交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
ケガの治療のために通院したり、入院した場合、慰謝料はいくらもらえるのだろうか?
交通事故の被害者にとって、適切な金額を受け取れるのかという疑問はつきものでしょう。
慰謝料の請求は1日の入院・通院から可能です。
しかし、1日あたりの金額を治療日数で掛け算する方法は、適切ではない恐れがあります。とくに、日額4,300円ほどで計算されている場合は要注意です。
注意が必要な理由と、どうすれば慰謝料をきちんと受け取れるのかを解説します。
目次
事故発生時期が2020年4月1日以降の場合、保険会社が提示する1日あたりの入通院慰謝料は4,300円です。加害者側の任意保険会社からは、4,300円を少し上回る金額提示を受ける可能性もありますが、ほとんど変わらないと考えておいてください。
しかし、日額4,300円という金額には増額の余地があります。
被害者が入院・通院で負った精神的苦痛は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)として請求可能です。入通院慰謝料を適正な金額で受けとるには、弁護士が交渉して目指す金額を知ることがポイントになります。
治療期間が1ヶ月だった場合、1日あたりの慰謝料は下表のとおりです。
入院1ヶ月 | 通院1ヶ月 | |
---|---|---|
保険会社 | 日額4,300円* | 日額4,300円* |
弁護士** | 日額17,666円(11,666円) | 日額9,333円(6,333円) |
*2020年3月31日以前に起こった交通事故の場合は4,200円
**弁護士が提示する慰謝料額は重傷時(軽傷時)として表記
弁護士が目指す治療期間1ヶ月の入通院慰謝料の相場は、入院1日17,666円、通院1日9,333円です。
むちうち・打撲などの軽傷時には、入院11,666円、通院6,333円となり、重傷時の金額よりも低めです。しかし、保険会社が提案してくる日額4,300円と比べると高額といえます。
ポイント
弁護士による慰謝料算定の基準を「弁護士基準」といいます。弁護士基準で慰謝料を計算するとき、被害者にとって最も高額な算定結果となるのです。なお、弁護士基準は裁判基準ともいわれています。裁判所で使われている基準と同一であり、被害者が受けとるべき正当な慰謝料と考えてください。
被害者にとって重要な弁護士基準の入通院慰謝料算定方法を解説します。
まず、通院期間が長くなると1日あたりの慰謝料は低くなるのが基本です。
弁護士基準の入通院慰謝料について、通院1ヶ月から通院6ヶ月までの日額推移は以下のまとめ表で確認してください。
入院1日 | 通院1日 | |
---|---|---|
1ヶ月 | 17,666円 | 9,333円 |
2ヶ月 | 16,833円 | 8,666円 |
3ヶ月 | 16,111円 | 8,111円 |
4ヶ月 | 15,333円 | 7,500円 |
5ヶ月 | 14,466円 | 7,000円 |
6ヶ月 | 13,555円 | 6,444円 |
つづいて、弁護士基準で慰謝料を計算した場合、軽傷時には1日あたりの慰謝料がいくらになるのかをみていきましょう。
治療期間 | 入院1日 | 通院1日 |
---|---|---|
1ヶ月 | 11,666円 | 6,333円 |
2ヶ月 | 11,000円 | 6,000円 |
3ヶ月 | 10,222円 | 5,888円 |
4ヶ月 | 9,666円 | 5,583円 |
5ヶ月 | 9,000円 | 5,266円 |
6ヶ月 | 8,444円 | 4,944円 |
交通事故の慰謝料には、後遺障害が残ったことへの「後遺障害慰謝料」や、死亡したことへの「死亡慰謝料」があります。どちらも1日いくらという日額は算定できません。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じた目安額が設定されています。後遺障害等級の認定にあたっては、後遺症の残る部位や程度、生活や仕事への支障などの個別具体的な事情も考慮されるもので、日額計算はできません。
死亡慰謝料は、被害者が家庭で担っていた役割に応じた相場が設けられています。被害者の生前の状況や家族構成などから、被害者の死亡慰謝料が算定されるので、日額計算はできません。
ここまでのポイント
入通院慰謝料を1日単位で計算すべきでない理由は次の3つです。
3つの理由について説明します。
入通院慰謝料は、弁護士基準で計算するときに最も高額になります。弁護士基準による算定方法では、治療開始から終了までの期間の長さを重視しており、通院日数に応じて支払われるという仕組みではありません。
保険会社から通院日数分の慰謝料を提示されている場合は注意が必要です。提示内容を弁護士に確認してもらい、不当に低い金額となっていないかを確かめてください。
通院すればするほど慰謝料額も正比例で増えていくという考えは誤りです。
自賠責基準で支払われる日額4,300円の慰謝料も、通院日数分すべてが対象となるわけではありません。ざっくりいうと、自賠責基準というのは、2日に1回のペースで通院するときに慰謝料が最高額となる仕組みになっているのです。(関連記事:交通事故における自賠責保険の慰謝料相場額はいくら?計算方法を紹介)
弁護士基準で慰謝料を算定した場合でも、治療期間が長くなるほど、1日あたりに換算した慰謝料は減ります。
どんな慰謝料の算定方法であれ、通院日数に正比例して慰謝料が増えるということはありません。
8,600円という金額は、自賠責基準の入通院慰謝料に関する誤解です。交通事故の慰謝料として日額8,600円の慰謝料が認められると勘違いしている方がいますが、あくまで日額は4,300円と覚えておきましょう。
自賠責基準の慰謝料計算方法を簡単にご説明します。
自賠責基準の慰謝料は、2つの計算式について計算結果の少ない方を採用する仕組みです。
自賠責基準の慰謝料計算式
1と2の計算式を比べて結果が少ない方を慰謝料とする
1の計算式は、実際の通院日数×2×4,300円となっています。1の計算式に関して後半部分を実際の通院日数×8,600円としてしまい、日額が8,600円のようにみえるということでしょう。
慰謝料の計算例(1)
1ヶ月の通院期間中、13日間通院した場合の入通院慰謝料を計算してみます。
計算結果の小さい方を採用するので、慰謝料は111,800円となります。
慰謝料の計算例(2)
1ヶ月の通院期間中、16日間通院した場合の入通院慰謝料を計算してみます。
計算結果の小さい方を採用するので、慰謝料は129,000円となります。
今回は計算式2の方が採用です。
このように、慰謝料の日額はあくまで4,300円です。8,600円支払われるというのは、計算式の見た目上の問題なので、通院すればするほど日額8,600円がもらえるわけではありません。
ここまでのポイント
慰謝料を1日単位で計算すべきでない理由3つ
交通事故の慰謝料は示談金の一部なので、示談金額が確定しないうちは慰謝料は受けとれないのです。
示談が長引きそうだけど慰謝料を早期に欲しいという方には「被害者請求」をおすすめします。
加害者が加入する自賠責保険に対して、被害者が直接保険金の請求を行うこと。
被害者は、自動車損害賠償保障法令で定められた支払基準額を限度として、示談に先行して慰謝料を受けとることができます。具体的な自賠責保険からの支払限度額は、傷害部分は最大120万円、後遺障害部分は最大4,000万円、死亡部分は最大3,000万円です。
通院慰謝料は、通院で負った精神的苦痛に対して支払われます。すなわち通院が無くなれば、精神的苦痛を感じることもありません。通院慰謝料が認められるのは、完治日または症状固定までです。
症状固定というのは、後遺症が残った被害者にとって重要な分岐点です。
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態に達すること
症状固定と判断されたら、後遺障害等級認定を目指しましょう。
後遺障害等級認定を適切に受けなければ、きちんとした賠償を受けられない恐れがあります。
交通事故の慰謝料は、通院1日から請求可能です。
ただし、1日で治療が終わったと早合点しないようにしてください。
当日は検査のみで病院にかかって異常は見つからなかったとしても、後から痛みが出てくる可能性もあります。
保険会社から直ちに示談の提示をされた場合でも、事故日即日に示談交渉を始めることは避けてください。
交通事故の慰謝料請求には、5年もしくは3年の期限があります。
被害者が加害者に対して、ケガ・後遺障害・死亡などの人的損害の賠償請求をする期限は5年に延長されました。
人的被害に係る時効は5年へと延長された一方、物損部分に関する損害賠償請求の時効は3年のままです。ひとつの交通事故の中に2つの時効が存在する状態となります。
また、保険会社へ保険金を請求する際の時効も3年のままです。
具体的には、加害者側の自賠責保険会社に対する被害者請求、自身で加入している保険会社への人身傷害保険や車両保険の請求などの時効は3年となります。
ここまでのまとめ
「後遺障害等級認定」を受けた場合、後遺障害慰謝料と逸失利益の2つが追加請求できます。そのため、被害者が受けとる賠償金の総額が増えるのです。
後遺障害等級認定の有無が金額にどれくらい影響するのかを、むちうちを例にして説明します。
後遺障害等級認定を受けた場合と、後遺障害なしの場合では、請求できる金額にどれくらい差額が出るのかを比較してみましょう。
後遺障害12級 | 後遺障害なし | |
---|---|---|
後遺障害慰謝料 | 290万円 | 0円 |
逸失利益* | 約477万円 | 0円 |
合計 | 約760万円 | 0円 |
*事故前の年収400万円と想定:年収の14%相当を向こう10年間分補償(計算式:56万円×8.5302)
後遺障害12級認定を受けると、入通院慰謝料とは別に290万円程度の後遺障害慰謝料が認められます。
また、後遺症による労働能力の低下で減収が生じたとして、年収の14%分を10年間分受けとることになります。ただし、逸失利益の計算は少し複雑です。
年収が400万円の人を例に考えてみます。
逸失利益とは、後遺症により失われた将来の収入を補償するものです。後遺障害12級の場合は、14%の漏能力を失ったと考えられます。
年収の14%にあたる56万円が10年間分補償されるため、逸失利益は約477万円となります。ポイントは、そのまま10年間分をまるまる補償されないことです。単純に10年間分というと、56万円を10倍した560万円と考えられがちでしょう。
しかし、実際に逸失利益は「10年分のライプニッツ係数である8.5302」を用いて算出されます。詳しい計算の仕組みを知りたい方は、関連記事『逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?』を参考にしてください。
後遺障害慰謝料と併せると、後遺障害12級認定の有無により約760万円の差額が出ます。
後遺障害12級の解説記事
交通事故の慰謝料は、被害者の精神的苦痛の大きさにあわせて増額されます。次のような事故については、交通事故の慰謝料が相場よりも高額になる代表的なパターンをみていきましょう。
これらの事情を反映し、慰謝料は個別に決定されます。
実際の慰謝料判例を知りたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料判例|死亡事故・重傷例|判例に近い金額をもらうには?』をお読みください。
嘘の供述を繰り返したり、被害者に非があるような嘘をつくことも、被害者の精神的苦痛を増悪させるものです。
交通事故の現場に居合わせることで、相当な精神的苦痛を感じる近親者もいます。精神的な負担が大きくかかる近親者に対しては、近親者固有慰謝料が認められる可能性があります。
また、生死が危ぶまれる状態が継続したり、麻酔なしでの手術を受けざるを得なかった場合には、苦痛がさらに大きいものであったと認められるのです。
より具体的な精神的苦痛の内容については、関連記事『交通事故の慰謝料が補償する精神的苦痛とは?相場金額と高額獲得に不可欠なこと』を読むと理解が深まります。
交通事故の損害賠償額において、過失割合は極めて重要です。
たとえば、過失割合9:1の事故(被害者の損害:300万円)を例に考えてみましょう。被害者にも1割の過失があるため、被害額300万円だとすれば、そのうちの1割にあたる30万円は戻ってこないのです。このように、自分の損害から自身の過失割合を差し引いて考えることを「過失相殺」といいます。
つまり、相手から賠償されない分については、自己負担をしなくてはいけません。自分で払うのか、自分で加入している保険を使うのかを検討しましょう。
あわせて読みたい記事
交通事故の慰謝料は、治療にかかった期間で算定する「弁護士基準」を使うと、最も相場が高くなります。
一方で、弁護士基準の算定結果が認められづらいケースとして、通院の頻度が低いケースがあげられるでしょう。具体的な事例をあげてみます。
骨折で入院1ヶ月・通院1ヶ月の場合、入通院慰謝料の相場は77万円です。
では、毎週3.4日ほど通院治療を続けた人と、退院後は1回しか通院治療しなかった人の慰謝料は同じでしょうか。
痛みにさらされたり、治療を受ける苦痛や不便さも、慰謝料で補償されています。通院頻度が明らかに低い場合には、精神的苦痛も少ないものと見なされ、相場通りの慰謝料は認められづらいものです。
また、一生懸命にリハビリをしたり、定期的に検査を受けるなどの治療に励んだ人と、ただ湿布だけを処方され続けた人とでも、精神的苦痛の違いがあります。治療はケガを治すことを目的としているため、治療につながる行動をとっていない見なされて、実際の通院期間が認められません。
もし、通院頻度や通院日数についてご不明点があれば、お気軽にご相談ください。
ここまでのまとめ
交通事故の慰謝料を自動で計算してくれる「慰謝料計算機」を使えば、受けとる慰謝料の適正目安がすぐわかります。慰謝料計算機の算定結果は、弁護士に依頼した場合の相場です。
特にこういった方には、慰謝料計算機がおすすめです。
慰謝料計算機の計算結果と、保険会社の提示額を比較してみてください。ほとんどのケースで、慰謝料計算機の方が算定結果は高いでしょう。
示談交渉の段階は、弁護士相談の最後のタイミングともいえます。
なぜなら、示談を一度示談を結ぶと、示談のやり直しができる可能性はほぼありません。示談前は弁護士に相談をする最後のチャンスです。
弁護士基準で慰謝料を算定する時には慰謝料算定表を使います。
慰謝料算定表の見方
重傷用と軽傷用に分かれているので、むちうち・打撲・創傷などの軽傷時には「軽傷用の慰謝料算定表」を使ってください。
治療期間別の慰謝料相場は以下の関連記事で詳しく解説中です。
アトム法律事務所は、交通事故の被害者救済のため、これまで多数の交通事故案件を取り扱ってきました。(取り扱い実績:交通事故の慰謝料が弁護士介入で増額した事例|何倍の増額が見込める?)
全国主要都市に事務所をかまえ、各支部の弁護士できっちり連携をしています。なかには、保険会社の弁護士としての経歴を持つ弁護士も在籍しているので、保険会社の考えも手に取るようにわかるのです。
しっかりお話をお伺いして、見込める慰謝料の目安をお伝えします。
アトム法律事務所の取り組み
これまでのご相談者の不安としてあがっていたのが「弁護士費用」です。
交通事故の示談交渉などを弁護士に依頼した場合にかかる費用の総称をさす。具体的には、法律相談料、着手金、成功報酬、日当、実費がある。
弁護士に依頼して増額できても、弁護士費用を支払うとほとんど手元に残らないと思っている方は多いのです。
また、弁護士費用特約がないために、弁護士への依頼そのものを諦めている方もいますが、アトム法律事務所は初期費用が掛かりません。
まず、弁護士は正式契約前に獲得できる金額の見込みをお伝えします。同時に、見込み通りの金額となった場合の弁護士費用もお話しますので、手元に残るおおよその金額をわかったうえで契約可能です。あくまで目安になりますが、正式契約前にきちんとお話しますので、安心してください。
わからないことやモヤモヤを抱えたまま示談をしてしまっては、この先にずっとわだかまりとなって残ります。
お問い合わせと契約は別ものです。
弁護士相談は特別なことではありません。アトム法律事務所では、これまでにも多数の事故被害者から相談を受け、より良い解決となるように努めてきました。
この記事の要点
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了