交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故で通院すると、「入通院慰謝料」がもらえます。
たとえば通院7ヶ月で入院なし、週2日ペースで通院していた場合、適正な相場額は重傷で124万円、軽傷で97万円程度です。しかし、加害者側からは70万6000円程度の入通院慰謝料を提示されると思われます。
この記事では、後遺障害慰謝料や死亡慰謝料も含めた通院7ヶ月の慰謝料相場と、高い相場額を得る方法について解説しています。どなたでも相場額がわかる内容になっているので、確認して慰謝料請求に臨みましょう。
交通事故により通院7ヶ月となった場合の慰謝料額を紹介していきます。交通事故の慰謝料には相場が3種類あるので、全て確認していきましょう。
7ヶ月通院すると、「入通院慰謝料」がもらえます。
交通事故の慰謝料には3種類の相場があるので、各相場額を入院の有無や実通院日数別にまとめた表を紹介します。
相場1、2、3がどのようなものかについては、この後解説するので確認してみてください。
実通院 | 相場1 | 相場2 | 相場3* |
---|---|---|---|
30日 | 25.8万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
56日 | 48.16万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
84日 | 72.24万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
105日 | 90.3万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
112日 | 90.3万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
140日 | 90.3万円 | 70.6万円 | 124万円 97万円 |
*上段:重傷(レントゲン写真やMRI画像に異常が写る)の場合、下段が自覚症状はあるが軽症(レントゲン写真やMRI画像に異常が写らない)の場合
入院 実通院 | 相場1 | 相場2 | 相場3* |
---|---|---|---|
1月 30日 | 38.7万円 | 89.5万円 | 157万円 119万円 |
2月 30日 | 51.6万円 | 107.1万円 | 188万円 139万円 |
3月 30日 | 64.5万円 | 124.7万円 | 217万円 152万円 |
1月 56日 | 61.06万円 | 89.5万円 | 157万円 119万円 |
2月 56日 | 73.96万円 | 107.1万円 | 188万円 139万円 |
3月 56日 | 86.86万円 | 124.7万円 | 217万円 152万円 |
*上段が重傷の場合、下段が軽症の場合
相場1、2、3とは
入通院慰謝料とは、交通事故の治療期間中に生じた精神的苦痛に対する補償です。
慰謝料額は、自賠責基準の金額(相場1)を最低ラインとし、示談交渉により任意保険基準(相場2)~弁護士基準(相場3)の金額になるとお考え下さい。
なお、通院日数については以下の点にも注意してください。
上記のケースに該当する場合、厳密な慰謝料相場は弁護士でないと判断できません。アトム法律事務所では無料で相談を受け付けているので、ぜひ一度お問い合わせください。
上記の表の中には該当する実通院日数が無かったという場合もあるでしょう。そんな場合は、こちらの自動計算機をご利用ください。弁護士基準における相場額が確認できます。
この記事では各基準での詳しい計算方法も紹介するので、そちらもご覧ください。
通院7ヶ月ののち後遺障害が残った場合には「後遺障害慰謝料」、死亡した場合には「死亡慰謝料」も請求できるので、相場を紹介していきます。
後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。
等級 | 自賠 | 任意 | 弁護士 |
---|---|---|---|
1級 要介護 | 1650万円 | 1300万円 | 2800万円 |
2級 要介護 | 1203万円 | 1300万円 | 2370万円 |
1級 | 1150万円 | 1300万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 1120万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 950万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 800万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 700万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 600万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 500万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 400万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 300万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 200万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 150万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 100万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
後遺障害慰謝料は、後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されれば請求でき、金額は後遺障害等級ごとに決まっています。
たとえば外傷性頚部症候群や外傷性腰椎捻挫などでしびれや痛みが残った場合は、後遺障害12級または14級に認定される可能性があります。
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死亡慰謝料の相場は、以下の通りです。
被害者 | 自賠 | 任意 | 弁護士 |
---|---|---|---|
一家の支柱 | 400 | 1500~2000 | 2800 |
母親・配偶者 | 400 | 1300~1600 | 2500 |
独身の男女 | 400 | 1200~1600 | 2000~2500 |
高齢者 | 400 | 1100~1400 | 2000~2500 |
子ども | 400 | 1200~1600 | 2000~2500 |
幼児 | 400 | 1200~1600 | 2000~2500 |
以下は該当する場合のみ | |||
+ 遺族*1名 | 550 | – | – |
+ 遺族2名 | 650 | – | – |
+ 遺族3名以上 | 750 | – | – |
+ 被扶養者あり | 200 | – | – |
*遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)
たとえば死亡した被害者が一家の支柱であり、扶養する遺族が2名いた場合、死亡慰謝料は以下のようになります。
交通事故の慰謝料は、場合によっては相場よりも増額されたり減額されたりすることがあります。具体的にどのようなケースで増額・減額が生じるのか確認しておきましょう。
交通事故の慰謝料は、以下の場合に増額される可能性があります。
重過失とは、酒酔い運転・居眠り運転・薬物を使用しての運転・無免許運転・一般道での30㎞以上の速度違反を指します。
たとえば以下の裁判例をご覧ください。
遷延性意識障害等(別表1の1級1号)の中学生(男・14歳)につき、加害者が事故前、飲酒するのをわかっていながら自動車を運転して宴会場に行って自制もせずに飲酒し、帰宅時には代行か家人を呼んで帰るように言われていたにもかかわらず運転したことから、傷害分500万円のほか、本人分3000万円、両親各400万円、後遺傷害分合計3800万円を認めた
事故日平16.1.21 仙台地判平21.11.17 交民42・6・1498
上記事故の被害者は後遺障害1級なので、相場通りの後遺障害慰謝料であれば、弁護士基準でも2800万円のはずです。しかし、加害者が飲酒をしたうえで起こした事故であることを考慮し、3800万円もの金額が認められたのです。
交通事故の慰謝料は、事情によって減額されることもあります。減額の原因となるケースを知っておくことは示談交渉対策にもなるので見ておきましょう。
過失割合とは、交通事故が起きた責任が被害者と加害者それぞれにどれだけあるかを割合で示したものです。追突事故のようなもらい事故を除けば、被害者側にも過失割合が付くことは多く、付いた割合分、慰謝料や損害賠償金が減らされてしまいます。
素因減額とは、被害者がもともと持つ体質や既往歴、性格が被害拡大につながった場合に、慰謝料や損害賠償金を減額することを言います。素因減額が適用された裁判例は、以下の通りです。
(略)原告B1に脊髄の圧迫による神経症状が発生したこと(略)重篤なものとなったことについては、原告B1に本件事故前から広範囲にわたる脊柱管狭窄(略)等の既往があったことが大きく影響しているものと認められるから(略)40%の素因減額をするのが相当である。
東京地方裁判所 平成26年(ワ)第30124号
損益相殺とは、すでに慰謝料や損害賠償金と重複する保険金・給付金を受け取っていた場合に、その金額分、慰謝料や損害賠償金を減額することです。
労災や被害者自身が加入する保険からお金を受け取っている場合には損益相殺が発生する可能性があります。
交通事故で通院7ヶ月となると、他にも以下のような損害賠償金を相手方に請求できます。
詳しい金額については、以下の記事をご覧ください。
この章のまとめ
同じ通院7ヶ月でも、入院の有無や入院・実通院の日数はひとそれぞれです。どんな方でも実際の入通院期間に応じた相場額がわかるよう、入通院慰謝料の計算方法を紹介していきます。
被害者に支払われる最低限の金額である「自賠責保険」では、入通院慰謝料は日額4300円として、「入院日数+通院期間」、「入院日数+(実通院日数×2)」のいずれか少ない方をかけて計算されます。
※ただし、2020年3月31日までの交通事故は、日額4200円。
通院7ヶ月の場合、計算式は以下の通りです。
任意保険基準の金額は、現在では各社が独自に設定しており非公開です。そのため具体的な計算方法や金額は解説できませんが、一般的には弁護士基準の半分~3分の1程度だと言われています。
ここでは参考として、以前に各社共通で用いていた任意保険基準の金額を紹介します。
入院 | 慰謝料額 |
---|---|
0ヶ月 | 70.6万円 |
1ヶ月 | 89.5万円 |
2ヶ月 | 107.1万円 |
3ヶ月 | 124.7万円 |
4ヶ月 | 138.6万円 |
5ヶ月 | 149.9万円 |
6か月 | 160万円 |
弁護士基準は、過去の裁判例に沿って設定された相場額であり、通院7ヶ月であれば、以下の通りです。
上段を重傷、下段を軽傷の場合とします。
通院 6ヶ月 | 通院 7ヶ月 | 通院 8か月 | |
---|---|---|---|
入院 0ヶ月 | 116万円 89万円 | 124万円 97万円 | 132万円 103万円 |
入院 1ヶ月 | 149万円 113万円 | 157万円 119万円 | 164万円 125万円 |
入院 2ヶ月 | 181万円 133万円 | 188万円 139万円 | 194万円 143万円 |
入院 3ヶ月 | 211万円 148万円 | 217万円 152万円 | 222万円 156万円 |
入院 4ヶ月 | 239万円 162万円 | 244万円 166万円 | 248万円 168万円 |
入院 5ヶ月 | 262万円 173万円 | 266万円 175万円 | 270万円 176万円 |
入院 6か月 | 282万円 182万円 | 286万円 183万円 | 290万円 184万円 |
弁護士基準では、基本的に入院期間と通院期間をもとに金額を計算します。そのため、実通院日数はそれほど関係ありません。
たとえば重傷で入院1ヶ月、通院7ヶ月と10日だった場合は、以下のように入通院慰謝料を計算します。
ただし、通院頻度が著しく低い場合には、通院期間ではなく「実通院日数の3倍」または「実通院日数の3.5倍」を用いることで、慰謝料額が少なくなることもあります。
同じ通院7ヶ月でも、3つの算定基準ごとに慰謝料の相場額が全く違うことを解説してきました。では、「最も高額かつ裁判例に基づいた相場である弁護士基準の金額」を得るにはどうしたらいいのか、具体的な方法を紹介していきます。
もし、加害者側からの治療費打ち切りを理由に通院7ヶ月で終わっているのなら、きちんと症状固定または治癒の診断を受けるまで通院治療を続けるべきです。このまま通院治療を中断してしまうと、以下のデメリットが生じます。
治療費打ち切りは、目安としては打撲なら1ヶ月、むちうちなら3ヶ月、骨折なら半年で打診されることが多いです。しかし、いつまで治療をするかは病院の医師による指示に従うべきです。
まだ症状固定・治癒の診断を受けていないのなら、次の対応をとって治療を継続してください。
自費で治療をする場合は、健康保険を使えば支払いの負担を減らせます。
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弁護士基準の金額を得るためには、そもそもどれくらいの金額を目指すべきなのかわかっていなければなりません。
弁護士基準における慰謝料の計算方法はこの記事でも解説しましたが、実際には細かい事情に応じて増額や減額が適用されます。そのため、厳密な適正額を知るためには一度弁護士に問い合わせることが重要です。
示談交渉では、慰謝料や損害賠償金額だけではなく、過失割合についても交渉します。過失割合は最終的な慰謝料・損害賠償額にも影響を与える重要なものですが、以下の点で注意が必要です、
示談交渉で妥当な過失割合にならないと、たとえ高額な慰謝料額で合意していても、必要以上に減額されてしまいます。
過失割合は事故当時の状況をもとに決められるものなので、事故状況を証明できる資料やドライブレコーダーの録画を用意し、加害者側が提示する過失割合の問題点を洗い出しながら交渉していくことが重要です。
事前にしっかりと対策をとっておきましょう。
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弁護士基準の慰謝料額を得るために一番大切なことは、示談交渉で弁護士を立てることです。本来裁判を起こした場合に得られる金額である弁護士基準は、示談交渉では国家資格を持つ弁護士が主張した場合しか通常は適用されません。
被害者が自分で示談交渉に臨んだ場合は、任意保険基準をベースにした金額にならざるを得ないのです。
また、被害者自身が示談交渉に臨むと、交渉経験の少なさや知識の浅さから、強引に交渉を進められてしまうことも多いです。実際、下記のような状況になり困ってしまう被害者も多くいます。
事例を一つ紹介します。
最初に主人と一緒に保険会社から示談金の説明を受けた時、疑問点を質問しましたが、「こういうもの」と言われたらどうしようもなく上積みできたのはせいぜい20万円程度でした。
上記のケースでは、弁護士が入ることで提示額を305万円も増額させられました。弁護士を立てた場合と立てなかった場合では、獲得できる金額が大幅に違うので、ぜひ示談交渉では弁護士を立てるようにしてください。
なお、アトム法律事務所における増額実績は『解決実績一覧』から確認できます。
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この章のまとめ
通院7ヶ月ののち、どのような流れで慰謝料を請求していくのか解説していきます。怪我が完治した場合、後遺症が残った場合、死亡した場合で流れや注意点が異なるので、分けて確認していきましょう。
怪我が完治した場合は、以下の流れで慰謝料請求をします。
交通事故における損害額が確定するのは治癒のあとです。それ以前に示談交渉に応じると、あとから大きな損害が発覚しても、賠償請求できない可能性があるので注意しましょう。ただし、物損事故に関する示談交渉だけは早めに始められることもあります。
後遺症が残った場合、慰謝料請求は次の流れで行われます。
後遺症が残った場合に大切なのは、「適切な後遺障害等級の認定を受けること」です。等級が1級違うだけでも後遺障害慰謝料の金額は大幅に変わりますし、そもそも等級が認定されなければ、後遺障害慰謝料は請求できないからです。
後遺障害認定の審査を受手続きには、加害者側の自賠責保険会社を仲介役とする「被害者請求」と、加害者側の任意保険会社を仲介役とする「事前認定」の2種類があります。
基本的には、被害者請求の方が適切な等級認定を受けるための対策をしやすいのでおすすめですが、被害者請求にも事前認定にもメリット・デメリットがあるので、よく吟味して選択しましょう。
また、後遺障害認定を成功させるためには、医学的な知識のみならず後遺障害認定そのものの知識も重要です。医師だけでなく、弁護士にサポートを求めることをおすすめします。
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通院7ヶ月ののちに被害者が死亡した場合は、以下の流れで慰謝料請求をします。
死亡事故の場合は、通夜や葬儀に加害者側の人間が参列を申し出ることがありますが、受け入れたくない場合は断っても問題ありません。
なお、香典を受け取る場合は、香典が慰謝料の前払いではないことをしっかりと確認しておきましょう。香典は慰謝料の前払いだったとして、示談交渉の際に香典分の金額を差し引かれる可能性があります。
死亡事故の慰謝料・損害賠償人は相続人が受け取りますが、示談交渉前に死亡しているのであれば相続税は発生しません。
相続できる遺族や分配については、以下の関連記事で解説しています。
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被害者が加害者に対して慰謝料を請求できる権利には、消滅時効があります。以下の時効を過ぎてしまうと、慰謝料請求ができなくなるのです。
傷害に関する費目 | 事故翌日から5年後 |
後遺障害に関する費目 | 症状固定翌日から5年後 |
死亡に関する費目 | 死亡翌日から5年後 |
通常通り示談交渉が進めば時効に間に合わないことはありませんが、以下の場合は注意が必要です。
時効が迫ってきた場合は、時効成立を阻止しなければならないので、弁護士にご相談ください。
この章のまとめ
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弁特* | 費用 |
---|---|
あり | 被害者が加入する任意保険会社が弁護士費用を負担。 よって、弁護士費用は実質無料。 |
なし | 相談料・着手金が無料。 成功報酬は獲得金額の11%+22万円(税込)。 成功報酬は獲得示談金から支払えるので、被害者の自己負担金は0円。 |
*弁護士費用特約のこと。被害者が加入する自動車保険や火災保険、クレジットカードの保険などにオプションとしてついている。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了