交通事故の慰謝料判例|死亡事故・重傷例|判例に近い金額をもらうには?

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の慰謝料について、次のような疑問を持ったことはありませんか。

  • 被害者のケガに応じた判例を知りたい
  • 死亡などの重大事故の判例が気になる
  • 裁判を起こしたらどれくらいの慰謝料が認められるの?

このようなお悩みを解決するべく、交通事故の慰謝料判例を網羅的に解説します。

また、加害者側から提示された金額が妥当なのかを調べてみたいという方に向けて、適正な慰謝料の相場についても解説していきます。

交通事故で死亡|慰謝料の判例

自動車とバイクが交差点で衝突事故

事故の概要

認容額1億4,992万2,536円
年齢44歳
性別男性
職業有限会社代表取締役
傷病名外傷性くも膜下出血、局所性脳挫傷、肋骨多発骨折など

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

信号のない交差点で起きた事故で、バイクに乗っていた40代の男性(取締役社長)が死亡した事故です。

裁判による認容額は1億4,992万2,536円で、慰謝料2,703万円、死亡逸失利益1億4,163万300円、そのほか治療費、入院雑費、葬儀費用などの一部が認められました。また、残された家族に対する慰謝料(近親者固有の慰謝料)も一部認められています。

なお、交差点に進入する際の道路状況から、被害者側(バイク)にも、安全確認の義務があったと認定され、2割の過失相殺がなされました。

遺族らへ約1.5億円の賠償額が認容された死亡事故判例

右折進行する自動車と二輪車の追突事故

事故の概要

認容額2,820万9,756円
年齢73歳
性別男性
職業年金受給者
傷病名心臓破裂

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

信号機で交通整理されている交差点で起こった追突事故です。被害者は二輪車で走行していた70代の年金受給者でした。後方から自動車に追突され、事故から約1週間後に亡くなられた事故です。

裁判の結果、認容額は2,820万9,756円で、慰謝料2,300万円、死亡逸失利益203万7,956円、そのほかにも、治療関係費、葬儀費用、弁護士費用、近親者固有の慰謝料などの一部が認められました。

なお、自動車が右折する際に被害者の二輪車を見落として追突し、さらには被害者を轢過したことが原因であると判断され、被害者に過失はないとされました。

過失なしのバイク死亡事故で損害賠償認容額が2800万円超

自動車と歩行者が道路上で衝突した事故

事故の概要

認容額3,029万7,723円
年齢79歳
性別女性
職業主婦
傷病名頭部外傷

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

車道を横断しようとした被害者と、自動車による衝突事故でした。被害者は70代の主婦で、事故発生から約2週間後に亡くなった事故です。

裁判の結果、3,029万7,723円が認容されました。そのうち慰謝料2,405万円、死亡逸失利益938万95円のほか、治療関係費、葬儀費用、弁護士費用、近親者固有の慰謝料に関しても一部の支払いが認められたのです。

なお、横断歩道を利用せずに車道を横断しようとした被害者の過失も認められ、過失割合85:15となりました。

【埼玉県】死亡事故による損害賠償額が3千万超認容された判例

交通事故による後遺障害|慰謝料の判例

ここからは、交通事故で負った怪我や後遺障害別に慰謝料が認められた判例のごく一部をみていきましょう。

脊髄損傷の慰謝料判例

総額1億円以上認定された判例

事故の概要

認容額1億4,834万8,287円
年齢30歳
性別男性
職業契約社員
傷病名胸髄損傷(第三、四胸椎破裂骨折)、右上腕骨及び肩甲骨骨折
後遺障害等級1級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

交差点での直進車と右折車両の衝突事故により、被害者は胸髄損傷、右上腕骨と肩甲骨の骨折といった重傷を負いました。被害者は常に他人の介護が必要な状態となり、後遺障害等級別表 1級1号に認定されたのです。

生命の維持に介護が欠かせないものと認められるため、将来介護費も認められました。

裁判では1億4,834万8,287円が認められ、そのうち慰謝料は3,131万円、後遺障害逸失利益は7,417万2,661円、将来介護費は5,305万2,604円となります。そのほかにも、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害等も認められました。

なお、加害者側の注意義務違反が事故発生の原因としつつも、被害者も前方走行車両の動静を見守るべきとして過失ありと判断され、事故の過失割合は「85:15」とされました。

30歳男性、脊髄損傷で後遺障害1級。賠償額1億円以上に。

過失3割の被害者に車いす購入費などが認められた判例

事故の概要

認容額5,676万9,029円
年齢20歳
性別男性
職業会社員
傷病名第三腰椎脱臼骨折・左鎖骨開放性骨折・頭部挫傷・脊髄損傷など
後遺障害等級3級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

T字型に交差する交差点で、被害車両と加害車両が衝突した事故です。加害車両が側道へ右折したところで発生しました。

被害者は、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身働くことが出来ないとして、後遺障害3級3号に認定されました。
また、日常生活で車いすが欠かせず、部分的には付添も必要であると認められたのです。

裁判での認容額は5,676万9,029円となりました。主な内訳は、慰謝料2,030万円、後遺障害逸失利益8,700万円、車いす購入費71万4,887円、住宅改造費80万円などです。

なお、被害者についても、加害車両への注意不足や減速措置を取らなかったことから3割の過失がつきました。

20歳男性、脊髄損傷で後遺障害3級。賠償額5676万

頸髄損傷の慰謝料判例

自動車同士の追突事故で頸髄を損傷した

事故の概要

認容額3,550万8,208円
年齢53歳
性別男性
職業代表取締役
傷病名頸部挫傷、頭部外傷、右肘打撲傷
後遺障害等級9級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

加害者・被害者双方が自動車で、被害車両に加害車両が追突して事故が発生しました。
被害者は頸部挫傷、頭部外傷、右ひじの打撲といった怪我をして、後遺障害9級10号に認定されたのです。

裁判での認容額は3,550万8,208円で、内訳としては慰謝料700万円、後遺障害逸失利益4,331万円610円、休業損害802万8,150万円などです。

なお、被害者には事故前から既往症があったため、約3割の減額がなされました。この判例からもいえるように、交通事故の損害賠償で請求できるのは、事故との因果関係が認められた損害のみです。

本件事故の衝撃で頸髄損傷が発生。賠償額3550万円認定。

変形障害の慰謝料判例

過失の無い自転車と自動車の衝突事故

事故の概要

認容額1,823万4,309円
年齢26歳
性別女性
職業無職
傷病名腰部捻挫、頭部外傷、第10・11・12胸椎圧迫骨折
後遺障害等級11級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

交差点の横断歩道を横断中の自転車前部に、左折進入してきた自動車が衝突して起こりました。
被害者は、胸椎圧迫骨折による脊柱の奇形障害、背中や腰の痛みを訴えて後遺障害11級の認定を受けたのです。

裁判での認容額は1,823万4,309円で、その主な内訳は慰謝料600万円、逸失利益1,416万7,550円、治療関係費192万円6,258円などでした。

なお、事故形態から明らかに自動車に過失があり、被害者に過失がないものと考えられるため、過失割合は10:0となりました。

過失なしの自転車事故、脊柱の変形障害を負ったときの判例

自動車に追突されて骨盤骨変形障害を負った

事故の概要

認容額4,857万7,118円
年齢31歳
性別男性
職業美術講師
傷病名腰椎脱臼骨折、腰椎横突起骨折、脊髄(馬尾)損傷、右肋骨骨折など
後遺障害等級6級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

被害者は原動機付き自転車で道路を直進していたところ、時速約60~70kmで走行してきた加害者の普通乗用自動車に後ろから追突されました。
脊柱の変形障害、腰部以下の知覚障害、筋力低下による両足の運動障害、骨盤骨変形障害などを負い、後遺障害併合6級認定となったのです。

裁判での認容額は4,857万7,118円で、主な内訳として慰謝料2,000万円、後遺障害逸失利益として2,407万1,592円、弁護士費用450万円のほか、入院雑費の請求も認められました。

なお、加害者が安全運転の義務を怠ったことから事故が起こったため、被害者に過失はつきませんでした。

脊柱の変形障害など複数の後遺障害により6級認定を受けた判例

骨折の慰謝料判例

前方を走行する車両の転回によりドアと衝突した

事故の概要

認容額1,583万8,690円
年齢20歳
性別男性
職業大学生
傷病名左足関節脱臼骨折
後遺障害等級12級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

片側二車線道路の第二車線を走行していると、加害者の自動車が転回を始めたために、車の右側面部とぶつかり、右足関節脱臼骨折を負いました。

治療・手術を経ましたが、被害者には、左足関節に機能障害が残り、後遺障害12級7号に認定されたのです。

裁判の結果、認容額は1,583万8,690円となりました。主な内訳としては、慰謝料440万円、逸失利益1,418万9,162円のほか、休業損害62万円、弁護士費用として145万円などが認められました。

【学生】バイク事故で左足骨折、後遺障害12級認定

醜状障害の慰謝料判例

顔にケガをしたのが女子中学生であることを慰謝料に考慮した

事故の概要

認容額1,565万9,244円
年齢15歳
性別女性
職業中学生(事故当時)
傷病名左肺血気胸、顔面多発骨折、顔面挫創、上下顎骨骨折、八歯欠損など
後遺障害等級11級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

被害者は自転車で渋滞中の車列の間をすり抜けて横断しようとして、走行してきた大型バイクと衝突しました。なお、大型バイク側は、追越のための右側部分はみ出し禁止ならびに制限速度時速30キロメートルなどの規制に違反状態です。

被害者は、顔面多発骨折、顔面挫創、上下顎骨骨折、八重歯欠損などのケガを負い、後遺障害併合11級に認定されました。

裁判の結果、認容額は1,565万9,244円です。認容額の主な内訳は、慰謝料620万円、後遺障害逸失利益295万6,383円、治療費712万6,710円、インプラント治療費460万4,254円となりました。

被害者の顔面醜状は、「後遺障害等級表」で定めた内容には該当しないものの、女性の顔面醜状であることが考慮されました。

なお、本事故については被害者にも一定の過失が認定されています。

【学生】女子中学生の顔面醜状、慰謝料算定に考慮

顔面醜状のほか歯牙障害、嗅覚障害などの併合11級認定

事故の概要

認容額1,235万5,636円
年齢29歳
性別男性
職業焼き鳥屋店員
傷病名顔面骨多発骨折、歯牙損傷、脳挫傷、右下腿内顆骨折、右結膜下出血
後遺障害等級11級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

信号機のある交差点で、加害者が運転する自動車が右折しようとして、対向車線を直進しているバイクと衝突しました。

被害者は顔面多発骨折などの傷害を負い、嗅覚障害、歯牙障害、顔面部の醜状障害など併合11級認定を受けたのです。

裁判では、1,235万5,636円が認容されました。主な内訳は慰謝料713万6,880円、後遺障害逸失利益946万9,638円、休業損害551万1,010円などの賠償金となっています。

被害者自身の過失は5%認定されたため、一部過失相殺されました。

29歳男性、醜状障害による後遺障害11級で1千万円超認容

悪質な運転による事故の慰謝料判例

飲酒運転の慰謝料判例

事故の概要

認容額3億4,416万2,514円
年齢16歳
性別男性
職業中学生(事故当時)
傷病名肺挫傷、右血気胸、出血性ショック、心肺停止、肝損傷、骨盤骨折)、蘇生後脳症及び脳挫傷
後遺障害等級1級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

加害者は運転前に飲酒をしたことで、前方注視および正常な運転が困難な状態でした。その結果、車両を暴走させ、道路上にたたずんでいた被害者に衝突して、重大なケガを負わせたのです。

被害者は寝たきりの状態となってしまい、常に介護が必要な状態となりました。裁判で認容された賠償額は3億4,416万2,514円です。主な内訳としては、慰謝料3,500万円、後遺障害逸失利益9,101万6,830円、将来介護費1億2,441万1,255円、介護器具代1,608万4,970円などの介護費用も認められました。

【学生】飲酒運転の事故、被害者は昏睡状態。賠償額3億超

信号無視の慰謝料判例

事故の概要

認容額1億5,289万692円
年齢15歳
性別女性
職業中学生(事故当時)
傷病名頸髄損傷等
後遺障害等級1級

※既払い額控除や損益相殺がなされ、判決認容額となる

加害者は信号が赤であるにもかかわらず交差点に進入し、青信号に従って交差点を横断していた被害者に衝突しました。

被害者は頚髄損傷などのケガをおい、263日間の治療を経て症状固定となったのです。その結果、上肢不全麻痺、下肢完全麻痺、膀胱直腸障害などの自覚症状を伴う頸髄損傷とされ、労働能力の全てを失ってしまいました。

裁判で認容された金額は1億5,289万692円です。主な内訳は、慰謝料2,662万円、後遺障害逸失利益4,624万4,560円、将来介護費7,844万8,720円となりました。

【学生】被害者は労働能力100%喪失、賠償額1億超

交通事故の慰謝料を判例に近い金額でもらうには?

慰謝料を弁護士基準で計算することが重要

交通事故の被害者が負った精神的苦痛を、金銭的価値に置き換えて支払われるものを、慰謝料とよんでいます。しかし、目に見えないものに金銭的価値をつけるときに一定の基準がないと、不公平感が生まれるでしょう。

判例でみてきた慰謝料も、ある一定の基準に従って算定されています。基準額があり、それに加えて個別の事情を加味して、金額が決まるとイメージしてください。

裁判所では、これまでの裁判の結果を元にした「裁判基準」で慰謝料額を決めています。そして、この裁判基準を、裁判外でも適用されるように交渉する基準を「弁護士基準」といいます。裁判基準と弁護士基準は同じです。

判例と近しい慰謝料を受け取りたいと思うなら、保険会社に計算を任せず、弁護士基準で算定しましょう。

交通事故|弁護士基準で慰謝料はいくら増額する?計算方法や請求のポイントも

被害者自身で示談交渉しても増額は難しい

「判例のような慰謝料をもらうためには、裁判基準(弁護士基準)での増額交渉を自分ですればいいのでは?」と考える人もいるでしょう。

事実として、示談交渉を被害者自身で行うことは可能です。しかし、相手方の保険会社は、被害者単独で交渉してきても、あまり真剣に取り合わない可能性があります。なぜなら、増額を断り続けるうちに、被害者が諦めるだろうと考えているからです。

弁護士が示談交渉に立つと、保険会社の態度は変わります。なぜなら、示談が不成立となったら裁判になる可能性があるからです。

裁判となると、必然的に裁判基準、つまり弁護士基準の賠償となります。
示談でどれだけ突っぱねても、結局は弁護士基準を受け入れることになるのです。

弁護士に交渉を任せることで、よりスムーズに示談交渉が進むでしょう。

それでも自分で示談交渉したい方は、示談書に記載すべき項目や慰謝料の相場、加害者に確認すべき事項を整理しておきましょう。

交通事故の示談交渉は自分でもできるのか?注意点をまとめて紹介

慰謝料計算機で増額見込みを調べる

保険会社から提示された慰謝料を提示されても、その金額が妥当なのか分からなければ、何と返事をしていいものか悩んでしまいます。

適正な慰謝料の相場を知るために便利な自動計算ツールが、慰謝料計算機です。

慰謝料計算機では、慰謝料を弁護士基準で計算した金額がわかります。
保険会社の提示案に違いがあるようなら、早急に弁護士へ相談してみましょう。

交通事故・慰謝料相場の自動計算機|正当な金額をもらう方法総まとめ

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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