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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
示談交渉で合意した内容を記した示談書は、きちんと示談金を支払ってもらうために非常に重要なものです。
しかし、記載内容が間違っていたり、盛り込むべき項目を漏らしたりしたまま署名・捺印をしてしまうと、あとからトラブルになりかねません。正しい内容で示談書を作成し、署名・捺印するまで気が抜けないのです。
この記事では、示談書を作るにあたって必要な情報について解説しています。示談成立後のトラブルまで見越してリスクヘッジをする方法や示談書の文例も紹介しているので、確認していきましょう。
目次
まずは、知っているようで実は知らない示談書の役割や作成者、作成までの流れについて確認していきましょう。
示談書は示談交渉でまとまった内容を記載したもので、その役割と効果は以下の通りです。
役割 | 示談書の記載内容で被害者と加害者双方が合意したことを証明する |
効果 | 一度示談書に署名・捺印すると、原則として内容の撤回・再交渉はできない |
示談が成立したあとに示談書を書かずにいると、あとから合意内容についてもめる可能性があります。それを防ぐために、示談書を作成するのです。
ただし、示談書には強力な法的拘束力はありません。示談書に記載された示談金を加害者側が支払わなかったからと言って、直ちに法的な処置をとれるとは限らないのです。
とくに、加害者が任意保険に入っておらず、加害者本人から示談金が支払われる場合には、踏み倒される可能性があるので注意しましょう。
示談交渉で合意した内容に法的拘束力を持たせたい場合は、示談書を公正証書にしたり、連帯保証人を立てたりすることがおすすめです。詳しくは『示談書に関する疑問にお答え』の章で解説しています。
示談書は、加害者が任意保険に加入していれば加害者側の任意保険会社が作成します。
加害者が任意保険に入っていない場合は、基本的には加害者が示談書を作成しますが、被害者が作ることも可能です。加害者が作成してくれると思って何も言わないと、示談書が送られてこないまま時間が経ってしまう可能性があるので、必ずどちらが作成するか明確にしておきましょう。
示談書の記載内容はこのあと紹介しますが、被害者側で示談書を作成することになって不安な場合は、弁護士に依頼もできます。
示談書作成までの流れは以下の通りです。
※示談交渉の流れについては『交通事故の示談交渉で知るべき点と相場の示談金を得る方法を徹底解説』で解説しています。
つまり、示談書は示談が成立したあとに作成するのです。
示談交渉を開始するときに加害者側から示談金や過失割合を記載した書面が届くことがありますが、これはあくまでも加害者側からの提示内容を示したものなので、確定ではありません。
「まだ交渉もしていないのに示談書が届いた!」ということではないのでご注意ください。
なお、示談交渉は基本的に電話やFAXで行われるので、示談書は郵便にてやりとりすることになります。
ここからは、示談書に記載する内容やテンプレートを見ていきましょう。
加害者側が示談書を作成する場合でも、署名・捺印前によく確認しておくと役に立ちます。
示談書の書式に特に決まりはありません。必要な項目さえ入っていれば、手書きでもワープロでも良いですが、署名欄は手書きにしましょう。
示談書は被害者側の控用に2枚作られることもあります。また、人身に関する示談交渉と物損に関する示談交渉が別々に行われた場合には、それぞれで示談書が作られます。
上でも説明したように、示談書には決まったテンプレートはありません。しかし、どんな形であれ、記載すべき内容は同じです。
示談書を作成する場合や示談書が送られてきた場合は、以下の項目が入っているか確認しましょう。
上記の項目は、示談書がどの交通事故に対するものなのかを特定するために必要なので、漏らさず記載しましょう。
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
事故の発生日時や発生場所は、「交通事故証明書」の内容に従います。
交通事故証明書はお近くの「自動車安全運転センター」で発行が可能です。
事故の概要では、どのようにして交通事故が発生したのかを書きます。
交通事故の被害者と加害者については、氏名だけではなく住所まで記載します。車両を運転していた場合には、車両登録番号の記載も必要です。
示談書内では事故当事者を甲・乙とするので、どちらが甲でどちらが乙に当たるのかがわかるような書き方をしてください。
示談交渉で決まった示談金の金額や内訳、過失割合、支払い方法、支払い期限について書きます。すでに支払われた金銭がある場合は既払い金額と未払い金額を明記することも大切です。
なお、支払い方法は一般的には一括とされますが、資力のない加害者本人から支払いを受ける場合には、分割になることもあります。
示談金の振り込み期限は、示談成立から30日程度とされることが多いです。
延滞金は示談金が期日までに支払われれなかった場合に追加で支払ってもらう金銭のことで、とくに加害者が任意保険に入っておらず、示談金を踏み倒されるリスクがある場合に有効です。
示談書を作る時点で延滞金について話し合っていなかったという場合には、署名・捺印前に話し合って示談書に盛り込んでおくと安心できます。
留保条項とは、今後新たな損害が発覚したら改めて損害額の請求を行うことを記した事項です。
一度示談書に署名・捺印をしたら原則として再交渉はできないのですが、事情によっては可能な場合もあります。ただし、しかるべき事情があっても加害者側が交渉に応じてくれないことはあります。
しかし、留保条項を示談書に盛り込んでおけば、比較的スムーズに交渉に応じてもらえる可能性が高まるのです。リスクヘッジのためにも記載しておくことをおすすめします。
清算条項では、お互いにこれ以上の損害賠償金は請求しないことを約束します。
交通事故では加害者が被害者に損害賠償請求することもあるので、清算条項を記載しておくことは、被害者にとっても重要です。
では、示談書のテンプレを紹介していきます。加害者側にに保険会社が示談書を作る場合は、保険会社が持つ雛形を使うことがほとんどです。
被害者自身で示談書を作る場合には、以下のテンプレを参考にしてみてください。
テンプレ(1)
上記のテンプレートは、以下からダウンロードもできます。
テンプレ(2)
示談書
住所 —県—市—町1-2 -3
氏名 === ===(甲)
車両登録番号 〇〇〇〇〇〇〇
住所 —県—市—町4-5 -6
氏名 □□□ □□□(乙)
一、事故発生日時
令和2年11月18日10時10分頃
二、事故発生場所
—県—市—町7-8-9路上の横断歩道
三、事故発生状況
上記日時場所において、甲運転の加害車両が、横断歩道を渡っていた乙に接触し、乙に傷害を与えたもの。
四、示談条項
1.甲は乙に対し、すでに支払い済みの治療費〇〇円のほか、未払いである休業損害・入通院慰謝料・通院交通費○○円、合計○○円を令和〇年〇月〇日限り、乙指定の銀行口座に一括で送金する。
2.甲が前項の損害賠償金の支払いを怠ったときは、甲は乙に対し、違約金として○○円を、上記損害賠償金に加えて支払う。
3.今後乙に本件事故と相当な因果関係を認められる傷害が発生した場合は、それに関する損害賠償金について別途協議する。
4.甲乙間には、本件事故については、上記項目の他には一切の債権債務がないことを確認する。
示談成立日 令和〇年〇月〇日
甲 === === 印
乙 □□□ □□□ 印
書類の頭に、「示談書」ではなく「免責証書」と書かれていることがあります。
示談書は加害者と被害者双方の署名・捺印が必要であるのに対し、免責証書は被害者の署名・捺印のみで良いという違いがありますが、役割・効果については同じです。
どちらでないといけないということはありませんが、免責証書が送られてきて、加害者側の署名や押印がないのは不安だと感じるのであれば、その旨を相手方に伝えてみましょう。
加害者側との示談交渉を締めくくる示談書作成。原則として一度サインしてしまうと後戻りはできないことから、疑問はすべて解決しておきたいものです。
そこでここからは、示談書に関するよくある疑問にお答えします。
すでに説明したように、示談書に一度署名・捺印してしまうと内容の撤回・変更はできません。しかし、以下の場合は例外です。
ただし、上記のような事情があっても、加害者側は再交渉を拒む可能性があります。示談書の内容を撤回し、改めて交渉し直したい場合には、弁護士を通すことをおすすめします。
すでに紹介したように、示談書には示談で合意した内容を証明する役割はありますが、強力な法的拘束力はありません。
しかし、それでは合意した示談金がきちんと支払われるのか、もし支払われなかった場合にどうすればいいのか不安でしょう。
示談で合意した内容に対してよりしっかりとした拘束力を持たせたい場合は、示談書を公正証書にする・連帯保証人を立てるという手段をとってください。
公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
示談書を公文書にしておけば、示談金が支払われなかった場合に加害者の預金や給与、不動産などから未払いの金額を強制的に回収することができます。
通常、上記のような対応をとるためには裁判を起こす必要があるので、時間も費用もかかり、迅速に対応できません。しかし、あらかじめ示談書を公正証書にしておけば、加害者側が示談金を踏み倒した場合に迅速に対応ができます。
ただし、公正証書は加害者側の同意もないと作成できない点には注意してください。
注意点
きちんと示談金を支払うつもりがある加害者なら、公正証書を作成することに反対する理由はないはずです。そのため、もし公正証書に同意してもらえなかった場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
公正証書を作成する手続き
公正証書は以下の手順でつくれます。
公正証書には、必ず「示談書の内容を踏み倒した場合には強制執行されることに同意する」旨を記した「執行認諾文言」をつけてもらいましょう。
加害者側に連帯保証人を立てると、加害者から示談金が支払われなかった場合に、代わりに保証人に対して損害賠償請求ができます。
連帯保証人は、加害者の親族がなることが多いです。ただし、連帯保証人も口約束だけでは心もとないので、必ず書面という形で証明できるようにしておきましょう。
加害者側が示談書を作成することになっているのに、なかなか届かない場合は、遠慮なく加害者側に問い合わせをして大丈夫です。
何かのトラブルで発送したのに届いていない可能性もあるので、必ず相手方に問い合わせてみましょう。
とくに、損害賠償請求権の消滅時効が迫っているのに示談書が届かないという場合は、早急に確認を取りましょう。時効が過ぎてしまうと、加害者側への損害賠償請求ができなくなってしまいます。
交通事故 | 時効 |
---|---|
物損事故 | 事故翌日から3年 |
人身事故 (後遺障害なし) | 事故翌日から5年 |
人身事故 (後遺障害あり) | 症状固定から5年 |
死亡事故 | 死亡翌日から5年 |
ここまで、交通事故の示談書について解説してきました。たとえ示談成立まで弁護士なしで進んでこれたとしても、示談書の段階で弁護士が必要になることもあるので解説していきます。
そんな場合は、弁護士に示談書の内容をチェックしてもらいましょう。
示談が成立しても、まだ示談書に署名・捺印をしていなければ、示談書の内容を訂正したり、新たな文言を加えたりすることは可能です。
場合によっては示談金額について改めて交渉し、より高額な金額を得られる可能性もあります。
示談書に署名・捺印をしてしまうと、たとえ妥当な理由があっても、示談書の訂正や再交渉が100%できるとは言い切れません。
少しでも不安な点があるなら、専門家であり示談成立後のトラブルについても詳しい弁護士に相談してみてください。アトム法律事務所なら、無料で相談可能です。
上記のような場合も、弁護士にご相談ください。
この記事で紹介したように、事情によっては示談書にサインした後でも合意した内容の撤回や再交渉が可能な場合があります。
しかし、弁護士を立てていないと再交渉自体してもらえなかったり、再交渉してもまた納得いかない結果に終わってしまったりする可能性が非常に高いです。
示談書へサインしたあとの再交渉は例外的なケースであり、加害者側からすれば決して歓迎できることではないので、必ず専門家である弁護士を挟むようにしてください。
そもそも示談交渉がまとまらず、示談書作成まで至れずにいる場合は、速やかに弁護士にご相談ください。
とくに交渉相手が加害者側の任意保険会社である場合、相手はプロなのでテクニックも手札もたくさん持っています。現在被害者側の主張を聞き入れてもらえず行き詰っているのなら、そこから巻き返しを図るのは難しいと言わざるをえません。
専門知識と資格を持つ弁護士が入ることで、被害者側の主張が通りやすくなることは決して珍しくないので、お困りの場合は弁護士に頼ることも検討してみてください。弁護士費用についてはこの後解説します。
ここまで、記事内の各所で示談書作成後のトラブルを防ぐポイントについても触れてきましたが、ここで一度まとめておきます。
示談書に署名・捺印したあとにトラブルが発生することを防ぐには、次のことが大切です。
上記の点をクリアすれば、加害者側から示談金を踏み倒されるリスクや新たな損害が発覚した場合に交渉に応じてもらえないリスクを軽減させられます。
また、署名・捺印前に弁護士に示談書をチェックしてもらったり、今後起こりうるトラブルはあるか確認してもらったりするとより安心です。
アトム法律事務所では、無料で電話・LINE相談を受け付けています。示談書に関して少しでも不安がある場合は、お気軽にご連絡ください。
上記のような不安がある方も大丈夫です。
どんな小さなご相談でも解消してから示談書に署名・捺印をするべきなので、気兼ねなく頼ってください。相談の際に契約を迫ることもありません。
相談のあと、委任契約となった場合には着手金が無料です。通常、弁護士と委任契約を結ぶと最初に着手金として20万円程度を支払わなければなりません。
しかし、アトムならその必要がないのでご依頼者様の負担を大きく軽減できます。
※電話相談は、最初に専任のオペレーターが対応します。その後、弁護士から折り返し電話がかかるので、突然弁護士と話すのは不安という方もご安心ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了