交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
「交通事故で負った後遺症が、後遺障害12級に認定される可能性はある?」
「保険会社が提示してきた12級に対する慰謝料の金額は妥当?」
後遺障害12級に認定されると適正な相場として後遺障害慰謝料290万円を請求することができます。
しかし、12級に該当するような後遺症が残ったのに、適切な手段を取らないと後遺障害が認定されず、もらえたはずのお金が手にできないという事態を招きかねません。
本記事では、どのような症状がどんな基準で後遺障害12級に該当するのか、認定されるとどのくらいの慰謝料がもらえるのか等をお伝えします。認定の可能性を高めるポイントも紹介していますので、最後までご覧ください。
交通事故の後遺障害の中でも、12級は認定件数の多い等級の一つです。特に、関節機能障害、長管骨の変形、神経症状で認定される例が多くなっています。
後遺障害12級とは、1~14段階に分けられる後遺障害等級のひとつです。障害の程度が重度なものが1級なので、後遺障害12級は上から12番目の等級となります。12級とひとくくりに言っても、12級のなかでさらに1号~14号まで部位や症状ごとに障害が分けられています。
12級 | 内容 |
---|---|
1号 | 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
2号 | 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
3号 | 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
4号 | 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
5号 | 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの |
6号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
8号 | 長管骨に変形を残すもの |
9号 | 一手のこ指を失つたもの |
10号 | 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの |
11号 | 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの |
12号 | 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの |
13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14号 | 外貌に醜状を残すもの |
相当 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの |
12級の後遺障害のなかでも、13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」という障害の事例が多いです。事故でむちうち・打撲等を負い、治療完了後も患部に痛みが残り、画像診断や神経学的検査の結果、痛みの原因を医学的に証明できる場合には、12級13号として認めてもらえる可能性が高くなっています。
後遺障害12級の種類としては、眼・口・耳・体幹骨・指・神経・外貌といった障害と非器質性障害に大きく分けられます。
では、ここからは部位ごとに後遺障害の症状をくわしく見ていきましょう。
事故によって片方の眼球に著しい調節機能障害が残ったり、運動障害が残った場合に12級1号が認定されます。
遠くを見たり、近くを見たりするときに使う眼球のピント調節機能力が通常の場合の2分の1以下になる状態を調節機能障害といい、眼球の注視野の広さが2分の1以下になる状態を運動障害といいます。
事故によって片方のまぶたに著しい運動障害障害が残った場合に12級2号が認定されます。
まぶたを自分で開こうとしても瞳孔領を完全に覆ってしまったり、まぶたを自分で閉じようとしても角膜を完全に覆えない状態を運動機能障害といいます。
事故によって7本以上の歯を失う、著しく破損した場合に、差し歯・義歯を付ける治療を受けて事故前と同じように物が噛めるようになった状態で12級3号が認定されます。歯科医による治療を歯科補綴(しかほてつ)といいます。
いわゆる親知らずと呼ばれる第三大臼歯は認定の対象とはならず、乳歯を欠損した場合も生え変わることが予想されるため原則として認定の対象にはなりません。ただし、永久歯が生えてこないことが医師によって証明されれば認定の対象となります。
事故によって耳介軟骨部を2分の1以上を欠損した場合に12級4号が認定されます。
耳介の欠損は外貌の醜状障害にも該当するので、耳介の欠損障害と外貌の醜状障害のいずれか上位の等級で認定されることになります。また、欠損が耳介軟骨部の2分の1以上に達しない場合でも、外貌の単なる醜状の程度に該当すると判断されれば12級14号に認定されることになるでしょう。
事故で受けた怪我によって、裸体になった時に変形・欠損が明らかにわかる程度の状態では12級5号が認定されます。
変形・欠損の程度とは、X線写真等ではじめて発見できるようなものは除かれ、裸になった時に他人から見てもその変形・欠損が明らかにわかる程度とされています。
事故によって関節1つの可動域が健側の3分の4以下に制限される機能障害が残った場合に12級6号7号が認定されます。
上肢の関節は腕の「肩」「肘」「手首」、下肢の関節は足の「股関節」「膝」「足首」をいいます。補助器具が必要だったり、すぐに脱臼してしまうといった状態も該当します。
事故によって腕や足の長管骨に変形障害が残る場合に12級8号が認定されます。
長管骨とは、上肢でいうと「上腕骨」「橈骨」「尺骨」、下肢でいうと「大腿骨」「脛骨」「腓骨」があたります。
事故によって右手または左手のどちらか一方の小指を失った場合に12級9号が認定されます。
事故によって右手または左手のどちらか一方のひとさし指・なか指・くすり指が用廃した場合に12級10号が認定されます。
用廃とは、末節骨の長さの2分の1以上失う・中手指節関節または近位指節間関節の可動域が2分の1に制限される・指先の感覚が全くなくなるといった状態が該当します。
事故によって右足または左足のどちらか一方のひとさし指を失った、ひとさし指と親指を除くもう1本を失った、なか指・くすり指・こ指の3本を失った場合に12級11号が認定されます。
事故によって右足または左足のどちらか一方の親指、あるいは他4本の足指が用廃した場合に12級12号が認定されます。
局部に頑固な神経症状を残す症状の代表例として、主に「むちうち」があげられます。神経系統の障害が画像所見・神経学的異常所見といった他覚的資料で証明された場合、12級13号が認定されます。
むちうちによる痛み・しびれ・麻痺といった症状は自覚症状にとどまり、他覚的資料による医学的証明がはっきりできないこともめずらしくないので、後遺障害認定に関して示談交渉で争いになることが多いです。
事故によって傷跡が残った場合に12級14号が認定されます。
傷跡は人目につく程度以上のもので、「頭部の鶏卵大面以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損」「顔面部の10円銅貨大以上の瘢痕または長さ3cm以上の線状痕」「頸部の鶏卵大面以上の瘢痕」があたります。
かつては男性と女性で外貌醜状の扱いが異なっていましたが、基準が変わった現在は男女とも同じ基準で判断されます。
事故によって非器質性精神障害を負った場合に12級相当が認定されます。非器質性障害とは、脳・神経が物理的には損傷していない状態でうつ病・統合失調症等を発症する障害です。
事故で大きなショックを受けたり怪我を負ったことそのものが非器質性精神障害を引き起こす原因ともなりますが、事故や怪我で生活環境が変わってしまったことで受けるストレスや不安も原因の一つになります。
事故後、外傷は治ったのに「食欲がなくなった」「無気力でいることが多い」「気分の浮き沈みが激しい」「眠れない」といった症状がみられる場合はうつ病の兆候があると疑われます。
ポイント
後遺障害12級は1~14段階に分けられる後遺障害等級のひとつで、12級の中でもさらに部位や症状に応じて1~14号まで障害が細分化されています。12級の中でも特に13号はむずかしいながら、むちうちで認定されることが可能性としてあります。
後遺障害に認定されることで、事故の相手方である加害者側に請求することができるようになる損害賠償金があります。
後遺障害認定で請求可能なお金
それぞれ後遺障害12級がどのように金額に影響してくるのか、相場や計算方法を見ていきましょう。
後遺障害慰謝料とは、事故による怪我が完治せず後遺症が残ったことで受けた精神的苦痛に対して請求できる損害賠償金のひとつです。後遺障害等級に認定されることで等級に応じた慰謝料を請求できます。
後遺障害12級の慰謝料がどのくらいの金額になるか、という話の前に、慰謝料の算定基準は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの種類があることをおさえておきましょう。
3つの算定基準のうち、最も高額な慰謝料が得られるのは弁護士基準による算定が実現した時です。算定に用いる基準によって慰謝料の金額に大きな差があるので注意しましょう。
金額 | |
---|---|
自賠責基準 | 94万円 (93万円) |
任意保険基準 | 100万円 |
弁護士基準 | 290万円 |
※( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した事故の場合
弁護士基準による12級290万円という金額は、過去に行われた裁判の判例にもとづいて決められています。そのため、弁護士基準は裁判基準とも呼ばれています。弁護士基準によって算定された慰謝料は、最も適正で妥当な金額であると認められたものです。
保険会社が提示してくる12級の後遺障害に対する慰謝料の金額が290万円よりも低額であった場合、弁護士に示談交渉を依頼することで増額の可能性が高まります。
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逸失利益とは、後遺障害で労働能力が喪失または低下していなければ、被害者が将来的に得られたであろう経済的利益を失ったという損害に対して請求できる損害賠償金のひとつです。
お仕事をされている方、就労が可能な方を想定した後遺障害12級における逸失利益の計算方法はつぎの通りです。
12級|逸失利益の計算方法
基礎収入× 労働能力喪失率(14%)× 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入は、事故にあう前年の収入を用います。基礎収入の求め方は職業によって異なるので注意が必要です。
職業 | 求め方 |
---|---|
給与所得者 | 事故前年の源泉徴収票・給与明細 |
自営業者 | 事故前年の確定申告 |
専業主婦 専業主夫 | 賃金センサスの女子平均年収 |
兼業主婦 兼業主夫 | 現実収入と賃金センサスの女子平均賃金のうちいずれか高い方 |
労働能力喪失率は等級によって異なり、12級は14%で計算します。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1 | 100% |
2 | 100% |
3 | 100% |
4 | 92% |
5 | 79% |
6 | 67% |
7 | 56% |
8 | 45% |
9 | 35% |
10 | 27% |
11 | 20% |
12 | 14% |
13 | 9% |
14 | 5% |
等級ごとに定められている労働能力喪失率はあくまで目安で、後遺障害の部位・程度、職業の内容等、個別の状況に応じて増減します。
労働能力喪失期間とは、症状固定時の年齢と就労可能な年齢の上限とされる67歳までの年齢差のことで、この労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を用いて、中間利息を控除します。
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.97 (0.95) |
5年 | 4.58 (4.33) |
10年 | 8.53 (7.72) |
20年 | 14.88 (12.46) |
30年 | 19.60 (15.37) |
※( )内の数値は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用
後遺障害12級に認定された年収600万円のサラリーマン(症状固定時47歳)を想定して、逸失利益を計算してみましょう。47歳から就労可能な年齢67歳までは20年なので、ライプニッツ係数は「14.88」を用います。
基礎収入 | 600万円 |
労働能力喪失率 | 14% |
就労可能年数に対するライプニッツ係数 | 14.88 |
逸失利益 | 1249万9200円 |
600万円 × 14% × 14.88 = 1249万9200円
ここで計算した逸失利益1249万9200円に、弁護士基準による12級の後遺障害慰謝料290万円を足すと、後遺障害部分だけで合計1539万9200円を請求することができます。
後遺障害逸失利益の計算方法についてさらに詳しくは『後遺障害逸失利益|計算方法と適正に獲得するコツをわかりやすく紹介』の記事をご覧ください。
むちうちで後遺障害12級13号に認定された場合は、労働能力喪失期間が症状固定後10年間程度に制限されることが多いです。むちうちの神経症状は将来における回線が期待されると考えられているからです。
どの等級であろうと、後遺障害に認定されれば就労可能な年齢までが労働能力喪失期間になるのが通常の扱いですが、むちうちで12級13号の後遺障害に認定された場合は例外的な対応になるので注意が必要です。
12級13号も14級9号も神経症状に関する後遺障害等級のひとつで、むちうちで後遺障害に認定される場合は、いずれかの等級で認定される可能性が高いです。しかし、12級13号に認定されるケースは少なくなっています。
では、12級13号と14級9号にはどのような違いがあるのか見てみましょう。
12級13号 | 14級9号 | |
---|---|---|
認定基準 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害慰謝料 (弁護士基準) | 290万円 | 110万円 |
労働能力喪失期間 | 10年程度 | 3~5年 |
認定された場合に認められる後遺障害慰謝料の金額と労働能力喪失期間が違うのは、等級が異なる、つまり、障害の重さが違うことが理由として説明できます。一方、認定基準の「頑固な神経症状」は、どのような違いがあるのでしょうか。
頑固な神経症状があるかどうかは、他覚的所見があることで証明されます。他覚的所見とは、具体的にはMRIやレントゲンといった画像等のことを言います。
12級13号も14級9号も痛み・しびれ等といった神経症状の自覚症状があるのは共通して求められますが、12級13号ではその自覚症状を他覚的所見という客観的な資料で証明しなければならない、という違いがあげられます。
神経症状が起こっていることが明確にとらえられるかどうかが、12級13号と14級9号の分かれ目になります。
後遺障害14級に関して詳しくは『後遺障害慰謝料|14級は110万円!増額と後遺障害認定のポイント』の記事をご覧ください。
後遺障害等級の認定を受けたら、後遺障害部分の損害賠償として後遺障害慰謝料と逸失利益の請求が可能になります。しかし、請求できるのは後遺障害慰謝料と逸失利益の2つだけではありません。
後遺障害が残ったことは、傷害という損害も受けているわけなので、傷害部分の損害賠償も請求できます。
後遺障害に認定されたら、傷害部分と後遺障害部分に大きく分けて請求できる損害賠償があることを覚えておいてください。
概算にはなりますが、ご自身のケースではどのくらいのお金を手にすることができるのかを簡単に計算できる計算機を紹介します。特に、保険会社から示談金の提示を受けているという方は、提示額と計算機による計算結果を見比べて、どのくらい差額があるか確かめていただきたいです。
保険会社が提示してくる金額は、被害者が得られる適正で妥当な金額よりも相当低くなることが予想されます。計算機を使って、正しい金額がどのくらいか確認してみましょう。
12級の後遺障害に認定されると、最終的な請求額は1000万円を超えてくるケースは多いです。弁護士を通じて保険会社と交渉することで、慰謝料が2倍以上アップする可能性が高まります。
増額の可能性を弁護士に聞いてみたい、という方はアトムの無料相談をご利用ください。24時間365日いつでも専属スタッフが対応しています。
相談料は無料なので、何でも気軽に相談できるのがメリットです。
ポイント
後遺障害に認定されると後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができるようになります。後遺障害慰謝料は等級に応じて慰謝料が決められていますが、3つある基準のうち弁護士基準による算定が最も高額になります。逸失利益は事故前の収入やいつまで労働できたかによって得られる金額が変わってきます。計算機を使えば簡単に適正な金額の示談金がわかるのでおすすめです。
ここからは、後遺障害等級認定までの流れと、等級の結果に対して不服があった場合の異議申し立てについて解説します。
慰謝料・示談金をスムーズに手にするためにも、大まかにでも流れをつかんでおくことは大切です。まずは認定までの流れから見ていきましょう。
交通事故にあって怪我を負ったら必ず病院を受診しましょう。事故直後にMRIやレントゲン検査を受けることで、事故と怪我の因果関係を適切に証明することができます。
事故から数日経って痛みが出てくることもあるので、怪我がないと思っても念のため病院には行くようにしてください。
基本的には医師の指導のもと、適切な治療を継続するようにしましょう。気になる症状があれば、大したことはないと思っても細かく医師に伝えることも大切です。
必要に応じて、医師の許可のもと整骨院・接骨院で施術を受けるのも痛みが緩和したりするので有効に活用しましょう。
治療をつづけても治療の効果が現れなくなり、怪我の症状が後遺症として残ると医師が判断することを症状固定といいます。
後遺障害診断書の作成を担当医師に依頼します。後遺障害診断書は後遺障害等級の申請に欠かせない資料のひとつです。
後遺障害診断書をはじめとした申請に必要な書類を自賠責保険会社に提出します。この申請方法を被害者請求といいます。
被害者請求のほかに事前認定という申請方法もありますが、この申請方法の違いについては後ほど解説しますのでこのままご覧ください。
資料を受け取った自賠責保険会社は、申請書類一式を損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)へ送り、調査事務所が後遺障害に関する審査を行います。
後遺障害に関する審査の結果が被害者へ通知されます。後遺障害に該当する場合も非該当の場合も通知書が届き、該当する場合は何級なのかも確認することができます。
後遺障害が非該当だと、後遺障害部分に関する損害賠償を請求することができません。また、想定していたより低い等級でしか後遺障害が認定されなかった場合は、請求できる後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が低くなってしまいます。
後遺障害の認定結果に不服がある場合は「異議申し立て」を行いましょう。ただし、異議申し立てをして結果の変更が認められる確率は約5%となっています。異議申し立てをしたからといって、必ず結果の変更が認められるとは限らない点に注意が必要です。
異議申し立てをする場合は、「異議申し立ての趣旨」と「異議申し立ての理由」を準備して自賠責損害調査事務所に提出します。異議申し立てでは、等級の認定に必要な医学的資料等を添付することで、医学的な根拠を正確に示すことが重要なポイントです。
認定結果に納得いかず異議申し立てを検討しているという方は、弁護士に相談・依頼することで異議申し立てのサポートが受けられます。
ポイント
適切な治療を受けても症状固定の判断が出たら、病院の医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級の申請を行いましょう。後遺障害等級の認定結果に不服がある場合は異議申し立てを行うことができますが、初回の認定結果が覆る可能性は非常に低くなっています。
適切な金額の慰謝料を手にするためには、適切な等級で後遺障害に認定されることが大切です。後遺障害等級認定に影響するポイントを5つ紹介します。
ひとつずつ見ていきましょう。
交通事故にあったら、速やかに病院で医師による診察と検査を受けるようにしましょう。
特に、むちうち症で12級の認定を受けるには、MRI画像等で神経組織を圧迫する外傷性の病変(椎間板ヘルニア等)を明確に捉えられることが必要です。神経を圧迫する病変が外傷性のものであることを画像上明らかにするためには、事故直後のMRI検査を実施することが望ましいです。
ヘルニアの多くは加齢に伴って生じることも多いので、事故が原因でヘルニアが発症したかどうかという因果関係が疑われやすいです。事故直後であれば、椎間板ヘルニアの水分量等をMRI画像が捉えて、新鮮なヘルニアとして証明され、加齢によるものではなく外傷性のものと判断され易くなります。
画像検査で病変がくっきり写っていれば、12級認定の可能性は高まるでしょう。
治療を一定期間続けていると保険会社から「そろそろ症状固定にしましょうか」と連絡が来ることがありますが、保険会社の言葉を鵜呑みにせず、医師と相談のうえ症状固定とするかを決めるようにしましょう。
交通事故における損害賠償算定では、症状固定の時期が重要になります。というのも、傷害部分として請求できる治療費や入通院慰謝料は症状固定以降は請求することができなくなります。症状固定以降に治療を続けると、かかった治療費を請求することができなくなってしまいます。
治療の効果を感じている、治療によって回復が見込める状態なのであれば、医師の指示のもと治療を続けるようにしましょう。(関連記事:『交通事故による治療の通院はいつまで?』)
精度の高い神経学的検査を受けることで、一貫性のある神経学的異常所見を明らかにすることができます。神経学的検査で代表的なものは以下の4つの検査があります。
自覚症状である痛み・しびれと、病変により圧迫された神経の支配領域とが一致することを神経学的検査によって確認しておくべきです。
後遺障害診断書は、病院の主治医に作成を依頼します。担当医師に神経症状が外傷性由来のものであることを、後遺障害診断書に根拠とともに記載してもらうことが大切です。
医師は治療のプロとはいっても、後遺障害診断書は特殊な書類なので、後遺障害が適切に認定されるための後遺障害診断書を医師が作成できるとは言い切れません。認定にあたって重要な点が漏れていたり、記載内容が不足していると適切な後遺障害が認定されなくなってしまいます。
単に「痛い」と医師に伝えるのではなく、どのような態勢をとったときに痛むのか等、症状を丁寧に伝えるようにしましょう。
また、後遺障害診断書の作成にあたっては、後遺障害認定に詳しい弁護士に相談することも大切です。後遺障害に詳しい弁護士であれば、症状をどのように表現して記載すれば認定の可能性が高まるかアドバイスすることができます。
後遺障害の申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2通りの方法がありますが、後遺障害認定の可能性を高めるには被害者請求を選択することをおすすめします。
被害者請求は申請に必要な資料を被害者自身で集めて相手方の自賠責保険会社に提出する必要があり、手間がかかります。しかし、認定に有利となる医学的な資料を一緒に提出することが可能です。
一方、事前認定では相手方の保険会社が申請手続きを担ってくれるので、手間はそうかかりませんが、認定に有利となる医学的な資料を添付することができません。(関連記事:『後遺障害認定の手続きはどうすればいい?具体的な申請方法と認定のポイント』)
ポイント
交通事故にあったら速やかに病院を受診し、医師が症状固定と判断するまで適切な治療を継続してください。神経学的検査を実施し、症状が適切に記載された後遺障害診断書を医師に作成してもらい、これら医学的な資料をもって被害者請求による後遺障害申請に臨みましょう。
後遺障害申請の被害者請求という方法を紹介しましたが先述した通り、申請に必要な書類を被害者自身で作成したり、集めたりしなければならず、大きな手間がかかります。仕事や家事をしながら資料を集めるのは面倒だと感じるのではないでしょうか。
そこで、弁護士に依頼すると後遺障害申請を一手に担うので、このような面倒な手間から解放されます。
そもそも、後遺障害申請をはじめてするという方も多いと思います。はじめてのことはうまくいくか不安な気持ちでいっぱいになると思いますが、被害者請求の経験が豊富な弁護士に任せてしまえば安心です。
後遺障害が適切な等級で認定されるかは慰謝料の金額に大きく影響しますが、慰謝料の増額には示談交渉に弁護士が介入することも重要です。
後遺障害12級の慰謝料は、弁護士基準による290万円が適正相場とされていますが、保険会社は94万円(93万円)~100万円程度の金額で提示してくることが予想されます。被害者ご自身やご家族だけで、いくら「適正額の弁護士基準が適用されていないから増額してほしい」と交渉しても、保険会社が認める可能性は極めて低いです。
一方、弁護士が示談交渉に介入することで、保険会社は民事裁判に発展する可能性を危惧します。民事裁判で争うことになると、裁判を進める準備に裁判費用や解決までの時間等、多くの手間と時間がかかります。さらに、裁判で負けてしまえば弁護士基準による支払いが命じられることにもなります。
このようなかかる費用や時間、支払うことになるお金等を総合的に考慮して、裁判をするより、示談交渉の時点で弁護士基準を認めてしまった方がいいと保険会社が判断することで示談金の増額が実現します。
もちろん、内容によっては裁判に発展することもありますが、弁護士と保険会社は示談交渉を通して、示談交渉で最終的に落とし込めるかどうかを見極めながら話し合いを進めていきます。
ここからはアトム法律事務所の弁護士が実際に受任した案件で、増額が実現した事例を紹介していきます。
後遺障害等級 | 14級→12級13号 |
保険会社の提示額 | 約338万円 |
弁護士介入後 | 約920万円 |
増額 | 約582万円 |
弁護士介入後に後遺障害の異議申し立てを行ったところ、自賠責損害調査事務所では等級の判断は変わりませんでしたが、粘り強く相手方保険会社と交渉を続けた結果、12級13号が相当であると認められた事例です。等級の変更によって500万円以上の増額が実現しました。
後遺障害等級 | 12級3号 |
保険会社の提示額 | 約284万円 |
弁護士介入後 | 約449万円 |
増額 | 約165万円 |
手指と歯の後遺症が残ったものの、歯の欠損しか後遺障害が認められなかったため、逸失利益について争いになったが、弁護士の交渉によって増額が実現したケースです。
その他、アトム法律事務所が解決した12級の事例については「12級の解決実績一覧」のページからご確認いただけます。
弁護士に依頼したらどのくらいの増額が見込めるのか知りたい、適切な後遺障害が認定されるか不安だ、という方は、アトム法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了