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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の代表的な例といえる「巻き込み事故」の被害者となってしまった場合、どうすれば適正な補償が受けられるようになるのでしょうか。
本記事では、巻き込み事故が生じる原因や事故を防ぐポイントに加えて、巻き込み事故の過失割合など事故被害にあった時に適正な補償が受けられるようにするポイントも紹介していきます。
どんな事故が巻き込み事故といわれるのかや、巻き込み事故が起こる原因と対処法についてみていきましょう。
巻き込み事故とは主に、交差点を右左折する車が、後ろから直進してきた自転車やバイク、横断歩道を渡ろうとする歩行者などを巻き込んでしまう事故のことです。
左折車が巻き込んでしまうケースが多いので「左折巻き込み事故」などといわれることもあります。
特に、トラックなど内輪差が大きい大型車は死角の範囲が広く、巻き込み事故が発生しやすいです。
巻き込まれるのは自転車やバイクが多く占めます。自転車やバイクは体がむき出しになっているため、重傷を負ったり、後遺障害が残ったり、死亡したりするなど重大な被害を受けやすいです。
運転免許の違反点数は、事故によって相手に与えてしまった被害の程度と運転者の不注意の程度から判断されます。
被害の程度 | 不注意 |
---|---|
死亡 | 専ら20点 それ以外13点 |
治療に要する期間が3月以上 または 後遺障害が残存する | 専ら13点 それ以外9点 |
治療に要する期間が30日以上3月未満 | 専ら9点 それ以外6点 |
治療に要する期間が15日以上30日未満 | 専ら6点 それ以外4点 |
治療に要する期間が15日未満 | 専ら3点 それ以外2点 |
※この表で示した点数は、付加点数のことで基礎点数に加算される点数のこと
違反点数についてさらに詳しくは警視庁ホームページの「交通違反の点数一覧表」で確認できます。
巻き込み事故が起こる主な原因は以下のようなものが考えられます。
巻き込み事故の主な原因
巻き込み事故が起こる原因は、後方確認を怠ったり、ウィンカーを出すのが遅れるなどの運転時に必要とされる安全確認不足といった基本的な不注意で起こることがほとんどでしょう。
「きっと相手の方が止まってくれるから大丈夫」といった思い込みから、事故が起こってしまいかねません。事故を防ぐ対処法は、車両を運転する人も、歩行者も十分な安全確認を行うことが大切です。
十分な安全確認が大切とはいっても漠然としているので、もう少し具体的に巻き込み事故を防ぐ対処法をみていきましょう。
巻き込み事故を防ぐ対処法は、巻き込んでしまう側と巻き込まれてしまう側に分けて考えましょう。
まずは巻き込んでしまう側の対処法です。
巻き込んでしまう側の対処法
教習所で習う基本的なことですが、初心を忘れずに丁寧な運転を心がけましょう。
つづいては巻き込まれてしまう側の対処法です。
巻き込まれてしまう側の対処法
歩行者が横断歩道の信号待ちをしている場合、電柱や信号機に体が隠れており自動車から死角になって見えないということもあります。そのほかにも、夜間に暗い色の服を着ていたり、自転車のライトを点け忘れている場合も自動車から認識しづらくなってしまう状況といえるでしょう。
巻き込み事故は身近に起こりやすい事故なので、常に注意が必要といえるでしょう。
ここまでのまとめ
交点を右左折する車が直進してきた自転車などを巻き込んでしまう巻き込み事故は、被害が重大になりやすい傾向にあります。車が後方確認を怠るなど基本的な安全確認不足から引き起こされるケースが多いので、事故を防ぐためには十分な安全確認を取ることが大切です。
巻き込み事故の過失割合は、事故の状況によってさまざまです。
以上のようなケースに分けて、代表的な巻き込み事故の過失割合をみていきましょう。
事故の過失割合は、事故態様に応じて決められた基本の過失割合に修正要素を加えることで、最終的な過失割合が決まります。
自動車がバイクを巻き込んだ事故の過失割合は、左折する自動車がバイクより先行していた場合とバイクを追越しようとしていた場合で基本の過失割合が分けられます。
バイク | 自動車 | |
---|---|---|
自動車がバイクより先行 | 20 | 80 |
自動車がバイクを追越 | 10 | 90 |
自動車がバイクより先行していた場合、自動車とバイクの基本の過失割合は8対2となります。
自動車がバイクを追越しようとしていた場合、自動車とバイクの基本の過失割合は9対1となります。
これら基本の過失割合に、以下の修正要素を加えて最終的な過失割合が決まります。
バイク | 自動車 | |
---|---|---|
バイクの著しい前方不注視 | 10 | |
バイクの15km以上の速度違反 | 10 | |
バイクの30km以上の速度違反 | 20 | |
自動車の大回り左折 自動車の進入路鋭角 | 10 | |
自動車の合図遅れ | 5 | |
自動車の合図なし | 10 | |
自動車の直近左折 | 10 | |
自動車の徐行なし | 10 | |
著しい過失 | 10 | 10 |
重過失 | 20 | 20 |
※参照:別冊判例タイムズ38号【213】【214】
自動車が自転車を巻き込んだ事故の過失割合は、左折する自動車が自転車より先行していた場合と自転車を追越しようとしていた場合で基本の過失割合が分けられます。
自転車 | 自動車 | |
---|---|---|
自動車が自転車より先行 | 10 | 90 |
自動車が自転車を追越 | 0 | 100 |
自動車が自転車より先行していた場合、自動車と自転車の基本の過失割合は9対1となります。
自動車が自転車を追越しようとしていた場合、自動車と自転車の基本の過失割合は10対0となります。
これら基本の過失割合に、以下の修正要素を加えて最終的な過失割合が決まります。
自転車 | 自動車 | |
---|---|---|
自転車が児童等・高齢者 | 5 | |
自動車の大回り左折 自動車の進入路鋭角 | 10 | |
自動車の合図遅れ | 5 | |
自動車の合図なし | 10 | |
自転車が自転車横断帯通行 | 5 | |
著しい過失・重過失 | 5~10 | 5~10 |
※参照:別冊判例タイムズ38号【289】【290】
信号機のある交差点を自動車が左折する際、歩行者が信号の色を守っていても巻き込み事故にあってしまうケースが後を絶ちません。
自動車が歩行者を巻き込んだ事故の過失割合はさまざまなケースが考えられますが、ここでは左折車が青信号で横断を開始した歩行者を巻き込んだ場合の過失割合をみてみましょう。
自動車が青信号で横断を開始した歩行者を巻き込んだ場合、自動車と歩行者の基本の過失割合は10対0となります。
この基本の過失割合に、以下の修正要素を加えて最終的な過失割合が決まります。
歩行者 | 自動車 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 0 | 100 |
歩行者が直前直後横断 歩行者が佇立・後退 | 5~10 | |
歩行者が児童・高齢者 | 5 | |
歩行者が幼児・身体障害者等 | 5 | |
自動車の著しい過失 | 5 | |
自動車の重過失 | 10 |
※参照:別冊判例タイムズ38号【12】
ここまでで紹介した過失割合は、数多くある過失割合のうち、ほんの一部にすぎません。そのほかの事故状況に応じた過失割合が気になる方は、弁護士への相談をおすすめします。
また、最終的な過失割合は事故の個別の状況を丁寧に反映して決められるものです。保険会社の一方的な通知が来て、過失割合に納得していないという方は、弁護士に一度ご相談ください。
巻き込み事故でもらえる慰謝料などは、過失割合によって金額が変わってきます。過失割合の計算方法から、慰謝料の内訳についてみていきましょう。
過失割合とは、事故を引き起こした責任の割合を数値で示したものです。巻き込み事故に限った話ではありませんが、事故を引き起こした責任があればその分の責任を負わなければなりません。
自分に少しでも過失割合があれば相手方からもらえる慰謝料など補償の金額は減り、相手方に対しても補償する必要が出てきます。過失割合の数値が高くなるほど負うべき責任は重く、相手に対して支払う損害額も高くなります。
つまり、被害者であっても過失が少しでもあれば、その過失分は加害者なので、相手に損害額の全額を請求することはできません。
過失割合があると…
自分にも過失割合が認められるときの対応については『交通事故の過失割合で自己負担が増減』でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ここからは過失割合がどのように慰謝料などの損害賠償に影響を与えるのか、実際に計算してみます。
加害者が9割の過失割合かつ150万円の損害、被害者が1割の過失割合かつ700万円の損害を想定して計算します。
加害者 | 被害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 90% | 10% |
損害額 | 150万円 | 700万円 |
請求金額 (過失相殺) | 150万円×10% =15万円 | 700万円×90% =630万円 |
受け取れる額 | 0円 | 615万円 |
自己負担 | 150万円×90% =135万円 | 700万円×10% =70万円 |
被害者は損害700万円のうち9割の630万円を加害者に対して請求することができますが、加害者に対して15万円支払わなければなりません。さらに、被害者は損害700万円のうち1割の70万円を自己負担する必要があります。
巻き込み事故でもらえる慰謝料などは、過失割合によって金額が変わってきますが、過失割合を適用する前に事故で受けた損害の総額となる内訳を知っておくことが大切です。
巻き込み事故でもらえるお金は、慰謝料をはじめとしたさまざまな損害項目を合計したものです。
事案によって発生する損害項目は異なりますが、どの事故でも共通して発生する主な損害項目を紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
治療費 | 事故で負ったケガの治療にかかった費用 |
休業損害 | 事故でケガを負って働けなかった期間の収入補償 |
入通院慰謝料 | 事故でケガを負って受けた精神的苦痛に対する補償 |
その他 | 通院交通費、付添費など |
逸失利益※ | 事故で負ったケガが後遺障害として残ったことで、将来にわたる収入の減少に対する収入補償 |
後遺障害慰謝料※ | 事故で負ったケガが後遺障害として残ったことで受けた精神的苦痛に対する補償 |
修理費用 | 事故で損傷した車の修理代など |
※後遺障害等級に認定された場合に請求が可能となる
治療費や修理費用などは、基本的に実費を請求することになるでしょう。
注目すべきは休業損害や逸失利益といった収入補償に関する項目、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料といった精神的苦痛に関する項目です。これらは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のうちどの基準を使って算定するかで最終的に得られる金額が変わってきます。
3つある基準のうち、最も金額が高額になるのは弁護士基準による算定です。
相手方が加入する任意保険会社は、支払いをできるだけ抑えようと自賠責基準や任意保険基準による低い金額でしか計算してこないでしょう。任意保険会社が提示してくる金額がいかに低いかは、慰謝料の適正相場を知ることでわかります。
まずは、慰謝料の適正相場がわかるこちらの「慰謝料計算機」をお使いください。
すでに相手方の任意保険会社から慰謝料などの金額の提示を受けており、慰謝料計算機による結果のほうが高くなったという方は、増額の余地があります。
慰謝料増額を実現するには、弁護士相談をおすすめします。
ここまでのまとめ
巻き込み事故でもらえる慰謝料をはじめとした損害賠償金は、治療費や休業損害など事故で生じた損害をすべて合計したものです。ただし、事故を引き起こした過失がある場合、過失割合を適用して計算した分の損害賠償金しか相手に請求することはできません。
巻き込み事故の被害にあったら弁護士に相談することをおすすめします。特に、過失割合に納得いかない場合や慰謝料の金額に不満がある場合、弁護士に相談することで満足のいく結果が得られる可能性が高まるでしょう。
相手方が任意保険に加入している場合、任意保険会社の担当者から「過失割合は9対1となります」などと一方的に通知が来ることがあります。
巻き込み事故の被害を受けたにもかかわらず、過失があると一方的に通知されて納得がいかない、とお悩みではないでしょうか。
保険会社の担当者は会社のマニュアルに沿っただけの過失割合を提示しているに過ぎないケースも多く、事故の状況を丁寧に反映した正しい過失割合でない可能性が高いです。また、過失割合の大きさは相手に支払う損害賠償金の金額を左右するため、保険会社は被害者が有利になるような過失割合を提示してはくれないでしょう。
保険会社からの一方的な通知で最終的な過失割合が決まってしまうと勘違いされている被害者の方が多いですが、本来、過失割合は事故の当事者が話し合いで決めるもです。過失割合に納得いかない場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士がつけば、交通事故や法律の知識、被害者の主張を盛り込んだ正しい過失割合を導き出せるでしょう。
保険会社が提示してくる慰謝料などの金額は、被害者が本来もらえるはずの適正な相場となる弁護士基準よりも低くなるのが通常です。保険会社は、自賠責基準や任意保険基準でしか慰謝料を算定しないでしょう。
弁護士なしで保険会社に増額交渉をしても、保険会社が増額を聞き入れてくれる可能性は低いです。
保険会社が提示する慰謝料の金額に不満がある方は、弁護士に今すぐ相談しましょう。弁護士に依頼することで、弁護士基準による慰謝料が得られる可能性が高まります。
弁護士が登場することで民事裁判に発展してしまう可能性を保険会社は危惧しています。民事裁判に発展すると、多くの費用と時間と手間がかかってしまうからです。
弁護士はこのような保険会社の思惑をついて、増額交渉を進めることができます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了