交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の多くは示談交渉により解決します。
しかし、「示談交渉では何が決まるのか?」「示談交渉は具体的にどう進めればいいんだろう?」と疑問を持たれている人は多いのではないでしょうか。
一度決まった示談は原則として撤回できません。
そのため、示談交渉を失敗すれば本来得られるべきお金を取り損ねる恐れがあります。
本記事では、示談交渉の進め方や注意すべき点、そして、相場の示談金を得る方法を解説しているので、これから示談交渉を行う方は是非ご覧ください。
目次
交通事故における示談とは、交通事故の当事者同士で、事故により支払う金額やその方法などを話し合いで決める和解契約のことです。
話し合いのうえで決まった金額を、当事者の一方が支払うという内容の示談書を作成し、実際に金銭の支払いがなされることで示談交渉は終了となります。
示談交渉では、慰謝料等の被害者が加害者に請求できるお金について、請求可能なすべての種類を含めた合計額としていくら支払うのかを決めます。
被害者が請求可能なお金の種類は、以下のようなものです。
入院費用や投薬代など、治療のために必要であった費用すべてが該当します。
適正な金額でなければなりません。
病院から発行される領収書が大切な証拠となるので、しっかりと保管し、正確な金額を算出できるようにしてください。
事故後に入院や通院することになった精神的苦痛に対する慰謝料です。
入院や通院の期間を目安に慰謝料額が決まります。
入院や通院の際に発生した交通費です。
原則として、公共交通機関を利用した際の電車代やバス代が対象となります。
タクシー代は、公共交通機関の利用が困難であるといった事情がある場合のみ認められます。
入院中に使用する日用品の費用や、通信費などの諸雑費についても請求が可能です。
ひとつひとつの費用を計算することは手間がかかりすぎるため、1日1500円として計算してください。
入院中の付添が必要と判断された場合は、付添費用について請求できます。
医師が必要と判断した場合や、日常動作に大きな支障があるといった理由があれば、付添の必要性があると判断されるでしょう。
ただ心配というだけでは必要性は認められません。
1日6500円として付添費用を計算してください。
入院期間のうち付添の必要性が一部の期間のみ認められた場合は、その期間分のみの計算を行います。
通院の付添費用は、一人では通院が困難な怪我である場合に認められます。
1日3300円として計算してください。
付添費用について詳しくはこちらの記事『交通事故で付き添いが必要になった|付添費とは?』をご覧ください。
怪我の治療により仕事ができなかったため、収入が減少してしまった場合に請求可能です。
事故以前の収入額や、実際に仕事を休んだ日数から金額が決まります。休業損害についてさらに詳しくはこちらの記事『交通事故の休業損害|職業別の計算方法や請求方法』をご覧ください。
怪我が完治せず後遺症となり、後遺症が後遺障害であると認定されれば請求可能です。
慰謝料額は、認定された後遺障害の等級の程度により決まります。
後遺障害により事故前のように仕事ができなくなったため、収入が減少した場合に請求可能です。
後遺障害が認定されることが条件であり、事故以前の収入や肉体的な機能障害の程度などから金額が判断されます。
また、事故により被害者が死亡し、仕事により将来得られたはずの収入が得られなかった場合にも請求可能です。
逸失利益についてさらに詳しくはこちらの記事『後遺障害逸失利益|計算方法と適正に獲得するコツ』をご覧ください。
後遺障害が認定され、障害の程度から、将来にわたり治療や介護が必要であると判断された場合には請求可能です。
その他に、入通院の交通費や付添費用など必要、相当といえる支出も対象となります。
事故により被害者が死亡した場合に請求可能です。
被害者自身だけでなく、近親者にも固有の請求権が認められます。
近親者とは、法律上は両親、配偶者、子どものことをいいますが、それ以外の立場の人にも、近親者と同視できることから慰謝料を認めた裁判例があります。
死亡慰謝料についてさらに詳しくはこちらの記事『交通事故の慰謝料|死亡事故の慰謝料相場は?』をご覧ください。
事故により生じているのであれば、物損に関する費用も請求可能です。
事故により生じた自動車の修理費用はもちろんのこと、修理中に必要となった代車を用意するための費用も認められた事例があります。
物損についてさらに詳しくはこちらの記事『物損事故では慰謝料請求できない?』をご覧ください。
一度成立した示談は、原則として撤回することができません。
そのため、万が一示談で支払うと決まった内容から漏れた項目があったり、示談の後に発覚した費用や損害がある場合には、その分が請求できない恐れがあります。
示談の時点で気づくことができない費用や損害であれば追加の請求が可能な場合がありますが、原則としては困難である以上、請求内容に漏れがないのかしっかりと確認する必要があるでしょう。
被害者の多くが任意保険に加入しており、任意保険会社が示談交渉を代行してくれるというサービスが付いている場合がほとんどです。
そのため、示談交渉は主に、任意保険会社の担当者が行ってくれます。
しかし、このようなサービスは、被害者に事故の原因のないもらい事故の場合には適用されないことがあるのです。
交通事故の多くは、被害者側にも事故の原因があるので、被害者も何らかの支払いを行う必要があるというケースが珍しくありません。
被害者が支払う分は加害者から支払ってもらう分から差し引いて処理するため、実際に支払うことは少ないのですが、実質的に被害者も支払いが必要である以上、示談交渉代行サービスの対象となるのです。
もらい事故では、被害者に事故の原因がないため、被害者が支払う必要がない以上、サービスの対象外となることがあります。
そのため、もらい事故では被害者自身が示談交渉を直接行うという事態になりやすいのです。
示談交渉により決まること
交通事故が発生し、示談により終了するまでの一連の流れは以下の通りとなります。
交通事故が発生し、交通事故被害者となったのであれば、まず、以下のような行動をとってください。
事故の状況については、ドライブレコーダーを搭載しているのであれば、記録が残っているのかを確認してください。
また、事故直後の事故現場周辺の状況や被害状況を、携帯電話のカメラで構わないので撮影しましょう。
加害者の名前や住所などを聞き出す際には、免許証を見せてもらうなど、身元を明らかにできる資料を確認しながら行って下さい。
警察官の中には、人身事故として受け付けることを嫌がり、物損事故として届けるように対応してくる人がいますが、物損事故では事故状況について警察が細かな記録を残してくれません。
そのため、示談交渉の際にもめる原因になりかねないので、必ず人身事故として届け出を受理してもらい、事故状況について細かく説明が記載される実況見分調書を作成してもらってください。
加害者が任意保険に加入している場合には、通常、加害者が加入している任意保険会社が治療費を負担してくれます。(関連記事:『交通事故の治療費は誰が負担?』)
この際、任意保険会社は治療の途中であっても、これ以上は治療が不要であるとして治療費の負担を打ち切ると連絡してくることがあります。
このような連絡を受けても、痛みが残っており、医師が治療の必要があると判断しているのであれば、治療を続けてください。
治療の必要性を判断するのは、任意保険会社ではなく専門家である医師です。
無理に治療をやめれば、治療費や通院することで生じる慰謝料について、適切な金額を請求できなくなってしまいます。
そのため、医師がこれ以上の治療は不要と判断するまでは通院を続けましょう。(関連記事:『交通事故による治療の通院はいつまで?』)
そして、治療は病院で行い、医師の指示がなければ整骨院や鍼灸院などで治療を行わないでください。
適切な治療ではないと判断され、治療費として認められない可能性があります。
この他に、事故以前から怪我を負っており、事故による怪我の治療といえるのか不明確な場合は、健康保険を利用して治療費の負担を下げておくとよいでしょう。
治療を行ったものの、怪我が完治する前に、これ以上は治療の効果が望めないという症状固定の状態になったのであれば、後遺症が残ることになります。
このような場合には、後遺障害があるとして、後遺障害等級認定申請を行ってください。
後遺障害が認定されれば、認定された等級に応じて慰謝料や逸失利益の請求が可能となります。
治療を行ってくれた医師に、後遺障害診断書を作成してもらいましょう。
その他にも、事故後のレントゲンやMRI画像、後遺障害が生じているという結果が出ている検査結果などが資料となります。
加害者側の自賠責保険会社に、申請のための書類を提出してください。
提出方法は、被害者が自分自身で提出を行う「被害者請求」という方法で行うべきでしょう。
申請から1,2ヶ月ほどで、審査機関である損害保険料率算出機構から審査結果が送付されてきます。
審査結果に不満がある場合は、異議申立てが可能です。
審査結果に至った理由が記載された通知書が送付されるので、理由を分析してください。
そのうえで、理由を否定できる資料を提出し、適正な等級が認定されるよう主張することになります。
示談交渉を開始するタイミングは、事故によりどのような怪我が生じたのかで異なります。
そのため、場合分けを行い、それぞれの場合における開始のタイミングをお知らせします。
怪我が完治した時点で、治療費や入通院期間が明らかになり、請求可能な損害の内容と金額がわかるようになります。
そのため、怪我が完治したと医師が判断した時点で示談交渉を開始すべきでしょう。
事故による怪我が完治せず後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定の申請を行うことになるでしょう。
申請により後遺障害の等級が認定されれば、後遺障害が生じたことによる慰謝料や逸失利益の金額が判明し、請求できる損害の種類と金額が明らかになります。
そのため、後遺障害等級認定の手続きが終了した時点で示談交渉を開始すべきでしょう。
死亡事故の場合は、葬儀代や法要に関する費用についても請求の対象となります。
また、四十九日が過ぎれば遺族もある程度心が落ち着くため、冷静な判断が可能になるでしょう。
そのため、葬儀関係の費用が明らかとなり、損害の全額が判明する四十九日が終了した時点で示談交渉を開始すべきです。
交渉を行うことができるのは、被害者の相続人になります。
示談交渉が始まれば、慰謝料額や損害額を明らかにし、示談金としていくら支払うのかを話し合いにより決めることになります。
交渉相手が加害者の加入する任意保険会社である場合、示談内容が決まれば、内容を書面化した示談書が送付されるでしょう。
示談が一度決まれば原則として撤回できないので、書面の内容を慎重に検討し、しっかりと理解したうえで書面にサインと押印を行い、任意保険会社に返送してください。
示談書確認の際の注意点
示談書についてさらに詳しくはこちらの記事『交通事故の示談書|記載項目やテンプレ』をご覧ください。
書類の返送後、およそ2週間ほどすると、指定された口座に示談金が振り込まれます。
事故発生から示談締結の間で注意すべき点
示談交渉で交渉することになる損害賠償額の計算については、以下の3つの基準があります。
自賠責基準
自賠責保険に対して損害賠償請求を行った場合に、自賠責保険が支払う損害賠償額の計算を行う際に利用される基準
任意保険基準
加害者が加入している任意保険会社が損害賠償額の計算を行う際に利用する任意会社独自の基準
裁判基準
裁判所が損害賠償額を計算する場合に利用する基準
弁護士が損害賠償額を計算する際にも利用されるため弁護士基準とも呼ばれる
上記した3つの計算基準により計算される金額は、自賠責基準が最も低額で、裁判基準が最も高額となります。
そして、裁判により認められる金額が本来被害者が得るべき金額のため、裁判基準により計算される金額が相場の金額といえるでしょう。
加害者の多くが任意保険に加入しているため、加害者が加入する任意保険会社の担当者が示談交渉の相手方となります。
そして、任意保険会社の担当者は、任意保険基準に基づいて計算した相場よりも低い金額を示談金として支払うという提案を行ってくるでしょう。
任意保険会社は営利団体である以上、少しでも支払う金額を下げることを目的としているためです。
そのため、相場の賠償金額を支払ってもらうには、裁判基準にもとづいて計算されれる相場額を把握しつつ、増額交渉を行わなければなりません。
裁判基準については、赤い本と呼ばれている、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準に記載されています。
交通事故においては、被害者にも交通事故発生の責任があることが多いでしょう。
そのような場合には、被害者の過失の割合に応じて、被害者が請求できる損害賠償額を減少する必要があり、被害者の過失に基づく賠償額の減少を過失相殺といいます。
示談交渉の際には、事故の過失割合がどの程度であったのかを決めつつ、被害者の過失割合の分について減額を行った金額を示談金とするでしょう。
そのため、被害者は自身の過失割合がどの程度であるのかを正確に把握しなければ、相場の示談金を得られない恐れがあるのです。
過失割合の判断は、基準表をもとに行われます。
裁判所が利用する相場の基準であり、加害者の任意保険会社も同様の基準により判断を行ってくるでしょう。
基準表は、赤い本と呼ばれている、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準などで確認することが可能です。
基準表には、典型的な事故のパターン、パターンごとの基本的な過失割合、過失割合が変動する事実とその変動の程度が記載されています。
交通事故を原因として請求できる損害賠償請求権が時効となれば、請求権が消滅してしまうので、示談交渉も行えなくなってしまいます。
そのため、消滅時効の期間が過ぎる前に示談を終える、または、消滅時効のカウントを止める措置をとる必要があるのです。
損賠償請求権の消滅時効期間は、事故の発生日や物損部分と人損部分で異なります。
事故発生日 | 人損部分 | 物損部分 |
---|---|---|
2020年4月1日以降 | 5年 | 3年 |
2020年3月31日以前 | 3年 | 3年 |
民法改正の関係で、2020年4月1日以降の人損部分に関する時効期間が3年から5年に変更となっています。
もっとも、自賠責保険への請求や自身の加入する任意保険会社への請求については、民法以外の法律にもとづいて認められているため、2020年4月1日以降の交通事故であり、人損部分に関する請求であっても3年のままです。
そして、時効のカウントは「損害および加害者を知ったときから」となります。
「損害を知ったとき」とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時点です。
基本的には、事故により怪我が発生するため、事故日となることが多いでしょう。
しかし、後遺症の中には、事故からある程度期間が経過しないと認識できない症状があります。
このような後遺症については、後遺症を現実に認識することが可能となった時点を「損害を知ったとき」としてください。
「加害者を知ったとき」とは、損害賠償請求を行うことが事実上可能な程度に加害者が誰であるのかを知った時点です。
具体的には、加害者の氏名、住所を認識した時点とされています。
事故の時点で加害者から氏名や住所を確認したのであればその時点といえるでしょう。
ひき逃げや、加害者が氏名や住所についてうそをついたといった事案では、実際に加害者の氏名や住所を知った時点となります。
自動車保険には強制加入である自賠責保険と、自らの意思で加入する任意保険があり、加害者が無保険の場合とは、自賠責保険には加入しているが任意保険には加入していない場合と、どちらの保険にも加入していない場合があります。
任意保険に加入していない加害者が、交通事故により生じた損害や費用を全て支払えるほどの資力を有している可能性は一般的に低いといえるでしょう。
そのため、自賠責保険に対して請求を行い、自賠責保険では補償されない範囲について、加害者本人に対して請求を行って下さい。
自賠責保険において補償される範囲は、以下のようになります。
交通事故で生じた損害や費用の補償範囲
補償される金額の合計は120万円までです。
120万円を超える部分については、加害者本人に請求する必要があります。
傷害慰謝料は、実際の治療日数を2倍にした数字と、治療開始から終了までの日数のうち少ない方の日数から計算してください。
交通事故の発生日が2020年3月31日以前の場合には、傷害慰謝料は1日4200円、休業損害は1日5700円として計算します。
また、被害者に後遺障害が生じた場合には、後遺障害慰謝料の請求が可能となりますが、自賠責保険に請求できる金額と相場の金額には差があります。
等級 | 自賠責* | 相場の金額 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650 (1,600) | 2,800 |
2級・要介護 | 1,203 (1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150 (1,100) | 2,800 |
2級 | 998 (958) | 2,370 |
3級 | 861 (829) | 1,990 |
4級 | 737 (712) | 1,670 |
5級 | 618 (599) | 1,400 |
6級 | 512 (498) | 1,180 |
7級 | 419 (409) | 1,000 |
8級 | 331 (324) | 830 |
9級 | 249 (245) | 690 |
10級 | 190 (187) | 550 |
11級 | 136 (135) | 420 |
12級 | 94 (93) | 290 |
13級 | 57 (57) | 180 |
14級 | 32 (32) | 110 |
※金額は万円。()内の金額は2020年3月31日以前に発生した事故の場合に適用
相場の金額との差額分については、被害者本人に請求しましょう。
加害者が自賠責保険に加入していない場合には、政府の保障事業により、自賠責保険で補償される範囲の請求が可能となります。
損害保険会社の窓口に連絡すれば、請求のために必要な書類を入手でき、手続き方法が確認できます。
損害保険会社の窓口の連絡先は『国土交通省のホームページ』から確認可能です。
補償される範囲は自賠責保険に請求する場合と同様であり、補償されない部分については加害者本人に請求することになります。
自身の加入している任意保険の契約内容次第では、自身の加入している任意保険会社に保険金の請求を行うことが可能です。
特に、以下のような契約内容となっていないのかを確認してください。
無保険車傷害保険
任意保険に加入していない加害者との事故により、被保険者が死亡、または、後遺障害を負った場合に保険金が支払われる。
人身傷害補償保険
被保険者が人身事故により死亡、または、傷害を負った場合に保険金が支払われる。
搭乗者傷害保険
被保険自動車に搭乗していた人が事故により傷害を負った場合に、同乗者に保険金が支払われる。
加害者が無保険の場合についてさらに詳しくはこちらの記事『交通事故の加害者が無保険』をご覧ください。
示談交渉がうまくいかず交渉が長引けば、示談金が支払われる時期が遅くなります。
そうすると、実際に支払った費用により家計が圧迫され、示談金が支払われるまえに生活が破綻してしまう恐れもあるでしょう。
このような事態を避けるために、示談交渉が長引いているのであれば、自賠責保険に対して請求を行い、自賠責保険で補償される金額について先に確保すべきです。
また、自賠責保険には、傷害の程度に応じて速やかに一定の金額を支払うという仮渡金制度があるので、当座の生活費を確保することができます。
自賠責保険に請求を行った場合には、自賠保険から支払われた分について差し引いたうえで、示談金の金額を決めることになります。
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示談交渉は示談内容についてお互いの合意がなければ成立しません。
そのため、金額について争いが収まらず当事者間での解決が困難であれば、他の手段をとる必要があります。
ADR機関とは、仲裁人となる第三者を紹介し、仲裁人を介して交渉を行う場を設けてくれる機関のことです。
無料で利用可能であり、裁判よりも手続きは簡単であるため、気軽に利用することができます。
交通事故に関するADR機関には以下のようなものがあります。
仲裁人となる弁護士が当事者双方の言い分をきいたうえで、仲裁案を提案するというやりとりが行われます。
仲裁人となる弁護士は、相場に近い金額で和解するよう持ち掛けることが多いので、被害者としては納得のいく妥当な金額で解決する可能性が高いでしょう。
ただし、示談交渉と同様に、双方の合意が必要となります。
裁判所に訴訟を提起すれば、裁判所が損害賠償金額を決定します。
判決で決定された金額を支払う義務が生じるので、双方の合意は不要です。
また、判決の効力として、加害者が支払いを行わない場合には、加害者の財産を差し押さえるという強制執行を行うことが可能となります。
しかし、裁判の手続きは複雑であり、一度判決が確定すると原則的にやり直しができません。
そのため、専門家である弁護士への依頼が欠かせないでしょう。
弁護士に依頼する費用と、裁判により認められる金額を確認し、裁判を行うべきかどうかを判断してください。(関連記事:『交通事故の裁判解決までの期間はどのくらい?裁判手続きの流れも紹介』)
示談交渉で要注意とすべき点
『加害者の提案する金額は相場よりも低額』で述べたように、加害者が提案してくる示談金額は、相場よりも低い金額となるので、被害者側から示談金の増額交渉が必要となります。
しかし、示談交渉の相手となるのは、その多くが加害者が加入している任意保険会社の担当者です。
担当者は少しでも示談金を支払わないようすることが仕事のため、専門家でもない被害者の主張に応じる可能性が低く、相場の金額までの増額を実現することは難しいといえます。
早く決着をつけたい被害者からすると、交渉のプロである担当者に相場よりも低い金額で妥協するよう言葉巧みに誘導されてしまう恐れが高いといえるでしょう。
このような問題について、弁護士からの請求であれば態度が軟化し、担当者が譲歩する可能性が高くなります。
なぜなら、弁護士からの請求を認めずにいると、裁判となる恐れがあるためです。
弁護士が適切に裁判を行えば、相場の金額を支払うという判決が出てしまうことから、そうなる前に相場よりも多少低い金額まで譲歩して示談しようと担当者は考えます。
そのため、弁護士に依頼することで相場の金額に近い金額まで、示談金の増額が期待できるのです。
弁護士に依頼すれば、示談金の増額以外にも、以下のようなメリットがあります。
相場の示談金の計算は、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準を資料に行いますが、この資料は法的知識を有していなければ読み解くことが難しくなっています。
そのため、法的知識を有さない人が計算を行おうとすると、非常に時間がかかる恐れがあるのです。
弁護士に依頼を行えば、素早く、かつ、正確に相場の金額を計算し、示談交渉において増額の請求を行ってくれます。
専門家である弁護士からの請求であるため、加害者側もすぐに譲歩する可能性が高く、落としどころである金額までの増額が早急に行われるでしょう。
そのため、弁護士に依頼すれば示談交渉がスムーズに進み、示談金を得られる時期も早くなります。
示談交渉において示談金の増額を求める場合には、増額の根拠となる証拠を加害者側に提示することが欠かせません。
弁護士に依頼すれば、どのような証拠を提示する必要があり、その証拠を入手する方法を教えてもらえます。
そのため、示談交渉に欠かせない証拠の収集作業に関する疑問や不安が解消し、楽に収集を行えるでしょう。
弁護士に依頼すれば、代理人である弁護士が加害者との交渉を代わりに行ってくれます。
治療中や、仕事を行っている最中に示談交渉の連絡が来るということは、被害者にとってストレスとなるので、なるべく避けるべきでしょう。
連絡が来てほしくないあまりに、加害者の提案する不当な金額で示談してしまう恐れもあります。
弁護士に依頼を行えば、加害者からの連絡が来なくなるので、精神的な負担を減らすことが可能となるのです。
弁護士に支払う費用に関しては、まず、自身の加入している任意保険に弁護士費用特約が付いていないのかを確認してください。
弁護士費用特約を利用すれば、相談料は、通常、10万円まで、報酬は300万円までを任意保険会社が負担してくれます。
被害者が実際に負担する金額が非常に低くなるため、弁護士への依頼を行うべきです。(関連記事:『交通事故の弁護士費用相場・弁護士費用特約』)
被害者の行動により示談交渉が不利になる恐れがあることから、事故後、なるべく早い段階で依頼を行ってください。
弁護士費用特約が利用できない場合には、依頼することによるメリットと、予想される報酬額を比較して判断する必要があります。
無料で法律相談を行っている法律事務所もあるので、そのような事務所で相談を行い、見通しや報酬を確認するのがよいでしょう。
報酬ついては、報酬の支払い方法が重要なポイントになります。
弁護士に支払うことになる報酬は、主に、依頼を行った時点で支払う着手金と、依頼を達成した時点で支払う成功報酬があります。
成功報酬のみのを支払うのであれば、示談金を得てからの支払いとなることが多いため、報酬を支払えないというリスクは小さくなるでしょう。
弁護士に依頼するのであれば、交通事故案件を多く取り扱っている弁護士に依頼を行いましょう。
交通事故案件を多く取り扱っているのであれば、ノウハウがしっかりとしており、適切な示談交渉を行ってくれるはずです。
アトム法律事務所は、今まで多くの交通事故案件を取り扱っており、交通事故案件に精通した弁護士が在籍しています。
無料相談を行っており、報酬も原則的に成功報酬のみとなっているので、安心して相談や依頼を行うことが可能です。
メールやラインでも連絡可能のため、是非一度ご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了