交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の怪我で通院治療した場合、通院の期間と慰謝料の関係はどうなっているのか?
治療日数も影響するのか?この辺りについて徹底的に調査してみました。
先生、この前見た交通事故の怪我、すごく痛そうでした。あの痛みをお金に換算するといくらぐらいになるんですか?
慰謝料は、怪我の痛みの程度じゃなくて、治療にかかった期間によって金額が決まっているよ。その事故の場合、1か月で完治したから慰謝料は28万円だね。
痛みは関係ないんですか。なんだか被害者がかわいそうです。
交通事故で怪我をして通院治療が必要になると、治療にかかる時間中は、別の予定を入れられず、身体の自由が拘束されてしまうことになります。検査や治療行為による煩わしさや、生理的な異常による苦痛も無視できないはずです。
このような怪我の苦痛に対する慰謝料は、苦痛を金額に換算するものですが、弁護士さんによれば、実務上は一律に通院に要する期間によって相場が決められているのだそうです。
そのため、通院期間が通院慰謝料の金額に直接影響することになります。また、慰謝料相場は、他覚症状のないむちうち症の場合と、それ以外の怪我の場合とで、相場水準が区別されているそうです。
怪我による慰謝料を把握したい場合は、通院に要した期間と怪我の内容を把握する必要がありますね。
通院期間と慰謝料の関係(万円) |
|||||
経過月数 |
通常 |
むちうち症 |
経過月数 |
通常 |
むちうち症 |
1月 |
28 |
19 |
8月 |
132 |
103 |
2月 |
52 |
36 |
9月 |
139 |
109 |
3月 |
73 |
53 |
10月 |
145 |
113 |
4月 |
90 |
67 |
11月 |
150 |
117 |
5月 |
105 |
79 |
12月 |
154 |
119 |
6月 |
116 |
89 |
13月 |
158 |
120 |
7月 |
124 |
97 |
14月 |
162 |
121 |
通院期間と慰謝料の関係(万円) |
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経過月数 |
通常 |
むちうち症 |
1月 |
28 |
19 |
2月 |
52 |
36 |
3月 |
73 |
53 |
4月 |
90 |
67 |
5月 |
105 |
79 |
6月 |
116 |
89 |
7月 |
124 |
97 |
8月 |
132 |
103 |
9月 |
139 |
109 |
10月 |
145 |
113 |
11月 |
150 |
117 |
12月 |
154 |
119 |
13月 |
158 |
120 |
14月 |
162 |
121 |
怪我の慰謝料について、どうしても「通院期間至上主義」が納得できないです!
実は、通院期間だけが慰謝料を決める唯一の基準ではないんだ。とくに重症の場合は、相場より2~3割増額してもらえることがあるよ。
重傷の人だけでも、考慮してもらえるのはうれしいですね。
怪我の慰謝料は、通院期間によって相場が決まっていますが、本当に期間だけで慰謝料を決めていいのでしょうか!?
たとえば6か月間の通院が必要なのは同じだけど、一方は腕1ヶ所だけの骨折で、もう一方は腕と足の2ヶ所を骨折している場合に、同じ慰謝料というのは納得いかないのではないでしょうか。
この点を弁護士さんに聞いてみたところ、怪我の部位や程度から重症と判断できる場合には、通院慰謝料を増額してもらえる場合があるんだそうです。
具体的には、以下の表のAとBのいずれの条件も満たす場合には、一般の相場水準より2~3割程度増額してもらえることがあるようようです。
ある程度交通事故の経験がある弁護士さんでも、通院期間だけを主張して、このような増額理由を明示的に主張してくれない場合があるんだそうです。
明確に主張しなければ、裁判で増額は認めてもらえないので、この辺りをしっかりと聞き取って丁寧に主張してくれる弁護士さんへ依頼することが大切なんだそうです。
<怪我の部位・程度に応じた増額の理由>
A |
●脳・脊髄の損傷 ●多数の箇所にわたる骨折 ●内臓破裂を伴う傷害 ●その他上記に準じる重症の場合 |
B |
●絶対安静を必要とする期間が比較的長く継続した場合 ●症状の回復が思わしくなく重度の後遺障害が残る場合 ●長期にわたって苦痛の大きい状態が継続した場合 ●その他上記に準じる苦痛がある場合 |
先生!交通事故の怪我で、仕事が忙し過ぎてあまり病院に通えない場合どうなりますか?
勤務先に事情を説明して、ある程度しっかり通院しないと、慰謝料が減額されてしまうよ。
げ、減額!!ちゃんと会社に説明して通院しなきゃですね。
通院期間が長くても、たとえば月に1回しか通院していない場合と、月に20回通院している場合とで、慰謝料の金額が同じというのは明らかにおかしいです。
そういう弊害を是正するために、治療日数を慰謝料に反映させるルールがあるそうです。
まず、むちうち症で他覚症状がない場合には、そもそも事故による負傷が原因の痛みなのか、神経症など被害者本人のもともとの素質からくる痛みなのか証明できません。
そのため、むちうち症の場合、実治療日数の3倍の日数を通院期間とみて慰謝料を算定することになるそうです。
その他の怪我の場合でも、通院が長期にわたって不規則な場合や、通院日数が月2回に満たない場合、治療よりも経過観察の意味合いが強い場合には、治療日数の3.5倍を基準に慰謝料を算定するそうです。
保険会社に慰謝料を請求する段階では、既に治療が終わっていることが多いので、治療の仕方がまずいために慰謝料を減額されてもやむを得ない場合が少なくありません。
病院への通院中に、このままの方法・頻度で治療を続けても問題ないかどうかを弁護士に相談した上で対応すれば、後になって適切な金額の慰謝料を回収できる結果につながるでしょうね。
(まとめ表)
通常の怪我の場合 |
原則 |
通院期間により算定 |
例外 |
実治療日数の3.5倍程度により算定 | |
むちうち症で他覚症状のない場合 | 通院期間を限度として、実治療日数の3倍程度により算定 |
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了