弁護士特約の適用範囲や条件|別居する家族も範囲に含まれる?

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「弁護士特約を契約しているけれど家族は使えるの?」
「弁護士特約を使いたいけれど使い方がわからない」

そんな人も多いのではないでしょうか。そもそも、弁護士特約とは何が補償されるのかわからないという方も多いでしょう。

弁護士特約の補償範囲から、利用条件まで詳しくまとめました。
弁護士特約を付けるべきか悩んでいる人、弁護士特約が使えるのか実際に今悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

弁護士特約とは

弁護士特約とは、自動車保険や火災保険などに付帯されている「特約」の一つです。弁護士特約は自動付帯しているものではないため、利用するには弁護士特約に加入していることが前提となります。

弁護士特約の種類

自動車保険の弁護士特約には、「自動車事故に関わる弁護士費用」が補償対象となる範囲が限定される契約と、「日常生活のトラブルにおける弁護士費用」まで補償対象となる契約があります。

「日常生活のトラブルにおける弁護士費用」には、犬にかまれた場合や自転車同士の事故などの場合でも利用できるので、必要に応じて選択しましょう。

弁護士特約を利用する際は、保険会社の承諾が必要です。利用前に必ず確認してください。

交通事故の場合の弁護士特約とは?

交通事故の場合の弁護士特約とは、自動車に関する事故の損害賠償問題を弁護士に相談もしくは依頼するための費用を補償するものです。依頼内容としては、相手方への損害賠償請求や示談交渉などとなります。

弁護士特約は別名として、弁護士費用特約・弁護士費用担保特約・弁護士費用補償特約とも呼ばれます。

弁護士特約とはどんな場合に利用する?

もらい事故にあったとき

もらい事故のような自分の過失割合が0%となる事故の場合、保険会社への示談交渉依頼はできません。過失割合が0%の事故で保険会社が示談交渉をすると、弁護士法(第72条非弁活動の禁止)に抵触するためです。

相手方に対して示談交渉や損害賠償請求を行う場合、法律の専門家である弁護士へ依頼する人が大半です。

弁護士特約を使えば保険会社が300万円まで弁護士費用を負担してくれるため、自己負担が0円で済むことがほとんどです。

加害者とトラブルになったとき

加害者が任意保険未加入であったり、責任を認めなかったりなどでトラブルに発展するケースは少なくありません。自身で交渉をすると事故のダメージに加え、さらに精神的にも負荷がかかります。

弁護士に依頼することで、自身が矢面に立つことなくスムーズに示談をすすめられます

示談交渉で加害者とトラブルになりやすい任意保険未加入のケースについては、こちらの関連記事『相手が任意保険未加入の場合の示談交渉は要注意!対応ポイントを弁護士が解説』でも対処方法などを詳しく解説しています。

相手方の提示した賠償額が不当に低い金額であるとき

相手方が交渉に応じたとしても、提示してきた賠償額が不当に低い場合は、納得できる金額になるよう交渉していく必要があります。

弁護士は豊富な経験と専門性を活かし、賠償額が不当に低いことに対して事例や証拠を用いて相手と交渉してくれるため、心強い味方となるでしょう。

事故による被害が小さい場合

事故による被害が少ない場合、相手方に請求する金額も少なくなります。弁護士費用が請求金額よりも高額になり、かえって費用負担が増えることになりかねません。

弁護士特約を利用すれば、弁護士費用が補償されるため、安心して弁護士へ依頼できます

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弁護士特約の適用範囲

保険は通常、契約者のみが対象となります。しかし、弁護士特約の場合であれば、契約者本人はもちろんのこと、本人の周囲の一定範囲の人も適用範囲に含まれます。ここではその適用範囲を詳しく見ていきましょう。

適用範囲

  • 契約者本人
  • 契約者の配偶者(内縁関係でも利用可能)
  • 同居している親族
  • 別居している未婚の子
  • 保険契約車両の搭乗者
  • 契約車両の所有者 など

適用できる交通事故

  • 車を運転しているときの自己過失0のもらい事故
  • 歩行中の交通事故
  • タクシーやバスに乗車中の事故
  • 知人の車に乗っているときの事故 など

保険会社により細かい適用範囲は異なるので、必ず保険契約をご確認ください。

弁護士特約は別居している家族にも適用される

弁護士特約は、別居している家族でも利用できます。
どのようなケースに適用されるのか、確認しておきましょう。

  • 被保険者が単身赴任をしており、配偶者が事故にあった場合
    契約者の配偶者は、同居の有無に関わらず適用範囲内です。夫が仕事で単身赴任となり、妻が事故に巻き込まれた際などに利用できます。
  • 進学のため遠方で一人暮らしをしている未婚の子どもが事故にあった場合
    進学のために別居して暮らしている子どもがもらい事故にあった場合、弁護士特約を利用できます。
  • 未婚の子どもが帰省してきたタイミングで、契約車両の運転中や乗車中に事故にあった場合
    帰省の際、契約車両を運転または同乗し事故にあった場合でも弁護士特約を利用できます。
  • 親が保険に加入しているが、契約車両の所有者は別居している未婚の子どもだった場合
    親が保険に加入しており、別居している未婚の子どもが契約車両を所有し事故にあった場合、弁護士特約を利用できます。

同居の有無に関わらず、条件によっては特約を利用できます。何かあった際は、弁護士特約の適用範囲に該当するか必ず確認しましょう。

弁護士特約の適用範囲についてはこちらの記事『弁護士費用特約を家族に適用できる範囲』でもさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

弁護士費用の特約の対象となる費用は?

弁護士費用特約の対象になる費用としては、弁護士に支払う着手金・報酬金・相談料などがあげられます。

支払う費用の内容により、補償金額の上限があるので注意しましょう。

上限金額内容
10万円弁護士や司法書士への相談費用
司法書士や行政書士の書類作成費用
300万円弁護士・司法書士への報酬
訴訟・和解・仲裁・調停などの費用

弁護士特約という名称ですが、司法書士や行政書士への依頼も可能です。ただし、司法書士では示談交渉ができる対応範囲が限られていること、行政書士は書類の作成などしかできず示談交渉は代理できないなど制限がある点は覚えておきましょう。
特約を使って司法書士や行政書士に依頼した後に弁護士へ変更した場合は、それぞれに費用が必要になってきますので、補償金額の上限を超えないか注意が必要です。

相談だけの場合や、書類作成のみの場合は、補償上限額が10万円になります。
訴訟や調停などに発展した場合、補償上限金額は300万円です。ほとんどのケースが300万円以内で費用を賄えるため、自己負担金額は0円で済むでしょう。

特約に加入していても弁護士特約を利用できない場合もある

特約に加入していても弁護士特約を利用できないケースがあるので、注意が必要です。
どういった場合に利用できないのか、確認しておきましょう。 

  • 事故当時に、弁護士特約に加入していなかった場合
  • 利用者本人に重度の過失がある場合(例:飲酒運転や無免許運転など)
  • 事業用自動車を運転中の事故
  • 地震や台風、津波などによる事故
  • 自身が事故の加害者の場合
  • 同居の親族や配偶者に対する損害賠償請求
  • 闘争行為や自殺行為、犯罪行為によって発生した事故
  • その他故意またはきわめて重大な過失がある場合

大前提として、事故当時に弁護士特約に加入している必要があります。事故後に慌てて加入したとしても、利用できません。
他にも保険会社により利用できない条件が異なるため、必ず確認しておきましょう。

まとめ

弁護士特約は、契約者本人だけでなく広い範囲で利用できます。適用できる事故は限られていますが、自己負担0円で弁護士費用をまかえるので安心ですね。

しかし、弁護士特約を利用できないケースもあるため注意が必要です。

特に事故後は、肉体的にも精神的にもダメージを受けている時期でしょう。交通事故で相手方とトラブルになった時には、弁護士や専門家へ依頼することで負担を軽減することができます。弁護士特約を使って、スムーズに問題を解決しましょう。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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