相場額は、以下の通りとなります。

等級 相場額
1級・要介護2800万円
2級・要介護2370万円
1級2800万円
2級2370万円
3級1990万円
4級1670万円
5級1400万円
6級1180万円
7級1000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

最も低い等級が認定されるだけでも、約100万円の慰謝料を請求できます。
請求できる金額が大きく異なってくるので、適切な等級の認定を受けられるようにしましょう。(関連記事:『交通事故の後遺障害慰謝料』)

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法には、加害者側の任意保険会社が申請手続きを行う事前認定と、被害者自身が申請手続きを行う被害者請求があります。

事前認定であれば、任意保険会社が必要な手続きの大半を行ってくれるため、手続きの手間が省けます。

しかし、任意保険会社は加害者側であるため、申請のために必要な最小限の書類しか用意してくれないでしょう。
後遺障害を認定されることが明らかならそれでも十分ですが、明確な証拠がない場合には、少しでも有利な証拠を自身で集めて申請を行うべきです。

また、事前認定では後遺障害にもとづく慰謝料を得られるのは示談金成立後になりますが、被害者請求の場合は、後遺障害が認定された時点で慰謝料の一部を受け取ることができます。

準備時間の確保、証拠の程度、慰謝料をすぐに受け取る必要性などを考慮して、どちらの手続きとするのかを判断してください。

事前認定を行うべき人

  • 後遺障害の発生を証明できる確実な証拠がある
  • 書類を自身で準備する余裕がない
  • 慰謝料をすぐに支払ってもらう必要がない

被害者請求を行うべき人

  • 後遺障害を証明できるかが不明確
  • 一部でもいいので慰謝料の支払をすぐに受けたい

被害者請求を行いたいが書類を用意する余裕のない人は、弁護士に依頼すれば手続きを代理してもらえます。(関連記事:『後遺障害認定の手続きはどうすればいい?具体的な申請方法と認定のポイント』)

後遺障害等級認定申請を行う際の注意点

後遺障害等級認定は原則として書面審査になります。
そのため、後遺障害が生じていることを書面で説明しなければいけません。

医師が作成する後遺障害診断書、レントゲンやMRIの画像、医師による検査結果などが重要な書面となります。

書面の内容については、以下の点に気を付けてください。

後遺障害診断書の記載内容

回復の見込みがあると記載されていると、一時的な症状であるため後遺障害には該当しないと判断される恐れがあります。

画像はなるべく事故直後のものを用意する

事故から時間の経過した時点の画像では、事故により後遺障害が生じていると認められない恐れがあるためです。

検査結果と自覚症状が一致している

一致していない場合は、検査結果の内容から後遺障害が生じたことを証明できていないと判断される可能性があります。

症状に一貫性、連続性がある

事故直後の症状と、治療により最終的に生じるはずの症状が一致していなければなりません。
途中で不自然に症状が変わっている場合は、後遺障害が事故により発生したと判断されない恐れがあります。

むち打ちの場合でも後遺障害は認定されるのか

むちうちで発生する後遺障害を解説。

むち打ちとは、正式には頚椎捻挫や頚部挫傷と呼ばれ、一般的には首に強い衝撃を受けたことで発症します。

むち打ちの場合には、12級13号、または、14級9号の後遺障害を認定されることが多いです。

前提として、むち打ちの場合は遅くとも6ヶ月間治療を続ければ完治することが大半のため、むち打ちの場合に後遺障害を認めてもらいたいなら、6ヶ月間は通院を続けてください。

12級の認定を受けるには

12級13号に該当する症状とは局部に頑固な神経症状を残すものです。
実務では、障害の存在を他覚的に証明できることが必要とされています。

他覚的な証明とは、検査結果から症状が生じていることを客観的、医学的に明らかにすることです。
検査方法としては、レントゲンやMRIなどの画像検査と、神経症状の有無を確認する神経学的検査があります。
神経学的検査には、以下のような検査方法があります。

  1. 深部腱反射検査
    腱を打診することで生じる反射を確認する。
  2. 徒手筋力テスト
    神経障害により筋力低下が起きていないかを確認する
  3. スパーリングテスト
    頭部を圧迫することで生じるしびれの内容から神経障害の有無や内容を確認する

画像により神経症状の原因が確認でき、検査結果から神経症状が生じているという神経学的所見を明らかにすれば、障害の存在について他覚的所見による証明が認められるため、後遺障害が認定されるでしょう。

そのため、交通事故後なるべく早期に、痛みやしびれのある部位の画像検査を行うことが大切になります。
そして、画像の内容と一致した検査結果が得られる神経学的検査を医師に実施してもらってください。

実務では、被害者の反応により結果が異なる可能性がある神経学的検査よりも、検査画像の方が客観性があると判断されているので、事故直後の鮮明な画像を確保することが重要です。

後遺障害12級についてさらに詳しくはこちらの記事『後遺障害12級|慰謝料相場は290万円!弁護士基準で増額実現』もあわせてご覧ください。

14級の認定を受けるには

14級9号に該当する症状とは局部に神経症状を残すものです。
実務では、障害の存在を医学的に説明可能であることが必要とされています。

医学的に説明可能とは、現在の症状が事故による身体に生じた異常によって発生していると説明できることです。

12級13号よりも緩やかな要件のため、検査画像や神経学的検査からの証明は必須ではありません。

事故の態様から後遺障害が生じる可能性があり、受傷時点の症状と、治療の経過により生じる症状に一貫性や連続性がある場合には、医学的に説明可能と判断されることがあります。
事故の態様については警察が作成する実況見分調書、症状の一貫性については主治医の意見書から証明可能です。

むち打ち症で後遺障害が認められる方法

12級13号の認定
レントゲンやMRIなどの画像検査の結果と、神経学的検査の検査結果を用意。
検査結果と自覚症状が一致している必要あり。

14級9号の認定
なるべく画像検査や神経学的検査の一方でも検査結果を用意。
検査結果だけで不十分な場合は、症状の一貫性を明らかにするために、事故状況を説明できる実況見分調書や、治療の経過や症状の変化に不自然な点がないという内容の医師の意見書などを用意。

後遺障害14級についてさらに詳しくはこちらの記事『後遺障害慰謝料|14級は110万円!増額と後遺障害認定のポイント』もあわせてご覧ください。

後遺症が残った場合の対処法

  • 後遺障害等級認定の申請を行おう
  • 後遺障害を認定してもらうには書類をそろえる必要がある
  • むち打ちの場合でも認定される場合がある

4ヶ月通院したことによる慰謝料以外に請求できる内容を紹介

交通事故により通院が必要となる怪我を負った場合には、損害賠償請求として慰謝料以外にも発生した費用や損害の請求が可能です。

加害者と示談金の金額について交渉を行う際には、請求できるものすべてを合計した金額を決めるので、どのような請求が可能なのかを知っておく必要があります。

これから加害者へ請求を行う予定の方は、是非確認してください。

請求できる内容一覧

交通事故により怪我を負った場合には、以下のような費用や損害を賠償金として請求できます。

事故による怪我が完治した場合

  • 治療費
  • 入院、通院交通費
  • 入院、通院の付添費用
  • 休業損害(治療のために仕事を休んだことで収入が減少した場合)
  • 物的損害(自動車の修理費用など)

怪我が完治せず後遺症が残り、後遺障害と認定された場合
(上記の分に加えて)

加害者からの提案額は、慰謝料だけではなく請求可能な費目の合計額となるでしょう。
そのため、合計額の内訳を確認し、費目に漏れがないのかをしっかりと検討してください。

4ヶ月通院した際に発生する交通費や付添費用はどのような場合に認められる?

入院や通院の際に必要となった交通費は、公共交通機関の利用料であれば原則として全額認められます。

また、自家用車で通院した場合には1㎞あたり15円のガソリン代が認められ、有料駐車場を利用した場合には駐車料金も認められるでしょう。

一方、タクシーを利用した場合は、利用する必要性があることを明らかにしてください。
自宅や通院先の近くに公共交通機関が通ってないことや、足の怪我であるため歩行が困難なことなどを明らかにしましょう。

必要性が認められれば、タクシー代が交通費として認められます。

入院の付添費用については、医師の指示があれば認められます。
また、医師の指示がなくても、被害者が児童や幼児のため両親の付添が必要な場合や、怪我により日常動作に大きな支障がある場合にも付添費用が認められるでしょう。

付添費用は、職業付添人の場合は費用全額を、近親者の場合は1日6500円として、付添が必要な期間を日数としてください。

通院の付添費用については、骨折や意識障害が生じているために一人では通院することが困難な場合に認められます。

職業付添人の場合は費用全額を、近親者の場合は1日3300円として計算してください。

4ヶ月通院したために仕事ができなかったことによる損害

通院のために仕事を休む必要があり、そのせいで収入が減少してしまうことがあります。
収入が減少するという損害を休業損害といい、加害者に対して請求が可能です。

休業損害の説明。

休業損害の計算式は、以下のようになります。

基礎収入の日額×休業日数

基礎収入の計算は、職業により異なり、具体的には以下のようになります。

職業計算方法
給与所得者事故前3ヶ月の収入の平均額
自営業者事故前の申告所得額
主婦
(主夫)
事故年度賃金センサスの全女性平均賃金

賃金センサスとは、厚生労働省が毎年行う職業、年齢、性別、学歴ごとの平均賃金の調査結果です。
厚生労働省のホームページ』で確認できます。

また、給与所得者は、休業が原因で賞与が減額した、または、昇給が遅れたということを証明できれば、休業損害の金額が加算されることがあります。

学生の場合は通常、休業損害が発生しませんが、アルバイトを行っていれば請求が可能です。

就職が内定していたが、通院のために単位が取得できず卒業が遅れた場合は、本来なら就労を開始できたはずの時点から、内定先の収入分について休業損害が発生していたと判断されることがあります。
職業ごとの賃金センサスを金額を基礎収入として適用してください。

休業日数は実際に仕事を休んだ日数が基本となりますが、必要な通院といえることが条件です。

また、勤務中の事故なら労災保険から休業補償を、業務外なら健康保険から傷病手当を受けられる可能性があります。
どちらも休業による損害を補てんするための給付なので、給付された分を差し引いて請求してください。

慰謝料以外に請求できる内容のまとめ

  • 加害者は請求できるすべての内容を合計した金額の支払いを提案する
  • 入通院の交通費は原則として公共交通機関の利用料分となる
  • 付添費用は付添の必要性を明らかにすれば認められる
  • 治療により仕事ができなかったことによる損害も請求できる

通院4ヶ月の慰謝料相場額を得るなら弁護士に依頼すべき

加害者は少しでも支払う金額を抑えたいので、相場より低い金額を支払うという提案を行ってくることが多いでしょう。
そうすると増額交渉が必要ですが、法律知識が十分でないと困難な場面があります。

納得できる金額を獲得したいと考えている方は、是非確認してください。

弁護士への依頼を行う必要がある理由

交通事故により支払う金額については、まずは示談による話し合いが行われ、そのほとんどが示談交渉で決まります。

多くの加害者は任意保険に加入しているため、任意保険会社の担当者が示談交渉の相手方になります。
担当者から慰謝料を含めた示談金の提案がなされるでしょう。
しかし、この金額は「具体的な慰謝料相場額」で説明したように、相場の金額よりも低額であることがほとんどです。

任意保険の担当者は、自賠責基準と同額か多少上乗せした程度の金額を提案することが多く、慰謝料以外に請求できる賠償額についても同様です。
そのため、相場額の慰謝料を得るには増額交渉が欠かせません。

しかし、相場額は民事交通事故訴訟損害賠償算定基準から計算できるものの、弁護士が参考とする書籍のため、理解することが困難です。
また、法的知識のない素人の意見では、正当な金額であっても根拠が不十分であるとして、増額を容易には認めてくれないでしょう。

弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいた相場額の請求を行ってくれます。

弁護士に依頼すれば慰謝料の増額が期待できる。

専門家による根拠のある請求であり、弁護士が請求してきた場合の支払基準を設定していることもあるため、任意保険会社も相場額に近い金額まで譲歩する可能性が高いでしょう。

そのため、弁護士に依頼すれば慰謝料増額が期待できます。
特に、後遺障害が認められる事例では賠償額も大きくなることが多いので、大幅な増額となる可能性があるでしょう。

相場の慰謝料を得られる以外のメリット

弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉の窓口になるので、加害者側からの連絡はなくなります。
治療中や仕事中に加害者側から連絡が来るということはかなりのストレスになるため、弁護士が間に立ってくれることで精神的に楽になるでしょう。

また、怪我が完治せずに後遺症が残り、後遺障害等級認定の申請を行う場合には、弁護士から請求の方法や適切な証拠の集め方についてサポートを受けることができます。
申請作業自体も弁護士に任せることができるので、希望する等級の認定を受ける可能性が高まるでしょう。 

後遺障害等級認定を行いたいが、わからない点が多く不安であるという悩みを抱えている方は、弁護士への依頼をおすすめします。

報酬はいくらになる?

「通院4ヶ月で請求できる金額程度で弁護士に依頼すると、弁護士に支払うお金が高くつきすぎて、増額できても結局損をしてしまうのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。

弁護士費用に関しては、弁護士費用特約を利用できないかを確認してください。
弁護士費用特約を利用すれば、原則として相談料は10万円、報酬は300万円まで保険会社が負担してくれます。

自身が負担する割合はかなり小さくなるので、依頼することをおすすめします。

弁護士費用特約を利用すれば、被害者の負担が軽くなる。

弁護士費用特約が利用できない場合は、報酬の支払方法に注意して依頼を行うかを決めましょう。

弁護士報酬は主に2つあり、依頼した際に発生する着手金と、依頼を達成した際に発生する成功報酬です。
成功報酬だけを支払えばいいのであれば、その多くは実際に加害者からの支払いがなされてから、弁護士に報酬を支払うことになるでしょう。

報酬額も増額分の何割というものであれば、依頼することで得た利益よりも報酬の方が多かったという事態には基本的になりません。

無料相談を行っている法律事務所もあるので、相談の際に報酬の支払い方をしっかりと確認したうえで、依頼を行うかどうかを決めてください。

アトム法律事務所に依頼しよう

アトム法律事務所は、交通事故の案件を多く取り扱っているので、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に依頼することが可能です。

無料相談を行っており、報酬は原則として成功報酬のみとなっています。
ラインやメールでの問い合わせも可能なので、お気軽にご相談ください。

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弁護士に依頼することによるメリット

  • 慰謝料の増額が期待できる
  • 後遺障害等級認定の申請のサポートを受けられる
  • 加害者と連絡を取る必要がなくなる
  • 弁護士費用特約を利用すれば少ない負担で依頼できる
  • 依頼をするなら交通事故案件の経験豊富なアトム法律事務所へ

まとめ

  • 慰謝料の相場額は裁判基準で計算しよう
  • 通院は医師の指示にしたがって行おう
  • 過失相殺により必要以上に減額とならないよう注意
  • 後遺症が残った場合には後遺障害等級認定の申請を行おう
  • 慰謝料以外にも請求できる内容を確認しよう
  • 相場の慰謝料を得たいなら弁護士に依頼しよう

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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