交通事故の過失割合に納得いかない場合の対処法を弁護士が教えます!

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

保険会社に過失割合の提示をされても安易に了承すべきではありません。なぜなら、過失割合によって被害者が受け取る示談金額は大きく変わり、数十万円、数百万もの差が出ることもあるからです。

納得いかないときに被害者はどうしたらいいのか、対処法を弁護士が解説します。

交通事故の過失割合に納得いかない場合の対処法

保険会社は事故案件を大量に抱えているので、早く示談解決しようと何度も説得をしてくるかもしれません。しかし、過失割合は示談金額に大きく影響するため、納得いかない場合は以下の方法を試みましょう。

示談交渉する

過失割合に納得がいかない場合の示談交渉は、被害者本人だけでなく弁護士が行うことも可能です。交渉を有利に進めるには、事故状況の詳しい証明をしなければなりません。事故状況の証明には、事故目撃者の証言やドライブレコーダーの記録が入手できれば大変役に立つでしょう。

被害者本人が示談交渉するときには、保険会社に対して意思決定を明言したり脅すような発言をしないよう気を付けてください。保険会社は交渉の記録を残しているため、後にそれらの言動がこちらにとって不利になる可能性があります。

証拠収集や示談交渉は、時間を要し難易度も高いため、被害者本人にとって相当な負担になることも多いです。大変な場合は、弁護士に依頼をすることで、より良い結果を得ることができるかもしれません。

弁護士には証拠収集や示談交渉を全て代理してもらうことができます。弁護士は法律知識と交通事故の専門知識を備えているため、交渉を任せることで被害者のストレスは大幅に軽減されるでしょう。

もし自身の保険に弁護士費用特約を付帯していれば、弁護士費用は保険会社の負担になるので自己負担なしで依頼できます。

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裁判をおこす

示談交渉が難航して、どうしても解決に至らない場合に裁判という選択肢があります。

裁判のメリット

裁判をするメリットは大きく3つあります。

  1. 裁判は個別の事情を検討して進めるため、個別の事情を反映した過失割合が認定されやすく、被害者により有利な判決になる可能性がある
  2. たとえ判決の内容に相手方が納得せずとも、強制執行を行うことができる
  3. 裁判をすれば相手方に対して遅延損害金も請求できる

裁判の注意点

裁判にはメリットもありますが、もし納得いかない判決になった場合でも従わなければならないことは心に留めておきましょう。また裁判は長時間を要するので、解決までに時間がかかることも理解しておきましょう。

納得がいかない場合は過失割合を変更できる?

被害者が示談書にサインをしない限り過失割合は変更可能です。

加害者の保険会社は、あくまでも過去の事故の裁判例を基準に過失割合を判断しています。また、保険会社は営利企業のため、被害者に支払う損害賠償金がなるべく少なくなるように考えてくるでしょう。

そのため被害者にとって不利な過失割合を主張することも少なくありません。被害者が主張する事故状況を立証したり、交渉を続けたりすることにより過失割合は変更になることもありますので、交渉を継続する態度はしっかり示しましょう。

納得いかない過失割合が決まった要因とは

なぜ保険会社は被害者にとって納得できない過失割合を提示することがあるのでしょうか。それには2つの大きな原因が挙げられます。

被害者と加害者の主張が異なっている

被害者と加害者が主張する事故状況が異なるとき、どちらの主張を参考にするかによって過失割合が変わることがあります。その例として、お互いに信号は青だったと主張しているケースや、一時停止の有無の主張が異なるケースなどが挙げられます。お互いの認識の違いにより適切な判断が難しい場合はトラブルが多くなります。

このようなトラブルは、車体の損傷を専門家が確認すれば損傷の仕方から事故状況がわかることもありますし、事故目撃者やドライブレコーダーの記録によって事実が証明されることもあります。しかし、これらの証明前の段階では、相手方の保険会社は加害者に有利な事故状況を主張してくるでしょう。

保険会社の判断が間違っている

事故当事者が話し合って示談することもできますが、実際はお互いが加入する保険会社の担当者が示談交渉を代行することが大半です。その際、保険会社は事故状況に類似した過去の裁判例の過失割合を根拠に交渉をしてくるでしょう。

しかし、保険会社の担当者は法律の専門家ではないため、判例の解釈を誤ってしまうことも考えられます。

そのような事態を避けるためには、保険会社がどの判例を参考にしているかを聞いておくと良いでしょう。その判例を調べれば、誤解のある点を訂正したり、事故状況に該当する新たな判例を探したりすることもできます。

例え事故の状況が判例に該当していたとしても、スピード違反や一時停止不足など、今回の事故には相手方の責めに帰すべき部分があるかもしれません。これらを修正要素といい、立証できれば過失割合が変更になる可能性があります。

過失割合次第で示談金が変わってくる

過失割合が小さくなると、被害者は保険会社からはじめに提示を受けた金額よりも示談金を多く受け取ることができます。

例えば、被害者の損害額合計が200万円となっているケースをみてみましょう。保険会社から提示された過失割合が被害者:加害者=20:80だと、被害者は保険会社から160万円の賠償を受けることができますが、40万円は自己負担(もしくは自身の保険を使用)しなければなりません。

しかし、保険会社と交渉を続け、最終的に過失割合が被害者:加害者=15:85と当初より被害者に有利な数字で決定すると、保険会社からは170万円の賠償を受けることができ、自己負担も30万円になります。

このように過失割合が5%修正されただけでも金額は大きく異なるため、納得できるまで交渉は続けるべきしょう。

実際の交通事故の損害額には車両損害額の他にも、治療費や慰謝料など様々な損害も含まれます。そのため想像以上の金額になっている場合も多いでしょう。

まとめ

過失割合に納得できない場合には、安易に了承せずに交渉を続けることが重要です。被害者本人が直接交渉することもできますが、専門知識のある弁護士に交渉を依頼すれば、納得のいく結果を得られる可能性も高まるでしょう。

弁護士は被害者に寄り添い、主張を聞いた上で交渉を進めてくれるため大変心強い味方になってくれます。予期せぬ事態にお困りの場合は弁護士依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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