交通事故で脳挫傷に。対応の流れと症状や後遺症・慰謝料をまとめて解説

更新日:

脳挫傷 慰謝料・損害賠償額

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

脳挫傷は、衝突事故で頭部を強打して脳組織に衝撃が加わることが原因で生じます。嘔吐やめまい、意識障害、身体麻痺などの症状がみられ、時間とともに緩和していくこともありますが、重い後遺症が残ることも多いです。

この記事では交通事故で脳挫傷になった場合の対応や慰謝料について解説しています。今後どう対応していけばいいのか、慰謝料はどれくらい請求できるのか不安な方は、ぜひ確認してみてください。 

この記事では、交通事故で脳挫傷になった場合の対応や慰謝料、示談交渉についてまんべんなく解説しています。
弁護士に相談するべきかについても解説していますが、よりスポットを当てて解説しているのは以下の記事です。
交通事故で脳挫傷|弁護士はなぜ必要?理由と弁護士事務所のご案内

交通事故で脳挫傷に。対応の流れは?

交通事故により自分自身、もしくは家族が脳挫傷になった場合、今後の流れがどうなるのか不安になるものです。そこでまずは、今後の流れを一通り確認していきましょう。
これから先の見通しがわかれば、漠然とした不安を解消できます。

(1)検査・治療・リハビリテーションを受ける

交通事故で脳挫傷になったら、まずは適切な検査を受け、治療やリハビリテーションに集中しましょう。脳挫傷になった場合に必要な検査・治療・リハビリテーションを紹介していきます。

脳挫傷で受ける検査

脳挫傷になった場合、脳の損傷状態を把握するためにレントゲン検査・CT検査・MRI検査といった精密検査を受けます。

  • レントゲン検査
    頭蓋骨の状態を2次元で把握できる
  • CT検査
    頭蓋骨の状態を3次元で把握できる
  • MRI検査
    筋肉や軟部組織の状態、脳出血の有無を把握できる

どの検査を受けるかは基本的に医師が決めますが、画像検査の結果は慰謝料請求のために必要になる可能性が高いので、受傷直後にすべて受けておくことが望ましいです。

医学的な観点から必要な検査と、慰謝料請求の観点から必要な検査は異なる場合もあるので、上記のうち受けていない検査がある場合は、医師にお願いして受けさせてもらいましょう。

医師に検査の追加をお願いしにくかったり、お願いしても受けさせてもらえなかったりする場合は、弁護士にご相談ください。相談は無料で可能です。
弁護士に追加の検査が必要だと言われたと伝えるだけでも説得力が増しますし、場合によっては弁護士から医師に直接掛け合ってもらうこともできます。

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脳挫傷での治療・リハビリテーション

脳挫傷の程度が軽い場合は、経過観察ののち1週間程度で退院できます。脳損傷の程度が重度の場合、治療方法やリハビリテーションは以下の通りです。

脳挫傷が重症な場合の治療・リハビリテーション

1. 急性期血圧、血中の酸素・二酸化炭素の濃度を管理する
脳内にできた血腫の除去手術をする
身体に感覚刺激を与えるリハビリテーションをする
2. 回復期後遺症の症状に合わせたリハビリテーションを行う
退院後も継続的なリハビリテーションが必要な場合もある

脳挫傷が重度である場合には、記憶力や集中力の低下、言語能力の低下、手足などの運動麻痺、感覚障害などさまざまな後遺症が残る可能性があるので、症状に合わせたリハビリテーションが行われます。

原則としてリハビリは通院と同じように扱われるので、リハビリ期間に対しても「入通院慰謝料」が支払われます。リハビリと慰謝料の関係について詳しくはこちらの記事『交通事故の慰謝料|リハビリも通院日数に入る』で詳しく解説しています。

具体的な後遺症の種類や後遺症が残った場合の慰謝料についてはこの後解説していくので、確認してみてください。

治療費や休業に対する補償

脳挫傷を負ったことで生じた入院費用や治療費は、基本的に入通院と並行して、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払うことが多いです。
ただし、加害者が任意保険に入っていない場合や加害者側の任意保険会社の方針次第では被害者側が治療を立て替えることもあります。
症状固定については『交通事故の症状固定はタイミングが重要』で解説しています。

入通院中に仕事を休んで減収が生じた場合は、休業損害を加害者側に請求できます。休業損害は、専業主婦でも請求可能です。手続きをとれば毎月受け取れるので、役立てましょう。
休業損害の請求方法は『交通事故の休業損害|職業別の計算方法や請求方法、いつもらえるかを解説』で解説しています。

(2)治癒または症状固定に至る

脳挫傷が完治した場合には治癒、後遺症が残った場合には症状固定の診断を受けます。治癒ならこのまま慰謝料請求に入るので、(4)に進んでください。

ただし、治癒と診断されても、頭痛や吐き気など、本人やごく近しい人しか気づかないような後遺症が残っている可能性があります。日常生活の中で違和感を持った場合は、具体的な内容を記録して医師に相談してみましょう。

症状固定の場合は後遺障害等級認定の審査を受けるので、このまま(3)に進んでください。

治療費は打ち切られることも

治療が長引くと、まだ治療が必要なのに加害者側から「これ以上の治療費は支払わないから、症状固定にしませんか」と打診を受けることがあります。
しかし、治療終了のタイミングは原則として医師が決めるものですし、打診を受けて治療を終わらせると、身体によくないだけでなく慰謝料額にも悪影響が及びます。

一度弁護士に相談をして、適切な対処法を検討してみましょう。
治療費打ち切りの具体的な影響は、『交通事故で通院6ヶ月|慰謝料の相場金額や計算方法は?後遺症が残った場合も解説』をご覧ください。

(3)後遺障害等級認定の審査を受ける

症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級を獲得するために審査を受けます。後遺障害等級が認定されると、加害者側に後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害等級は必ずしも認定されるとは限らず、認定されなかった場合はたとえ後遺症が残っていても、後遺症残存に対する慰謝料請求はできません。

後遺障害等級

交通事故によって残った後遺症に対して認定される等級で、重い方から順に1~14級まである。

後遺障害等級認定の方法と、脳挫傷で等級を獲得するためのポイントはのちほど解説するので、後遺症が残りそうな場合には必ず確認してみてください。

(4)示談交渉で慰謝料・損害賠償金を請求

治療が終わり治癒の診断を受けた、または症状固定の診断を受けて後遺障害等級の審査結果が出たら、示談交渉を通して以下の慰謝料・損害賠償金を請求していきます。

治療関係費治療費や通院交通費、入院費など。基本的に実費。
休業損害治療のため休業し減収が生じた場合に請求できる。
入通院慰謝料治療期間中に生じた精神的苦痛に対する補償。
傷害慰謝料とも呼ばれる。
交通事故で受傷し、1日でも通院または入院していれば請求できる。
後遺障害慰謝料後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛に対する補償。
後遺障害等級が認定されれば請求できる。
後遺障害逸失利益後遺障害により減ってしまった生涯年収に対する補償。
後遺障害等級が認定されれば請求できる。
物損に対する賠償金壊れた物の修理費や代車費用など。

示談交渉の具体的な流れ・注意点は後程紹介していきますが、ここでは基本的な知識について確認しておきましょう。

示談交渉の基礎知識

  • 示談交渉とは、交通事故の当事者同士が裁判外で話し合い、解決を試みること。
  • 示談交渉では、弁護士を代理人として立てることもできる。
  • 交渉相手は、加害者側の任意保険会社の担当者。加害者が任意保険未加入なら、加害者本人または加害者が立てた弁護士。
  • 交渉は、基本的に電話やFAXで行う。

脳挫傷で残る後遺症の症状は?

脳挫傷では、高次脳機能障害、遷延性意識障害、外傷性てんかんが後遺症として残る可能性があります。それぞれどのような症状がみられるのかを解説したのち、後遺症により働けなくなった場合の補償についても解説していくので確認していきましょう。

補足

脳挫傷では頭蓋骨骨折のような頭部外傷や脳内出血、くも膜下血腫などを併発していることも多いので、ここで紹介する以外の後遺症が残る場合もあります。

高次脳機能障害の場合

高次脳機能障害とは、脳の機能に問題が残ることで、認知や行動、人格に変化が生じる後遺症です。
具体的な症状を、認知に関するもの、行動に関するもの、人格に関するものに分けて紹介します。

認知に関する症状

  • 記憶障害
    事故前のことを思い出せない、新しいことを覚えられないなど
  • 失認症
    友人知人の顔を見ても誰だかわからない、通り慣れた道で迷う、左半身を自分のものでないと言うなど

行動に関する症状

  • 注意障害
    注意力や集中力が低下する、マルチタスクをこなせない、凡ミスをするなど
  • 遂行機能障害
    物事の優先順位をつけられない、段取りを組めないなど
  • 言語障害・失語症
    言葉を聞いても理解できない、音読ができない、正しく文字を書けない、スムーズに言葉が出ないなど
  • 失行症
    日常的な動作ができない、指示されたとおりに動けないなど
  • 半側空間無視
    左側にあるものを見えているのに無視するなど

人格に関する症状

  • 感情のコントロールができなくなる
  • 図々しくなる
  • お金の管理が苦手になる
  • 子供っぽくなる
  • 依存的になるなど

高次脳機能障害の症状は、だれが見ても明らかにわかるほど強く出る場合もあれば、本人や家族、友人が少し違和感を持つ程度であることもあります。
少しでも違和感があれば、高次脳機能障害を疑ってみましょう。

遷延性意識障害の場合

遷延性意識障害とは、いわゆる「植物状態」になることです。治療を受けたものの、次の6つの症状がすべて6ヶ月以上継続して見られる場合には、遷延性意識障害であると判断されます。

  • 自力移動できない
  • 自力摂食できない
  • 失禁症状がある
  • 意味のある発語ができない
  • 意思疎通ができない
  • 眼球は動くが認識はできない

外傷性てんかんの場合

外傷性てんかんとは、脳内で発される信号に異常が生じることで、けいれん発作や意識障害などが発生することです。
異常が生じる部位により具体的な症状は違いますが、具体的には以下のような症状が見られることが多いです。

  • けいれん
  • 身体の硬直
  • 体をくねらせる
  • 吐き気
  • 呼吸停止
  • 意識障害

外傷性てんかんを発症し後遺症として残った場合は、画像検査のほかに脳波の検査も受けましょう。てんかん患者特有の脳波が出ているかを確認します。

補足|今まで通り働けなくなった場合の補償は?

脳挫傷によって後遺症が残ると、事故前と同じようには働けない可能性があります。転職や異動を余儀なくされたり、出世が難しくなったり、場合によっては働くこと自体が難しくなるケースもあるのです。

脳挫傷による後遺症で今まで通り働けなくなった場合は、加害者側に後遺障害逸失利益と休業損害を請求できる可能性があります。それぞれについて簡単に確認しておきましょう。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで減ってしまった、生涯収入に対する補償のことです。

逸失利益とは

逸失利益の計算方法は少し複雑なので、以下の計算機から金額を確認してみてください。

詳しい計算方法を知りたい場合は、『後遺障害逸失利益|計算方法と適正に獲得するコツをわかりやすく紹介』をご覧ください。

休業損害

休業損害は本来、入通院のために仕事を休んだことで生じた減収を補償するものです。しかし、交通事故による後遺障害で転職を余儀なくされた場合には、次のどちらかの期間に対して休業損害が認められる可能性があります。

  • 次の就職先が決まるまでの期間
  • 次の就職先が決まるまでの期間として妥当な期間

実際の裁判例を紹介します。

麻酔科勤務医(男・固定時52歳、脊柱変形11級7号)につき、(略)休業によりその職を別の医師に交替し、復職を申し出た時には復帰できず職を失ったとして、事故前の収入を基礎に、退職時から他院に勤務するまでの5ヶ月間245万円余りを認めた。

京都地判平27.3.19 交民48・2・391

ただし、本当に休業損害が認められるか、どれくらいの期間に対して認められるかは示談交渉次第なので、転職による休業損害を請求したい場合には一度弁護士に相談する事がおすすめです。

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後遺障害等級認定の方法

後遺障害等級認定の審査を受けるためには、審査機関である「損害保険料率算出機構」に必要書類を提出しなければなりません。
ただし、書類の提出では加害者側の任意保険会社か、加害者側の自賠責保険会社を挟まねばならず、どちらを選ぶかで被害者側が用意する書類も違ってきます。

それぞれの具体的な流れと被害者側が用意する書類を見ていきましょう。

事前認定|加害者側の任意保険会社を挟む

事前認定の流れ

事前認定では、被害者側は「後遺障害診断書」を医師に作成してもらい、加害者側の任意保険会社に提出します。
すると、残りの必要書類はすべて加害者側の任意保険会社がそろえて審査機関に提出してくれ、審査が行われます。

事前認定のメリットとデメリットは次の通りです。

メリット

  • 用意する書類が少ないので手間がかからない

デメリット

  • 後遺障害診断書以外の書類には関与できないので、内容の確認や訂正・ブラッシュアップができない
  • より正確に後遺症について伝えるための追加書類を添付できない

後遺障害等級の認定審査は、基本的には提出書類のみを見て行われます。そのため、いかに質が高く、後遺症について詳しく伝える書類を提出できるかがカギなのですが、事前認定ではできる対策に限りがあります。

必要最低限の内容を記載した必要最低限の書類だけでも確実に後遺障害等級が認定されると思われる場合にはおすすめです。

被害者請求|加害者側の自賠責保険会社を挟む

被害者請求の流れ

被害者請求では、提出書類は被害者側がすべて集め、加害者側の自賠責保険会社に提出します。すると、加害者側の自賠責保険会社が受け取った書類を審査機関に提出してくれるので、審査が受けられます。

被害者請求で被害者側が集めなければならない書類は、主に次のものです。

  • 保険金・損害賠償額・仮渡金請求書
    加害者側の自賠責保険会社から取り寄せ作成
  • 事故発生状況報告書
    加害者側の自賠責保険会社から取り寄せ作成
  • 交通事故証明書
    自動車安全運転センターで発行してもらう
  • 診断書・後遺障害診断書
    病院で作成してもらう
  • 診療報酬明細書
    病院で発行してもらう
  • 印鑑証明
    役所で発行してもらう
  • レントゲン写真やMRI画像など
    病院で用意してもらう

被害者請求のメリットとデメリットは、次の通りです。

メリット

  • 提出書類全てに関与できるので、しっかりと後遺症の状態を審査機関に伝えられるよう、工夫ができる

デメリット

  • 手間がかかる

被害者請求なら、すべての提出書類の内容を確認し、必要に応じて訂正・ブラッシュアップが可能ですし、追加書類の添付もできます。書類のみが審査で用いられる後遺障害等級認定では、非常に重要なメリットです。

その分、申請準備に手間がかかる点がデメリットですが、書類集めは弁護士にお願いすることもできます。弁護士に相談すれば、書類の内容や追加で添付すべき書類の種類についてもアドバイスをもらえるので、より効果的な準備が可能です。

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被害者請求の方法については、こちらの記事『交通事故で被害者請求はすべき?手続きの方法や必要書類』でも詳しく解説しています。

脳挫傷における慰謝料計算

ここからは、交通事故で脳挫傷になった場合に請求できる慰謝料の計算方法を解説していきます。後遺障害の有無にかかわらず請求できる慰謝料もあるので、確認していきましょう。

慰謝料には3つの算定基準がある

交通事故の慰謝料には次の3つの算定基準があり、同じ条件で慰謝料計算をしても、どの算定基準を用いるかで金額は変わります。

自賠責基準交通事故の被害者に補償される、最低限の金額を算定する場合に用いる。
任意保険基準加害者側の任意保険会社が慰謝料を計算する際に用いる。
弁護士基準の半分~3分の1程度。
弁護士基準過去の裁判例に基づいた相場額を計算する際に用いる。
3つの基準の中で最も高額であり、裁判基準とも呼ばれる。

示談交渉の際に加害者側の任意保険会社が提示してくるのは任意保険基準の金額ですが、慰謝料額として妥当なのは弁護士基準の金額です。
そのため、妥当な慰謝料額を得るためには、示談交渉で加害者側の任意保険会社に弁護士基準の金額を認めてもらわなければなりません。

示談交渉のポイントについてはのちほど解説するので、まずは脳挫傷で請求できる慰謝料の金額と計算方法を確認していきましょう。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料の計算方法です。実際に計算しやすいよう、具体的な計算例も紹介します。

自賠責基準の場合

自賠責基準の場合、入通院慰謝料は日額を4300円として以下のように計算します。

  • 実通院日数が通院期間の半分以下
    4300円×{入院日数+(実通院日数×2)}
  • 実通院日数が通院期間の半分をこえる
    4300円×(入院日数+通院期間)

たとえば脳挫傷で3か月間入院し、その後1年間通院した場合を考えましょう。
実通院日数が150日なら、通院期間の半分以下なので次のように計算します。

4300円×{90日+(150日×2)}=167万7000円

実通院日数が200日なら、通院期間の半分をこえるので計算方法は次の通りです。

4300円×(90日+365日)=195万6500円

補足

自賠責保険会社から支払われる「傷害」に関する損害賠償金には、入通院慰謝料や治療関係費、休業損害を合わせて120万円までの上限があります。
上限を超えた場合、超えた部分は加害者側の任意保険会社が支払いますが、どれくらいの金額が支払われるかは示談交渉次第である点に注意してください。

任意保険基準の場合

任意保険基準は、各保険会社が独自に設定していて非公開です。そのためここでは紹介できませんが、自賠責基準の金額と同等、もしくは少し高額な程度だと考えてください。

弁護士基準の場合

弁護士基準では、「入通院慰謝料算定表」を参考に入通院慰謝料を計算します。
表には軽傷用と重傷用がありますが、脳挫傷の場合は重傷用を使うので、見ていきましょう。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

たとえば脳挫傷で3か月間入院、その後11か月と10日通院した場合には、次のように計算します。

  1. 入院3ヶ月、通院11か月の金額を確認すると、234万円。
  2. 端数の10日の金額は、「入院3ヶ月、通院12ヶ月」の金額から「入院3ヶ月、通院11ヶ月」の金額を引いたものを日割りして計算する。
    (236万円-234万円)÷30日×10日=約6700円
  3. 1と2を合計すれば、入通院慰謝料がわかる。
    234万円+6700円=234万6700円

後遺障害慰謝料の計算方法

つづいて、後遺障害慰謝料です。後遺障害慰謝料の金額は後遺障害等級に応じて決まっているので、脳挫傷の後遺症で認定される可能性のある等級と、その慰謝料額を紹介していきます。
こちらも任意保険基準は省くので、自賠責基準の金額を参考にしてください。

高次脳機能障害の場合

等級 自賠責弁護士
1級・要介護1650万円2800万円
2級・要介護1203万円2370万円
3級861万円1990万円
5級618万円1400万円
7級419万円1000万円
9級249万円690万円
12級94万円vv290万円
14級32万円110万円

高次脳機能障害については、こちらの記事『高次脳機能障害の等級認定|認定基準をわかりやすく解説』でも詳しく解説しています。

遷延性意識障害の場合

等級 自賠責弁護士
1級・要介護1650万円2800万円
2級・要介護1203万円2370万円

外傷性てんかんの場合

等級 自賠責弁護士
5級618万円1400万円
7級419万円1000万円
9級249万円690万円
12級94万円290万円

脳挫傷で慰謝料請求する方法

ここまで見てきてもわかる通り、示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料額と、本来被害者が受け取るべき妥当な慰謝料額には大きな差があります。

どうすれば妥当な金額を獲得できるのかを知るために、示談交渉の流れや注意点を解説していきます。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れは、以下の通りです。

  1. 治癒の場合は治療終了後、症状固定の場合は後遺障害等級認定の結果が出た後、加害者側の任意保険会社から示談案が届く。
    示談案には、慰謝料や損害賠償金の提示額や過失割合が記載されている。
  2. 示談案の内容に納得すればそのまま合意、納得いかなければ交渉に入る。交渉は、電話やFAXで行われることが多い。
  3. 交渉後に合意に至ると、加害者側の任意保険会社から示談案が届くので、内容を確認して署名・捺印。
  4. 署名・捺印した示談書を加害者側にに保険会社に返送すると、2週間程度で慰謝料・損害賠償金が振り込まれる。

示談交渉そのものについては、こちらの記事『交通事故の示談交渉で知るべき点と相場の示談金を得る方法』でも詳しく解説しています。

脳挫傷では増額交渉が非常に重要

脳挫傷では、妥当な金額の慰謝料・損害賠償金を得ることが非常に重要です。交通事故で脳挫傷になった場合、以下の点から治療中の生活費や将来の収入に大きな影響が出る可能性があるからです。

  • 入院・通院のため長期の休業を余儀なくされる
  • 脳挫傷の後遺症は労務に支障が出やすいので、生涯収入の大幅な減少も考えられる
  • 後遺症が残った被害者の介護のため、家族も今までと同じようには働けない可能性がある

しかし、加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料額はこの記事で解説してきたように、妥当な金額の半分~3分の1程度でしかありません。さらに、休業損害や逸失利益についても低い金額を提示してくる傾向にあります。

だからこそ、加害者側の任意保険会社の提示額を増額させられるように交渉することが非常に大切です。

慰謝料請求で弁護士は必要?

示談交渉は被害者自身で行うこともできますし、被害者が交渉を行える状態でなければ家族が代理人として行うこともできます。しかし、とくに脳挫傷の場合は、以下の理由から弁護士を立てることがおすすめです。

  • 増額交渉は弁護士でないと成功しにくいから
  • 治療や看護と並行して示談交渉の準備をするのは難しいから
  • 弁護士費用は一般的なイメージほど高くないから

重要な部分なので、ひとつずつ詳しく解説していきます。

増額交渉は弁護士でないと成功しにくいから

加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料や損害賠償金に対する増額交渉は、弁護士がしないと成功しない傾向が強いです。
専門的な知識や資格を持たない被害者や被害者の家族が、提示額の2倍も3倍も高い金額を主張しても、加害者側の任意保険会社は納得しないのです。

とくに脳挫傷の場合は、すでに説明したように弁護士基準の金額を獲得することが非常に重要なので、弁護士を立てて確実に妥当な金額獲得を狙いにいくことがベストと言えます。

治療や看護と並行して示談交渉の準備をするのは難しいから

交通事故の示談交渉は、加害者側の任意保険会社から示談案が届いてから対応すれば良いというものではありません。
示談案が届く前に被害者側でも慰謝料や損害賠償金を計算したり、示談交渉の対策を立てたり、後遺障害等級の審査に申請したりとさまざまな準備をする必要があります。

脳挫傷の場合は軽傷とは違い、示談交渉の準備をしながら治療・リハビリテーションや看護をするのは非常に困難です。また、怪我に関する不安のみならず示談交渉に関する不安も抱えるのは負担が大きいでしょう。

しかし、弁護士を立てておけば事前の準備から任せられるので治療やリハビリテーション・看護に専念できますし、示談交渉に関する不安も軽減できます。

弁護士費用は一般的なイメージほど高くないから

弁護士費用は高いと思われがちですが、アトム法律事務所ならどんな方でも自己負担金0円で相談・依頼が可能です。

アトム法律事務所の料金体系

弁護士費用特約料金
あり被害者自身が加入する任意保険会社に弁護士費用を負担してもらえる。
なし被害者が自前で用意する相談料・着手金が無料。(相場は20万5000円)
成功報酬は示談成立後、獲得示談金から支払えるので、自己負担金は実質0円。

自己負担金0円で、手間を減らしつつ妥当な金額を得られる可能性を格段に高められるので、弁護士に相談・依頼することがおすすめです。

弁護士費用特約についてさらに詳しくはこちらの記事『交通事故の弁護士費用相場・弁護士費用特約』をご覧ください。

アトム法律事務所のご案内

では最後に、アトム法律事務所の実績・口コミを紹介し、無料電話・LINE相談のご案内をします。

アトム法律事務所・脳挫傷の解決実績

アトム法律事務所では、確かな実績と丁寧な対応により、90%以上のご依頼者様から満足の声をいただいています。ここから紹介するのは、その一部です。

脳挫傷の事例

怪我脳挫傷、外傷性くも膜下出血、顔の傷(併合11級)
獲得金額983万円

素人の私に解らない事、不安な事など納得いくまで教えて下さいました。しかも返事に全く時間をかけず、不安でいる時間が少なくてすみました。(略)解決した金額についても大満足!!(略)そして事務の女性の方の対応がとても気持ちよく、今でも忘れていません!!

その他の事例

事例(1)

怪我右肩鎖関節脱臼、上唇部神経症状(併合11級)
獲得金額939万円→1503万円

初めて相談させて頂いた時は、交通事故の対応が初めてだったので、怪我の治療の件、後遺障害の件等、不安な事が沢山ありましたが、親身に且つ丁寧に相談にのって頂いたので大変感謝しております。

事例(2)

怪我肩腱断裂、むちうち(併合12級)
獲得金額1090万円

何度も何度も粘り強く交渉して頂いた事だと思います。(略)大変な満足以上の事をして頂いたおかげで気持ちを切り替えて仕事に励んで行く事が出来ると思います。

どちらも可能!電話・LINE相談の流れ

アトム法律事務所では、無料で電話・LINEが可能です。それぞれのメリットと流れを紹介していくので、自分に合った方を選んでください。

電話相談

電話相談のメリットは、弁護士の声から人柄・雰囲気も確認できることです。また、リアルタイムでのやり取りが可能なので、弁護士の話を聞いてあらたな疑問が出てきた場合でもすぐに質問できます。

電話相談の流れは以下の通りです。

  1. 下記バナーからアトム法律事務所に電話
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  3. 一度電話を切った後、弁護士から改めて電話がかかる
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LINE相談

LINE相談のメリットは、自分のペースでじっくり相談ができることです。
「詳しく話を聞きたいけれど、忙しいので電話が長引くのは困る」「弁護士の話を直接聞きながらその場で理解が追いつくかわからない」という方には、LINE相談がおすすめです。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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