交通事故慰謝料の
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更新日:
新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
この記事では、主に示談金の計算方法について解説しています。
示談金といっても事故によって内訳は違いますし、加害者側は金額が少なくなるよう、計算方法を工夫することもあります。
そのため、不当な金額で合意しないためにも、示談金の正しい計算方法を知っておくことは重要です。正しい計算方法で算出した金額を獲得するための方法も解説するので、合わせて確認していきましょう。
目次
以下の自動計算機を使うと、示談金のうち慰謝料・逸失利益の金額がわかります。
年齢や収入、通院日数などを入力するだけなので、使ってみてください。
ポイント
アトム法律事務所では、無料で示談金額の相談を受け付けています。実績や口コミはこの記事内で解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは、示談金の内訳について説明していきます。
示談金とは、加害者側との示談交渉で金額が決められる、損害賠償金全体のことです。ただし、該当する事故の種類によって含まれる損害賠償金は違います。
示談金の内訳と、各項目が何を補償するのかについて、事故の種類別にみていきましょう。
ケガが完治した交通事故の場合、示談金には次の損害賠償金が含まれます。
それぞれがどのようなものなのか、詳しく解説します。
治療関係費には、ケガの治療費や入院費用のほかに、次のものが含まれます。
治療費についてはこちらの記事『交通事故の治療費は誰が負担?』でも詳しく解説しています。
入通院慰謝料は、交通事故による入院や通院の過程で生じた精神的苦痛に対する補償のことで、傷害慰謝料とも呼ばれます。金額は治療日数を参考に決められます。
慰謝料で補償される精神的苦痛の具体例は、『交通事故の慰謝料が補償する精神的苦痛とは?相場金額と高額獲得に不可欠なこと』で解説しています。
休業損害とは、交通事故にあい仕事を休まざるをえなかった場合に、その日数分の収入を補償するお金です。
金額は「日額×休業日数」で計算され、有給休暇を使った日も補償対象となります。
交通事故の損害賠償では、主婦業も賃金労働と同じように扱うので、専業主婦でも休業損害の請求が可能です。
物損に関する賠償金には、車の修理費のほか、次のものが含まれます。
車の買い替えが必要な場合は、その費用も相手方に請求できます。
物損に関する損害賠償金については『物損事故では慰謝料請求できない?例外事例や物損事故の損害賠償金の内訳を詳しく解説』で詳しく解説しています。
実費と思われがちな損害賠償額にも上限が設けられている場合があるので、確認してみてください。
後遺障害が残った場合は、「ケガのみの事故における示談金」に加えて以下の項目を加害者側に請求できます。
それぞれについてさらに詳しく紹介します。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償のことです。
交通事故によって後遺症が残り、「後遺障害等級」が認定されれば加害者側に請求可能です。
後遺障害等級の認定審査を受けるためには、「被害者請求」または「事前認定」という手続きを通して、審査機関に必要書類を提出します。
被害者請求・事前認定による後遺障害認定の手続きについて、詳しくは『後遺障害認定の手続きはどうすればいい?具体的な申請方法と認定のポイント』で解説しています。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害により労働能力が低下したことで減ってしまった生涯収入に対する補償です。労働能力低下の影響を被る年数や、事故前の収入などをもとに金額を算出します。
後遺障害逸失利益は、会社員や自営業者はもちろん、専業主婦や学生、子どもでも請求できます。
後遺障害逸失利益も、後遺障害等級が認定されていなければ請求できません。
死亡事故の場合は、死亡慰謝料と葬祭関係費を加害者側に請求できます。
死亡慰謝料とは、交通事故で死亡した被害者と、その遺族の精神的苦痛に対する補償です。遺族とは原則として被害者の子・配偶者・親のことを指し、養子や養父母も含まれます。
内縁のパートナーや兄弟姉妹でも、上記の遺族と同じくらい被害者と関係性が深く、精神的苦痛が大きいと判断されれば、死亡慰謝料が支払われることもあります。
葬祭関係費とは、通夜や葬儀、位牌、墓石などの費用のことです。葬儀よりあとに行われる法事の費用は加害者側には請求できません。
つづいて、示談金の計算方法を紹介していきます。ただし、慰謝料と休業損害は計算方法が3通りあるので、次の項で解説します。
ここでは、治療関係費と逸失利益の計算方法を見ていきましょう。
治療関係費のうち、入院費や治療費、通院交通費は基本的に実費が支払われますが、看護費・介護費には計算方法があるので解説します。
家族が被害者の入院や通院の看護をした場合、以下の金額を請求できます。
入院看護費 | 6500円/日 |
通院看護費 | 3300円/日 |
職業看護人を雇った場合には、その費用を看護費として加害者側に請求できます。
家族が仕事を休んで看護をした場合は、その家族の1日当たりの収入によって請求できる金額が以下のように決まります。
家族の収入 | 看護費 |
---|---|
6500円以下 | 6500円 |
6500円超 | 実際の収入 ※職業人を雇った場合の日額を上限とする |
ただし、上記はのちに解説する弁護士基準における金額です。加害者側の自賠責保険からは上記より低い金額しか支払われないので、超過分については示談交渉で請求する必要があります。
治療期間中に介護が必要だった場合は、以下の金額を介護費として請求できます。
看護人 | 看護費 |
---|---|
家族 | 8000円/日 |
職業人 | 日額 |
将来介護費が必要な場合は、後遺障害の状態やこれまでの介護の内容などを参考にして、金額が決まります。
逸失利益の計算方法は、以下の通りです。
計算で用いる各要素について解説していきます。
収入は、サラリーマンであれば社会保険料や税金などを差し引く前の、額面の年収を用いてください。自営業者であれば、前年の確定申告で申告した所得金額を用います。
専業主婦・学生・子どもの収入は、以下の通りです。
上記はいずれも、賃金センサスで公表されるものを用います。下記表は、令和元年の金額をまとめたものです。
専業主婦 | 388万円 |
大学生 | 男性:671万4600円 女性:472万400円 |
高校生以下 | 男性:560万9700万円 女性:500万6900万円 |
労働能力喪失率とは、後遺障害によりどれくらいの労働能力が失われたのかを割合で示したものです。これは、後遺障害等級ごとに決められています。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1 | 100% |
2 | 100% |
3 | 100% |
4 | 92% |
5 | 79% |
6 | 67% |
7 | 56% |
8 | 45% |
9 | 35% |
10 | 27% |
11 | 20% |
12 | 14% |
13 | 9% |
14 | 5% |
労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が低下した状態で働く年数のことです。死亡によって就労できなくなった年数とは、死亡しなければあとどれくらい働いていたかを表す年数です。
どちらも次のように決まっています。
ライプニッツ係数とは、逸失利益を預金・運用した場合に将来的に発生する利息をあらかじめ差し引くための数字です。
後遺障害逸失利益なら労働能力喪失期間、死亡逸失利益なら死亡により就労できなくなった年数に応じたものが適用されます。
ライプニッツ係数はすべて紹介すると膨大な量になるので、厚生労働省が公表している「就労可能う年数とライプニッツ係数表」を見てみてください。
生活費控除率とは、死亡逸失利益から将来被害者本人が消費したであろう金額を差し引くための数字で、以下の通りです。
一家の支柱 (扶養家族1人) | 40% |
一家の支柱 (扶養家族2人以上) | 30% |
女性 | 30% |
男性 | 50% |
逸失利益のさらに詳しい計算方法については、こちらの記事『後遺障害逸失利益|計算方法と適正に獲得するコツ』で解説しています。あわせてご覧ください。
つづいて、3種類の慰謝料と休業損害の計算方法についてです。慰謝料・休業損害の計算方法は3通りあるので、それぞれがどのようなものなのか解説したうえで、計算方法を紹介していきます。
ただし、事故の個別的な事情を考慮したり過失割合がついたりすることで慰謝料が増額・減額される場合がある点に注意してください。
交通事故の慰謝料・休業損害には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの計算基準があり、それぞれで計算方法が違います。
金額は、自賠責基準と任意保険基準がほぼ同等、弁護士基準は任意保険基準の2倍~3倍です。
それぞれがどういうときに用いられるのか、解説していきます。
自賠責基準の計算方法は、加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料・休業損害を計算する際に用いられます。自賠責保険から支払われる金額は交通事故被害者に補償される最低限のものであり、上限があるのが特徴です。
示談交渉で決まった金額が自賠責基準の金額以上だった場合、超過部分は加害者側の任意保険が支払います。
なお、この後紹介する自賠責基準の計算方法は、民法改正により2020年4月1日以降の交通事故に適用されるものとします。
任意保険基準の計算方法は、加害者側の任意保険会社が慰謝料や休業損害を計算する場合に用いるもので、示談交渉で提示されるのはこの金額です。
ただし、任意保険基準の計算方法はそれぞれの保険会社が独自に定めており、非公開です。この記事では、各社が同じ計算方法を用いていたころの、「旧任意保険基準」のものを紹介します。
弁護士基準は、過去の判例をもとにした相場額を計算するときに用いられるもので、裁判基準とも呼ばれます。
3つの計算基準の中でもっとも高額かつ妥当な金額なので、被害者にとっては最も理想的な金額です。
弁護士基準の金額は基本的に、裁判を起こした場合に得られる慰謝料・休業損害額ですが、裁判を起こさなくても示談交渉で弁護士を立てれば、獲得できる可能性があります。
詳しくはこの記事の最後で紹介しているので、引き続きご覧ください。
まずは、入通院慰謝料の計算方法を解説していきます。
自賠責基準の入通院慰謝料額は、次の計算式でわかります。
任意保険基準では、次の表を用いて入通院慰謝料を計算します。
具体的な計算方法はこの後紹介する弁護士基準と同じですが、表に記載された金額は違うので、比べてみましょう。
弁護士基準の場合は、「入通院慰謝料算定表」をもとに金額を計算します。
表は2種類あり、むちうちなどレントゲン写真・MRI画像に異常が写らない場合は軽傷用、それ以外は重傷用を用います。
むちうちで入院0日、通院期間2ヵ月15日だった場合の入通院慰謝料を弁護士基準で計算すると、以下の通りです。
入通院慰謝料の計算の仕組みがもっとよくわかるように計算シートを使って解説した記事『交通事故の慰謝料|計算シート』もおすすめです。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級ごとに決まっています。
等級 | 自賠責 | 任意保険 | 弁護士 |
---|---|---|---|
1級 | 1150万円 | 1300万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 1120万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 950万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 800万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 700万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 600万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 500万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 400万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 300万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 200万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 150万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 100万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
後遺障害慰謝料については、こちらの関連記事『交通事故の後遺障害慰謝料』でも詳しく解説しています。
死亡慰謝料は、次のように計算します。
自賠責基準では、被害者本人分400万円に加えて、以下の金額を加害者側に請求可能です。
遺族 | 扶養あり | 扶養なし |
---|---|---|
1人 | 550万円 | 750万円 |
2人 | 650万円 | 850万円 |
3人以上 | 750万円 | 950万円 |
任意保険基準の場合は、以下の金額に本人分と遺族分が含まれています。
被害者 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 1500万~2000万円 |
配偶者 | 1300万円~1600万円 |
18歳未満で未就労 | 1200万円~1600万円 |
65歳以上 | 1100万円~1400万円 |
弁護士基準の場合も、あらかじめ本人分と遺族分を合わせた金額が決められており、以下の通りです。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親・配偶者 | 2500万円 |
その他の場合 | 2000万円~2500万円 |
ただし、上記は4人家族を想定したものなので、一家の支柱かつ扶養家族が3人を超える場合には、もっと高額になる可能性があります。
死亡慰謝料については、こちらの関連記事『死亡事故の慰謝料相場は?』でも詳しく解説しています。
休業損害は「日額×休業日数」で計算しますが、日額の算出方法は3つの計算基準ごとに違います。
専業主婦の収入は女性の全年齢平均賃金を用い、令和元年のものなら年388万円です。アルバイトやパートでも、休業損害は請求できます。
休業損害のさらに詳しい計算方法については、こちらの記事『交通事故の休業損害|職業別の計算方法や請求方法』でも解説しています。あわせてご覧ください。
ここまで見てきたように、加害者側が提示してくる任意保険基準の金額と、弁護士基準の金額を比較すると大きな差があります。
この差を効率的かつ最大限に縮め、十分な示談金額を得るためには、弁護士に示談交渉任せることがおすすめです。
弁護士を立てる効果について実際の事例から確認したのち、自己負担金0円で弁護士を立てる方法を解説していきます。
十分な示談金額を獲得するためには、示談交渉で加害者側に増額を求める必要があります。しかし、被害者が自分で増額を求めても、十分に応じてもらえる可能性は低いです。
加害者側の任意保険会社にとって示談金は「出費」なので、専門的な知識や資格を持たない被害者に増額を求められても、簡単に応じるわけにはいかないのです。
しかし、示談交渉で弁護士を立てれば次の理由から、示談金が増額されやすくなります。
そのため、効率的に最大限の示談金額を引き出すためには、弁護士が必要なのです。
示談金増額のほかにも弁護士に期待できることは多数あります。詳しくはこちらの記事『交通事故被害者が弁護士に相談する効果』をあわせてご覧ください。
弁護士を立てる際には、アトム法律事務所も検討してみてください。
アトム法律事務所なら、費用も実績・口コミも安心です。順番に紹介していきます。
アトム法律事務所では、どんな方でも自己負担金0円で相談・依頼ができます。
アトム法律事務所では、90%以上のご依頼者様から満足の声をいただいています。ここで、実際の事例と合わせて口コミを紹介していきます。
事例(1)
ケガ | むちうち(14級9号) |
示談金 | 235万円 |
今回私が依頼した交通事故での後遺症障害で、相手保険会社から弁護士基準での満額回答に大変満足し、(略)弁護士としての依頼者への対応、親身になって相談を受けていただいたことに大変感謝しています。
事例(2)
ケガ | 右肩鎖関節脱臼、上唇部神経症状(併合11級) |
示談金 | 939万円→1503万円 |
初めて相談させて頂いた時は、交通事故の対応が初めてだったので、怪我の治療の件、後遺障害の件等、不安な事が沢山ありましたが、親身に且つ丁寧に相談にのって頂いたので大変感謝しております。
事例(3)
ケガ | 右脛骨果部骨折、右腓骨頭骨折(12級13号) |
示談金 | 322万円→479万円 |
納得のいかない点、判らない点を1つ1つ整理して下さり、手順を追って、それぞれ電話・メール・fax・手紙等で丁寧に対応してくださいました。(略)こちらの法律事務所と弁護士さんの対応は、とても身近に感じ有難かったです。この度の件感謝いたします。
最後に、アトム法律事務所の電話・LINE相談の流れを紹介します。相談の際に依頼を強要することはないので、少しでも気になることがあればお気軽にご連絡ください。
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相談内容がまとまっていない場合はオペレーターがいくつか質問をするので、安心してお電話ください。
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必ずしもしっかりまとめる必要はなく、簡潔に箇条書きにまとめたものでも問題ありません。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了