人身事故の慰謝料相場はいくら?計算方法や請求時の注意点は?

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

慰謝料は、人身事故で加害者に請求できるお金の中でも特に高額になりやすい項目です。しかし、慰謝料の種類や正当な金額について知らない人は多く、示談交渉では知識の浅さに付け込まれて十分な金額を獲得できないこともあります。

この記事では、人身事故で請求できる3つの慰謝料の概要や計算方法を紹介したうえで、十分な慰謝料額を得るための注意点も解説しています。
記事の中でもっと知りたいことがある場合には無料で弁護士に相談できるので、ぜひ活用してください。

慰謝料とは?特徴2つをおさえて理解

まずは、慰謝料とはどういうものなのか、確認しておきましょう。慰謝料を示談金や損害賠償金と同じだと思っている人も多いですが、厳密には違います。

(1)精神的苦痛を補償するもの

慰謝料とは、交通事故により被害者が感じる痛みや苦しみ、不安、怒りを金銭に換算したものです。

交通事故による治療に対しては治療費、休業に対しては休業損害が支払われるのと同じように、被害者の精神的苦痛に対しては慰謝料が支払われます。

(2)示談金や損害賠償金の一部

慰謝料と示談金・損害賠償金は同じものと思われがちですが、厳密には違います。それぞれがどのようなものなのか、表にまとめました。

損害賠償金交通事故で発生した損害に対する賠償金全体のことを指す。
示談金示談交渉によって金額が決まった損害賠償金のこと。
慰謝料損害賠償金のうち、被害者の精神的苦痛に対して支払われるもの。

交通事故の損害賠償金には、慰謝料のほかにも治療費や通院交通費、休業損害、逸失利益、物損に対する補償などが含まれます。つまり慰謝料は、損害賠償金に含まれる項目の1つなのです。

交通事故の損害賠償金の内訳・金額は、基本的に示談交渉による話し合いで決められます。そのため、交通事故の損害賠償金は「示談金」と呼ばれることも多いです。

(3)原則として人身事故の場合のみ請求できる

慰謝料が請求できるのは、基本的には人身事故の場合のみです。
慰謝料で補償されるのは、原則として「被害者の身体が傷ついたことで生じる精神的苦痛」だからです。

物が壊れた場合も精神的苦痛を感じる可能性がありますが、これは加害者側が修理費を支払い原状回復させたり、弁償したりすることで補償されると解釈されます。そのため、被害者がケガをしていない物損事故では慰謝料は支払われないのです。

ペットの死傷も物損として扱われるため、原則として慰謝料は支払われません。

人身事故の慰謝料|補償対象とポイントを確認

人身事故でもらえる慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。それぞれが補償する精神的苦痛とはどのようなものなのか、確認していきましょう。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故にあい入通院した際に生じる精神的苦痛を補償するものです。

入通院した際に生じる精神的苦痛には、次のものがあります。

  • 入院や通院で時間的・身体的拘束が生じ、不便さを感じた
  • 治療や手術で怖い思いや痛い思いをした
  • ケガは治るのだろうか? という不安を感じた

ケガの治療中はさまざまな精神的苦痛を感じるものです。もちろん、交通事故にあわずそうした精神的苦痛を感じないに越したことはありませんが、慰謝料が支払われるとわかれば、少しは気持ちが楽になるでしょう。

入通院慰謝料のポイント

入通院慰謝料は、交通事故にあい病院に入院や通院をすれば請求できます。

ただし、整骨院の通院では入通院慰謝料が認められなかったり、一部減額されたりする可能性があります。整骨院は厳密には病院ではないからです。

整骨院に通いたい場合には、事前に医師の許可を得て、病院への通院と並行して通いましょう。

入通院慰謝料は入通院期間の長さに応じて金額が決まりますが、入通院期間が長ければその分、高額になるとは限りません。

目安としては月10日以上の通院が望ましいですが、詳しくは『交通事故の入通院慰謝料は通院日数が多いほど高額?ベストな通院日数を紹介』を確認してください。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛を補償するものです。交通事故によって後遺障害が残ってしまうと、以下のような精神的苦痛が生じます。

  • 後遺障害が残ったことに対する悲しみ、悔しさ
  • 将来に対する不安
  • 周りの目に対する不快感
  • 今後も感じ続ける不便さや痛み

こうした精神的苦痛は金銭によって解消されるものではありませんが、せめてもの補償として、後遺障害慰謝料が支払われます。

後遺障害慰謝料のポイント

「後遺障害」と「後遺症」との違いについて、説明しておきます。

後遺症交通事故によるケガのうち、治りきらずに残った症状のこと。
後遺障害後遺症のうち、後遺障害等級が認定されたもののこと。

後遺障害慰謝料は、「後遺障害」が残った場合に支払われます。つまり、たとえ後遺症が残っていても、後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料は請求できないのです。

後遺障害等級の認定を受けるためには、審査機関に必要書類を提出して審査を受けなければなりません。

審査を受ける方法は『交通事故の後遺障害慰謝料・逸失利益の金額相場|十分な金額を獲得する方法も解説』で解説しているので、後遺症が残った場合には確認してください。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、交通事故によって死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償です。

死亡した被害者の無念さや苦痛、残された遺族の悲しみや悔しさ、怒りに対して支払われます。

死亡慰謝料のポイント

死亡慰謝料のポイントは、被害者本人だけではなく遺族に対してもお金が支払われること、被害者の代わりに相続人が慰謝料請求をすることです。

死亡慰謝料の対象となる遺族とは基本的に、被害者の妻または夫、親(養父母含む)、子(養子含む)のことを指しますが、その他の遺族でも死亡慰謝料が認められる場合があります。

被害者に代わって慰謝料請求をする相続人は、遺族の中から以下の方法で選ばれます。

  1. 被害者に妻または夫がいる場合は、相続人となる。妻または夫に加え、もう1人相続人を決める。
  2. もう1人の相続人は、被害者の子。子がいなければ孫。
  3. 子や孫がいなければ、被害者の親。
  4. 親もいなければ兄弟姉妹。兄弟姉妹もいなければその子。

相続人は、慰謝料請求を弁護士に依頼することもできます。お困りの場合は、無料相談をご利用ください。

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人身事故の慰謝料計算|詳しい計算例も紹介

続いて、人身事故で請求できる慰謝料の計算方法を見ていきましょう。
計算方法を知っていれば、加害者側から提示された金額が低い場合に、根拠を持って反論ができます。

計算式を見るだけではわかりにくい部分もあるため、実際に数字を当てはめた計算例も紹介します。慰謝料計算は以下の計算機でも可能なので、こちらもご利用ください。

※こちらの計算機で計算できるのは、弁護士基準の金額です。弁護士基準についてはこのあと解説します。

慰謝料には3つの算定基準がある

交通事故の慰謝料金額には、次の3種類があります。

  • 加害者側自賠責保険会社から支払われる、最低限の金額
  • 示談交渉で加害者側任意保険会社が提示してくる金額
  • 過去の裁判例をもとにした相場金額

それぞれの金額は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準を用いることで計算できます。

自賠責基準交通事故被害者に補償される、最低限の金額を算出するための算定基準。
任意保険基準加害者側任意保険会社が慰謝料を計算する際に用いる算定基準。
自賠責基準の金額とほぼ同等。
弁護士基準過去の裁判例をもとにした相場金額を計算するために用いる算定基準。
任意保険会社の金額の2倍~3倍。
裁判基準とも呼ばれる。

被害者側が獲得を目指すのは、最も高額な弁護士基準の金額です。
しかし、加害者側が提示してくる金額は任意保険基準なので、示談交渉でどれだけ弁護士基準近くまで増額させられるかがカギとなります。

ここからは、各基準での慰謝料計算を解説していきます。
ただし、任意保険基準は各保険会社が独自に設定しており非公開です。金額は自賠責基準と同程度なので、自賠責基準くらいの金額が提示されると考えてください。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、自賠責基準であれば計算式、弁護士基準であれば「入通院慰謝料算定表」という表を用いて算出します。自賠責基準から順番に見ていきましょう。

自賠責基準での慰謝料計算

自賠責基準で入通院慰謝料を計算する場合は、次の計算式を用います。

4300円*×入通院日数(*2020年3月31日以前の交通事故では4200円)

入通院日数は、次のうち少ない方を採用

  • 入院日数+通院期間
  • 入院日数+実通院日数×2

「入院日数+通院期間」を計算する場合は、通院期間の起算日と終了日に注意が必要です。通院期間=治療期間とは限りません。

通院期間起算日の考え方

  • 交通事故後7日以内に治療を開始した:事故日を起算日とする
  • 交通事故から8日後以降に治療を開始した:治療開始の7日前を起算日とする

通院期間終了日の考え方

  • 治療最終日から7日以内に治癒とされた:治癒日を通院期間終了日とする
  • 治療最終日から8日後以降に治癒とされた:治療最終日から7日後を通院期間終了日とする
  • 症状固定と診断された:症状固定日を通院期間最終日とする

では、入院30日、通院期間100日、実通院日数40日として入通院慰謝料を計算してみます。

  1. 入通院日数を確認する
    入院日数+通院期間=30日+100日=130日
    入院日数+実通院日数×2=30日+40日×2=110日
    少ない方である110日を採用
  2. 入通院慰謝料を計算する
    4300円×110日=47万3000円

したがって、入院30日、通院期間100日、実通院日数40日の入通院慰謝料は47万3000円です。

弁護士基準の入通院慰謝料計算

弁護士基準の場合は、「入通院慰謝料算定表」という表を用いて入通院慰謝料を算出します。表には、軽傷用と重傷用があります。

軽傷用

むちうちなどでレントゲン写真やMRI画像に異常が写らないときに用いる。

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

重傷用

レントゲン写真やMRI画像に異常が写る場合に用いる。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

では、軽傷用の表を用いて、入院日数30日、通院期間100日、実通院日数40日の入通院慰謝料を計算してみましょう。

  1. 入院日数30日、通院期間100日ということは、入院1か月、通院期間3ヵ月10日。まず、表の「入院1か月、通院3ヵ月」の金額を確認する。83万円。
  2. 次に、端数の通院日数10日の金額を計算する。
    「入院1か月、通院4ヵ月」」の金額から「通院1か月、通院3ヵ月」の金額を引き、30日で割る。
    (95万円-83万円)÷30日=0.4万円
  3. 0.4万円が、入院1か月、通院4ヵ月目の日額なので、端数である10日をかける。
    0.4万円×10=4万円
  4. ①と③を足すと、入通院慰謝料がわかる。
    83万円+4万円=87万円

したがって、入院30日、通院期間100日、実通院日数40日の入通院慰謝料は87万円です。

後遺障害慰謝料の計算方法

続いて、後遺障害慰謝料の金額です。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて以下のように決まっています。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1650万円
(1600万円)
2800万円
2級・要介護1203万円
(1163万円)
2370万円
1級1150万円
(1100万円)
2800万円
2級998万円
(958万円)
2370万円
3級861万円
(829万円)
1990万円
4級737 万円
(712万円)
1670万円
5級618万円
(599万円)
1400万円
6級512万円
(498万円)
1180万円
7級419万円
(409万円)
1000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

()は2020年3月31日以前の交通事故の場合

後遺障害等級が複数ある場合には、それらを併合した等級に応じた金額が適用されます。詳しくは『交通事故の後遺障害慰謝料・逸失利益の金額相場|十分な金額を獲得する方法も解説』で解説しています。

死亡慰謝料の計算方法

最後に、死亡慰謝料の計算方法です。
死亡慰謝料は、自賠責基準であれば遺族の人数や扶養者の有無、弁護士基準であれば被害者の生前の家族内における立ち位置によって決まります。

自賠責基準の死亡慰謝料計算

自賠責基準の場合、死亡慰謝料額は「400万円*+遺族の人数・扶養者の有無に応じた金額(*2020年3月31日以前の交通事故では350万円)」です。

遺族の人数・扶養者の有無に応じた金額は、次の通りです。

遺族扶養者なし扶養者あり
1人550万円750万円
2人650万円850万円
3人以上750万円950万円

被害者に遺族が2人(扶養者あり)いた場合、死亡慰謝料は400万円+850万円=1250万円です。

弁護士基準の死亡慰謝料計算

弁護士基準の場合、死亡慰謝料は次の通りです。以下の金額に、被害者本人に対する金額と遺族に対する金額が含まれています。

被害者死亡慰謝料
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
独身者・子供2000万円~2500万円

上記の金額は、4人家族を想定したものです。遺族が3人よりも多い場合には、慰謝料が増額される可能性があります。

確認必須!慰謝料が増額・減額されるケース

ここからは、交通事故の慰謝料が相場よりも増額・減額されるケースを紹介していきます。該当するものがないか、確認してみましょう。

ここで紹介するケースのほかにも、慰謝料の増額・減額につながる場合もあるため、心当たりがある場合は弁護士に相談してみましょう。

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慰謝料が増額される6つのケース

慰謝料が増額されるケースには、主に次の6つがあります。

  1. 加害者側に故意・重過失があった
  2. 加害者側の態度が不誠実
  3. 治療や手術が特に過酷であった
  4. 死にも比肩する後遺障害が残った
  5. 遺族が精神疾患を患った
  6. 被害者の無念がことさらに大きかったと考えられる

それぞれについて詳しく解説していきます。

①加害者側に故意・重過失があった

加害者が故意に交通事故を起こした場合や、加害者側に重過失がある場合には、慰謝料を増額させられる可能性があります。

重過失には、次のものがあります。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 薬物を使用しての運転
  • 無免許運転
  • 一般道での30㎞以上の速度違反

実際に、加害者の重過失により慰謝料が増額された裁判例を紹介します。

女性(75歳・主婦)につき、[【加害者は前方注視義務及び信号順守義務という自転車を運転する際の基本的な注意義務を怠っており、対面する歩行者用信号機の青色投下に従った被害者には何ら落ち度がない】]ことなどから、本人分2300万円、夫200万円、子100万円の合計2600万円を認めた

事故日平22.1.10 東京地判平26.1.28 判時2261・168

裁判例は死亡事故のものですが、加害者側の重過失による慰謝料増額は、死亡事故でなくても適用された事例があります。

②加害者側の態度が不誠実

  • 加害者が反省や謝罪の態度を示さない
  • 加害者が被害者に挑発的な態度をとる
  • 加害者の証言が二転三転する
  • 加害者が交通事故後に適切な対応をしなかった

上記のような場合も、慰謝料を増額させられる可能性があります。実際の裁判例は、以下の通りです。

事故により全治一週間の被害を受け1日通院で全治したが、事故直後、加害者が被害者を現場に放置したまま走り去ったため、傷をおして追跡し立ち合い等ををした被害者につき、20万円を認めた

事故日平7.2.3 神戸地判平12.9.14 交民33・5・1515

③治療や手術が特に過酷であった

  • 麻酔ができない状態で手術をした
  • 何度も入院や手術を繰り返した
  • 手術が長時間に及んだ
  • 合併症などの危険性があった

上記のような場合は、精神的苦痛が特に大きかったとして、慰謝料を増額させられる可能性があります。
実際の裁判例を見てみましょう。

脛骨開放骨折による下肢機能障害(7級)及び下肢短縮(13級8号、併合6級)の会社員(男・固定時36歳)につき、(略)手術を受けたものの、左下肢の軟部組織の著しい欠損により感染の危険が高く、長期間にわたる入院を要したほか、骨癒合にも長期間を要する中で骨髄炎を発症し、再度入院加療を要したことなどから、傷害分360万円を認めた。

事故日平21.6.24 名古屋地裁平25.8.5 自保ジ1910・131

④死にも比肩する後遺障害が残った

遷延性意識障害や高次脳機能障害などのように、後遺障害が死にも比肩するものだと言える場合、後遺障害慰謝料が増額される可能性があります。実際の裁判例として、以下のものがあります。

脳挫傷後の後遺障害(1級1号)の中学生(女・固定時15歳)につき、(略)本人分2800万円、子の将来の成長への楽しみを奪われ将来に不安を抱きながら介護する生活を余儀なくされた父母各500万円、後遺傷害分合計3800万円を認めた

事故日平15.8.7 金沢地判平18.10.11 自保ジ1705・2

⑤遺族が精神疾患を患った

死亡事故で残された遺族が精神疾患を患った場合や小さな子どもが死亡事故を目撃してしまった場合、死亡慰謝料が増額される可能性があります。

実際の裁判例を見てみましょう。

小学生(女・7歳)の死亡事故につき、商業ドライバーの信号無視などから、本人分2500万円、父親300万円、心因性のうつ状態を呈し外傷性ストレス障害との診断を受け心療内科への通院を余儀なくされた母400万円、合計3200万円を認めた

事故日平14.11.22 大阪地判平10.11.30 自保ジ1713・20

小学生(女・7歳)につき、加害者が疲労と飲酒の影響による仮睡状態であったことを考慮して、本人分2300万円、父母各250万円、事故時集団登校しており妹の死を目の当たりにした]兄2人各150万円、合計3100万円を認めた

事故日平12.11.28 盛岡地二戸支判平17.3.22 判タ1216・236

⑥被害者の無念がことさらに大きかったと考えられる

死亡慰謝料は、被害者の無念がことさらに大きいと考えられる場合に増額される可能性があります。具体的には、長年の夢が叶ったばかりだった、新婚だった、結婚間近だったなどが挙げられます。

以下は、実際の裁判例です。

単身者(男・31歳・会社員)につき、希望していた鉄道会社に就職後、車掌として真面目に勤務していたこと、父母思いの優しい息子であり、結婚を誓っていた交際相手もいたことなどから、2800万円を認めた

事故日平20.1.20 東京高判平22.10.28 判タ1345・213

慰謝料が減額される2つのケース

  1. 被害者側にも過失割合が付いた
  2. 素因減額が適用された

上記のような場合には、慰謝料が減額される可能性があります。
特に過失割合による減額は発生する可能性が高いので、よく確認しましょう。

①被害者側にも過失割合が付いた

過失割合とは、交通事故が起きた原因が被害者と加害者それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもので、事故状況に基づき決められます。

被害者側にも過失割合が付くと、その割合分、慰謝料を含む損害賠償金が減額されてしまいます。

過失割合はもらい事故でない限り被害者にも付くことが多いため、過失割合による減額は十分あり得ると考えましょう。

②素因減額が適用された

素因減額とは、被害者がもともと持つ身体的疾患や心理なども、交通事故の被害発生に影響したとして、慰謝料を含む損害賠償金が減額されることです。

素因減額には身体的素因減額と心因的素因減額があります。それぞれどのような場合に適用されるのか、紹介します。

身体的素因減額

  • 交通事故により強い腰痛が発生したが、腰痛自体はもともとあった
  • 交通事故により捻挫したが、もともと同じ部位を捻挫することが多くクセになっていた

心身的素因減額

  • 被害者が治療に消極的で、医師の指示通りに通院しなかった
  • 被害者は人一倍しびれや痛みに敏感で、通常なら完治と考える状態でも症状を強く訴える
  • 損害賠償金を多く得ようと、実際よりもケガがひどいと思い込む

ここで、身体的素因減額が適用された裁判例を紹介します。

(略)原告B1に脊髄の圧迫による神経症状が発生したこと(略)重篤なものとなったことについては、原告B1に本件事故前から広範囲にわたる脊柱管狭窄(略)等の既往があったことが大きく影響しているものと認められるから(略)40%の素因減額をするのが相当である。

東京地方裁判所 平成26年(ワ)第30124号

慰謝料請求の流れをシミュレーション

ここからは、加害者側に対してどうやって慰謝料を請求していくのか、解説していきます。

慰謝料請求時の注意点も合わせて解説するので、実際の流れを想像しながら読んでみましょう。

慰謝料請求の流れ

交通事故の慰謝料は、その他の損害賠償金と一緒に次の流れで請求します。

  1. 治療が終了する。
    治癒(完治)の場合は③へ。後遺症が残った場合は②へ。
    ※治療費や休業損害は、治療や休業と並行して支払われていることが多い。
  2. 後遺障害認定の審査を受け、結果が出る。
    後遺障害認定の審査を受ける方法は、『交通事故の後遺障害慰謝料・逸失利益の金額相場|十分な金額を獲得する方法も解説』で解説。
  3. 加害者側任意保険会社から、提示額や過失割合を記載した示談案が届く。
    被害者側でも慰謝料計算を行い、加害者側の提示額を受け入れるなら、示談案に署名・捺印をして返送。⑤へ。
    増額を求めるならその旨を加害者側任意保険会社に伝え、④へ。
  4. 加害者側任意保険会社と示談交渉。
    交渉は主に電話やFAXで行う。
    特にもめなければ1か月程度で示談成立。
  5. 示談成立後、加害者側任意保険会社から合意内容を記載した示談書が届く。
    内容を確認し、署名・捺印をして返送。
  6. 2週間前後で口座に示談金が振り込まれる。

上記は、加害者が任意保険に加入している場合の流れです。

加害者が任意保険に加入していない場合は慰謝料請求の流れが少し変わりますし、注意しなければならない点も増えるので、弁護士への相談を検討してみましょう。

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慰謝料請求はここに注意!よくある落とし穴4つ

示談交渉では、次の4点に注意しましょう。

  1. 治療は治癒または症状固定まで続ける
  2. 加害者側任意保険会社の提示額は低額
  3. 加害者側任意保険会社の態度はよくないことが多い
  4. 示談書に署名・捺印すると、原則として再交渉はできない

それぞれについて詳しく解説していきます。

①治療は治癒または症状固定まで続ける

ケガの治療は原則として、治癒または症状固定まで行われます。治療費や入通院慰謝料も、治癒または症状固定までの期間に対して支払われます。

しかし、中にはまだ治療が必要なのに、加害者側任意保険会社から治療費打ち切りを言い渡されることがあります。治療費打ち切りを機に治療をやめてしまうと、次のようなリスクが生じます。

  • 入通院期間が短くなるため、入通院慰謝料が少なくなる
  • 後遺症が残っても、後遺障害等級が認定されにくくなる
  • 治療を続ければ治ったはずのケガが後遺症として残ってしまう

治療費打ち切りを宣告された場合は、弁護士にサポートを求めることが望ましいです。治療費打ち切りの延期を求める、自費で治療を継続して後から治療費を請求するなどの対策をとってもらえます。

②加害者側任意保険会社の提示額は低額

加害者側任意保険会社が提示してくるのは、任意保険基準の慰謝料です。
これは、自賠責基準の金額とあまり変わらず、弁護士基準の半分~3分の1程度でしかありません。

慰謝料相場金額の3基準比較

増額交渉することなく加害者側任意保険会社の提示額を受け入れてしまうと、損してしまう可能性が高いです。

示談金額の提示を受けた場合は、必ず被害者自身でも慰謝料を計算したり、弁護士に相談したりして、提示額の正当性を確認しましょう。

③加害者側任意保険会社の態度はよくないことが多い

示談交渉の相手となる加害者側任意保険会社の担当者は、親切でないことが多いです。
高圧的、被害者側の主張を聞いてくれない、専門用語ばかりを使うので話が分かりにくいなどの声が多く聞かれます。

被害者自身で示談交渉に臨む場合は、あらかじめ心の準備をしておきましょう。示談交渉の途中でも弁護士を立てることは可能なので、自分で示談交渉してみて、うまくいかないようであれば弁護士に相談してみましょう。

もちろん、最初から弁護士を立てることも可能です。

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④示談書に署名・捺印すると、原則として再交渉はできない

示談交渉で合意が成立したら、示談書に署名・捺印をします。
示談書に署名・捺印すると、次の効力が生まれるため注意しましょう。

  • 合意内容の撤回・再交渉は基本的にできない
  • 示談書に署名・捺印した後、追加の損害賠償は基本的にできない

示談書の内容に間違いはないか、その内容で合意して本当に良いのか、今一度よく確認しましょう。

ただし、事情によっては示談書に署名・捺印をした後でも再交渉や追加の損害賠償請求が可能な場合があります。
問題が発覚してお困りの場合は、弁護士に相談してみましょう。

こんな時は弁護士に相談を

ここからは、どのようなときに弁護士に相談するべきなのか解説していきます。弁護士に相談するべきか迷っている場合には、判断基準の1つにしてください。

慰謝料の増額・減額事由に該当する

この記事内で紹介した慰謝料の増額・減額事由に該当する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料の増額・減額事由があっても、実際に増額・減額されるか、どの程度慰謝料額が変わるかは示談交渉次第です。

弁護士を立てなかった場合、慰謝料を十分に増額できなかったり、必要以上に減額されてしまったりすることが考えられます。

適切な増額・減額幅を確認するためにも、弁護士にご相談ください。

後遺症が残った

後遺症が残った場合も、弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故で後遺症が残っても、後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料は請求できません。しかし、後遺障害等級の認定率は約5%と低いため、以下の点をおさえて審査を受けなければ等級獲得は難しいです。

  • 審査の手続きをする際には、必要最低限の書類のほかにも適切な追加資料を添付すること
  • 後遺症の存在や程度を証明できる検査を受けること

しかし、どのような追加資料や検査が必要なのかは、被害者自身や医師では判断できません。だからこそ、後遺障害等級の認定審査に精通した弁護士に相談をし、アドバイスを受ける必要があるのです。

加害者側の提示額が低い

加害者側任意保険会社から提示された慰謝料額が低く、増額交渉をしたい場合にも、弁護士に相談することが望ましいです。

被害者は、交通事故の損害賠償金に関する知識が少なく、示談交渉の経験が浅いため、加害者側任意保険会社は被害者の主張を十分に聞きれないことが多いのです。

しかし、法律の専門家であり示談交渉の経験も豊富な弁護士を立てれば、加害者側任意保険会社の態度が軟化し、大幅な慰謝料増額が叶う可能性が高まります。

弁護士費用の負担を減らす方法

弁護士に相談したくても、弁護士費用が不安だと感じる人は多いものです。しかし、弁護士費用の負担は次の2つの方法で減らせます。

  • 弁護士費用特約を利用すること
    弁護士費用特約を使うと、被害者が加入している任意保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。
  • 相談料・着手金無料の法律事務所を選ぶこと
    相談料・着手金が無料であれば、支払う費用は事案解決後の成功報酬のみです。これは、獲得した示談金から支払えるので、弁護士費用を自前で用意する必要がありません。

アトム法律事務所では、弁護士費用特約をご利用いただけます。弁護士費用特約が使えない場合には相談料・着手金が無料となるので、ぜひお気軽にご相談ください。無料相談は、電話やLINEから可能です。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。