交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の被害者に最も多く生じる傷病がむちうちです。
むちうちとは事故の衝撃で首が強くしなり、首を負傷した状態のことを言います。むちうちでは首の痛みや頭痛、手や腕のしびれといった症状が現れることが多く、被害者の方は日常生活で苦痛を感じたり、やむなく仕事を休んだりすることになるでしょう。
骨折や脳挫傷といった傷害より比較的軽いように思えるむちうちでも、治療費や慰謝料などを加害者側に請求することができます。また、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を受けることで後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能です。
この記事では、むちうちの症状や治療期間をまず解説したうえで、むちうちになったときに受け取れるお金、むちうちで後遺障害等級認定を受けるためのポイントを紹介します。交通事故で受けたむちうちに悩まされている方は、ぜひこの記事をご一読ください。
目次
そもそも、むちうちとはどのような症状のことを言い、どのような治療を受けることになるのでしょうか。まずは、むちうちの症状と、治療を受ける際のポイントを解説します。
むちうちとは、交通事故の衝撃で首がむちのようにしなり、首の筋肉や靭帯などを負傷した状態のことを言います。
むちうちで発現する症状は人によってさまざまです。よくある症状としては、首の痛みや違和感、手や腕のしびれなどが挙げられます。
また、むちうちで頭痛や吐き気、めまいなどの自律神経の症状が生じることもあるでしょう。むちうちに伴って生じる自律神経の症状を「バレ・リュー症候群」と言います。
むちうちは交通事故に遭った直後に症状があらわれることもありますが、交通事故から数日経ってから症状が出てくることも珍しくありません。
交通事故に遭ったら、痛みや違和感がなくても病院で診察を受けることが大切です。早めに診察を受けることで、むちうちの症状が悪化したり、後遺症が残ったりするリスクを減らすことができます。
また、あとから説明しますが、事故から時間が経ってから治療をはじめると、加害者側に「治療を受けている症状は事故とは関係ない」と主張されることがあります。そのような主張を基に治療費や慰謝料を支払ってもらえないこともあるので、早めに診察を受け、事故と症状の因果関係を示すことは大切です。
なお、治療はまず病院の整形外科で受けるようにしましょう。整骨院もむちうちの治療を行っていますが、医療機関ではないため、正しい手続きを経なければ治療行為と認められません。
むちうちの治療期間は一般的に1ヵ月~3ヵ月ほどです。
なお、交通事故の状況や被害者の年齢などによって治療期間は変動します。
交通事故の被害にあったときは、多くの場合は加害者側の任意保険会社から通院先に直接治療費を支払ってもらうことになります。
むちうちで治療を受けている場合、加害者側の任意保険会社から、事故から3ヵ月経った頃に治療費の打ち切りを打診されることがあります。
このとき、加害者側の保険会社は、一般的な治療期間を基に形式的に治療費の打ち切りを判断しているかもしれません。「むちうちならば、3ヵ月も治療をすれば治るか症状固定になるだろう」と思っているということです。
症状固定とは?
治療をこれ以上続けても、改善が見込まれない状態と判断されること。
本来、完治や症状固定の判断をするのは主治医です。加害者側の任意保険会社から治療費打ち切りを打診されたら、主治医に治療継続の必要性があるか確認しましょう。治療を続ける必要があるのならば、加害者側の任意保険会社にそのことを伝え、治療費支払いを継続してもらうよう交渉することをおすすめします。
主治医の判断を受けず、途中で治療をやめてしまったら、本来は治るはずだった症状が残ってしまう可能性が否定できません。また、入通院慰謝料の金額は治療期間に応じて決まるので、途中で治療を打ち切ると、最終的に加害者側から受け取れるお金が減ってしまいます。
なお、治療継続の必要性を訴えても治療費が打ち切られてしまった場合は、自費で支払いを続け、あとから治療費の請求をすることも可能です。
交通事故でむちうちになったとき、加害者側に請求できる慰謝料などのお金は下記のとおりです。
ここからは、各費目について順に解説していきます。
治療関係費としては、主に以下の費目が請求できます。
なお、治療関係費として費用を請求できるのは、治療開始から完治または症状固定となるまでの期間です。
入通院慰謝料とは事故で傷害を負ったことで受けた精神的苦痛に対する補償のことです。
入通院慰謝料や、後述する休業損害、後遺障害慰謝料などを算定するときは、算定者によって下記の3つの算定基準が用いられます。
自賠責基準 | 自賠責保険が用いる基準。 被害者に補償される最低限の金額。 |
任意保険基準 | 任意保険会社が用いる基準。 自賠責基準とほぼ同額か、自賠責基準よりやや高額な程度。 |
弁護士基準 | 弁護士や裁判所が用いる基準。 過去の判例を基にした金額であり、法的にも適正な金額。 3つの基準の中で最も高額。 |
基準ごとに、入通院慰謝料の相場をそれぞれ確認していきましょう。
自賠責基準では、入通院慰謝料は「日額×対象の日数」で計算します。日額と対象の日数は以下のように定められています。
※民法改正のため、2020年3月31日以前と2020年4月1日以降で金額が異なる。
任意保険基準は各任意保険会社が定めており、基本的に公開されていません。
ここでは、以前各社が統一して用いていた旧任意保険基準の算定表をご紹介します。入院した月数と通院した月数の交差するマスに記載されている額が、任意保険基準で算定した入通院慰謝料の相場です。
弁護士基準でも、旧任意保険基準と同じような算定表を用いて入通院慰謝料を計算します。なお、弁護士基準には「重傷用」と「軽傷用」の2つの算定表がありますが、むちうちの場合は軽傷用を用います。
休業損害とは、事故の影響で仕事を休んだため失った収入のことです。なお、実際には収入を得ていない主婦や失業者の方も、休業損害を請求することが可能です。
休業損害は「基礎日額×休業日数」で計算します。基礎日額は算定基準によって異なるので、順に確認していきましょう。
自賠責基準では、基礎日額として下記の金額を用います。任意保険基準でも同じような金額となる場合が多いです。
※民法改正のため、2020年3月31日以前と2020年4月1日以降で金額が異なる。
弁護士基準では、基礎日額は被害者の事故前3ヵ月の収入を基に算定します。
なお、主婦や失業者の方は、厚生労働省が発表している統計に基づく「賃金センサス」に記載された平均賃金を参照して基礎日額とすることが多いです。
職業別の休業損害の算定方法は、詳しくは『交通事故の休業損害はいくらもらえる?計算方法や事例を紹介』の記事で紹介しています。
後遺障害慰謝料とは、事故で後遺障害が残ったことで将来にわたって受け続ける精神的苦痛の補償のことです。後遺障害慰謝料は、後述する後遺障害等級認定を受けることで請求できます。
後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。ここでは、むちうちで認定されることの多い後遺障害等級12級と14級の後遺障害慰謝料の相場を紹介しましょう。なお、任意保険基準は自賠責基準と同じような金額になることが多いので、ここでは割愛します。
後遺障害等級 | 自賠責基準※ | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級 | 94(93) | 290 |
14級 | 32(32) | 110 |
単位:万円
※()は2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合
逸失利益とは、後遺障害の影響で労働能力が低下したため失った将来的な収入のことです。逸失利益も、後遺障害慰謝料と同様に、後遺障害等級認定を受けることで請求できます。
逸失利益は「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で算定されます。基礎収入は事故の前年の収入を参照し、また、労働能力喪失率は認定された後遺障害の等級に応じて決まります。
ここで注意が必要なのが、労働能力喪失期間です。多くの後遺障害では、労働能力喪失期間は原則的に症状固定から67歳までとされています。しかし、むちうちのような神経症状の場合、労働能力喪失期間は一定期間に限定されます。これは、67歳まで痛みやしびれによる労働能力の喪失が続くとは考えづらいためです。
具体的には、後遺障害等級12級に認定された場合は5年~10年程度、14級に認定された場合は5年以下がむちうちに伴う労働喪失期間とされることが多いです。
交通事故で後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級の認定を目指すことになります。先述のとおり、後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになるためです。
後遺障害等級認定とは?
症状固定となったあとも残っている後遺症を、自賠責保険の後遺障害等級に認定すること。後遺障害等級は第1級から第14級まであり、後遺症の部位や程度によってどの等級に認定されるかが決まる。
では、むちうちで痛みやしびれなどの後遺症が残ってしまった場合でも、後遺障害等級の認定は可能なのでしょうか。ここからは、むちうちで後遺障害等級の認定を受けることが可能か解説していきます。
結論から言えば、むちうちでは後遺障害等級12級か14級の認定を目指せます。12級と14級の認定基準は以下のとおりです。
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級と14級の認定基準の違いとして、具体的には以下の項目が挙げられます。
14級に認定される基準
12級に認定される基準
後遺障害等級認定の審査は、原則的に書面審査で行われます。
むちうちは自覚症状が中心であり、他覚的に症状を認めることが難しい場合が多いです。よって、他の後遺障害に比べると、被害者が満足できる後遺障害等級に認められない可能性が高くなります。そこで、むちうちで後遺障害等級認定を受けるためのポイントをご紹介します。
事故直後から定期的に通院することで、ずっと痛みやしびれなどの症状が続いていることが審査機関に伝わりやすくなります。
たとえば、途中で1ヵ月ほどの空白期間が空いていれば、「その間は症状がなかったのだろう」と判断されてしまいかねません。「実際には痛みを感じていたけれど、仕事が忙しくて通院できなかった」といった事情があったとしても、書面審査では審査機関に伝わりにくいのです。
また、病院で診察を受けず、整骨院の施術だけを続けていた場合も、同様に通院実績に乏しいと判断される場合があります。
適切な後遺障害等級認定を受けるために、忙しくても定期的に病院に通うようにしましょう。
むちうちで後遺障害等級認定を受けるためには、症状が一貫して継続していることを証明する必要があります。
診察を受けるときは、自覚している痛みやしびれなどの症状や程度を医師にすべて伝え、カルテに記録してもらうようにしましょう。実際に症状が治っているのならばよいのですが、安易に「今日は調子がいいかも」といったような伝え方をすると、症状が継続していることが記録に残らない可能性があります。そうなると、審査機関に「症状が一貫していない」と判断されてしまいかねません。
また、必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像診断や、ジャクソンテストやスパークリングテストといった神経学的検査を受けるようにしましょう。検査結果は症状があることが客観的にわかる重要な資料です。
後遺障害等級認定は原則的に書面審査で行われますので、書類に適切な記載をしてもらうことは非常に大切です。
後遺障害等級認定の審査を受けるには、主治医が作成する「後遺障害診断書」が必要になります。後遺障害診断書に記載する内容は最終的には医師の判断にはなりますが、症状が一貫して続いていることや、事故と後遺障害に関連性があることを記載してもらえれば、後遺障害等級に認定される可能性は高まるでしょう。
逆に、「改善する可能性がある」といった記述がされていれば、審査機関に後遺障害となる可能性が低いと判断され、後遺障害等級認定が受けられない可能性が生じます。
医師は医療のプロではありますが、後遺障害診断書などの文書を作成するプロではありません。具体的にどのような記述があるとよいか知りたいときは、弁護士に相談するとよいでしょう。
交通事故でむちうちの被害に遭ったときは、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
むちうちで後遺症が残る可能性を考えると、後遺障害等級認定に向けてどのような準備が必要か、あらかじめ知ったうえで行動することが望ましいです。
弁護士に相談すれば、後遺障害等級認定に向けてどのような検査を受けたらよいか、後遺障害診断書にどのような書き方をしてもらえばよいか、適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。
また、後遺障害等級認定の有無にかかわらず、弁護士が加害者側と示談交渉を行うことで、慰謝料などの示談金の増額を目指すことができます。
大抵の場合、加害者側の任意保険会社は任意保険基準で算定した慰謝料を提示してきます。これに対し、弁護士が弁護士基準で算定した金額を主張すれば、提示された額よりも多い金額を受け取れる可能性があるのです。
「むちうちの慰謝料は比較的少ないし、弁護士に依頼して費用倒れになるのが心配」という方は、契約している任意保険の弁護士費用特約を活用しましょう。弁護士費用特約を活用すれば、任意保険会社が弁護士費用の全額または一部の金額を負担してくれます。
弁護士費用特約が使えない方も、各法律事務所の無料法律相談を使えば、無料で弁護士からアドバイスを受けることが可能です。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方からの法律相談に無料で対応しています。
アトム法律事務所は交通事故の解決実績が豊富であり、むちうちの被害に遭った方からのご相談にも数多く対応してきました。慰謝料の増額実績も多数ありますので、詳しくは『解決実績』のページをご覧ください。
相談は電話、メール、LINEの3つの方法で実施していますので、時間がない方やケガの影響で外出が難しい方も気軽に利用していただけます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了