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後遺障害慰謝料が労災からもらえなくても業務中の交通事故なら労災を使う

「労災保険を利用したら会社が嫌がりそうでできない」
「労災の申請手続きがよくわからない」

通勤中や業務中の交通事故は労災にあたるので、労災申請することで労災保険から補償を受けることができると同時に、事故の相手方に対しても損害賠償請求することができます。

労災と後遺障害の関係について、交通事故の観点から詳しく見ていきたいと思います。

後遺障害慰謝料は労災保険からもらえない?

慰謝料は事故の相手方に請求する

交通事故で被害を受けたら事故の相手方に損害賠償として示談金を請求することができます。交通事故の慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類あるのですが、これら慰謝料は損害賠償の一部なので、事故の相手方本人に請求するのが基本的な考え方です。

ただし、通常は事故の相手方が保険に加入しているケースが多いので、自賠責保険や任意保険会社に対して慰謝料を含む損害賠償をすべて請求していく流れとなるでしょう。

一方、交通事故の被害が同時に労災になる場合、損害賠償のうち慰謝料に関しては労災保険に対して請求することができません。法律で定められた労災保険の内容に、慰謝料が含まれていないためです。

労災(労働災害)とは

労災とは労働者が業務に関連する怪我や病気にかかったり、さらにその怪我や病気によって何らかの障害が残ったり、死亡することをいいます。

労災にあった場合、必要な保険給付を行い、あわせて労働者の社会復帰を促進する制度として「労災保険」がその役割を担っています。そのため、精神的苦痛を和らげる目的で支払われる慰謝料は、労災の補償対象に含まれていません

労災保険から慰謝料は支給されないので、事故の相手方本人、あるいは、事故の相手方が加入する保険会社に対して示談交渉等を通して慰謝料の請求をおこなう必要があります。(ちなみに、労災の原因が雇用主や他の従業員にあった場合、後遺障害慰謝料を会社に請求できる場合があります。)

労災保険が適応される交通事故の場合、自賠責保険や事故の相手方が加入する任意保険会社だけでなく、労災申請を同時に行うことで労災保険からも慰謝料以外の補償が受けられることになります。

労災保険が使えるのに事故の相手方にしか損害賠償をしないと、労災と併用した場合と比べてもらえる金額に開きが出てくることになります。労災の補償内容をしっかりとおさえておくことで、充実した補償を得られることになるでしょう。

もっとも、労災保険が使えるかは、事故が労災であると認められる必要があります。続いては、どのような交通事故が労災に該当するのか確認していきましょう。

通勤・業務中の交通事故なら労災保険が使える

労災の交通事故は「通勤災害」と「業務災害」の2種類があげられます。

たとえば、通勤経路で従業員が交通事故被害にあったなら通勤災害として労災補償の対象になり、トラック運転手やタクシー運転手が業務中に交通事故被害にあったなら業務災害として労災補償の対象になります。

通勤災害の交通事故

内容通勤途中での事故
具体例通勤経路の途中であった交通事故

業務災害の交通事故

内容事業場内での作業中の事故
事業場内での休憩時間中、始業前・始業後の事故
事業場外での業務中や出張中の事故
具体例トラック運転手が運転中に起こした交通事故
外回りの営業社員が客先に向かう途中に起こした交通事故

交通事故の被害が労災に該当する場合、自賠責保険や加害者が加入する任意保険会社だけでなく、労災保険からも補償が受けられることになります。

もっとも、労災保険が使えるかは、労災に該当する通勤・業務であることが大前提です。通勤や業務ではないと判断されると労災の使用が認められない可能性があるので、労災に該当しないケースを確認しておきましょう。

通勤災害に該当しないケース

  1. 合理的な経路および道理的な方法で通勤しなかった
  2. 移動の経路を逸脱、または中断した

もう少し具体的にいうと、帰宅途中に買い物をするためスーパーに行った等の寄り道したような場合があげられます。以上のようなケースであった場合、通勤災害として認められず、労災が使用できない可能性があります。

業務災害に該当しないケース

  1. 休憩時間に交通事故が発生した
  2. 業務時間内に私用を行っていたり、業務を逸脱する恣意的行為をしている最中に交通事故が発生した
  3. 労働者が故意に交通事故を発生させた
  4. 労働者が個人的な恨みを持たれていたことが原因で第三者から故意に交通事故を起こされた
  5. 地震・台風等、天変地変によって被災した

以上のようなケースであった場合、労働災害として認められず、労災が使用できない可能性があります。交通事故と業務の因果関係が認められるかどうかがポイントになります。

労災から支払われる慰謝料以外の補償

先述した通り、労災保険から慰謝料は支払われません。では、どのような項目が労災の補償対象となるのでしょうか。労災保険から支払われる内容を見ていきたいと思います。

労災保険の補償(給付)

  • 療養補償給付(療養給付)
  • 休業補償給付(休業給付)
  • 傷病補償年金(傷病年金)
  • 障害補償給付(障害給付)
  • 介護保障給付(介護給付)
  • 遺族補償給付(遺族給付)
  • 葬祭料(葬祭給付)

※(  )は通勤災害の給付名称

労災保険では以上のような補償(給付)を受け取ることができます。ただし、すでに労災保険から保険金を受け取った場合、補償内容や補償対象が同じ項目に関して、自賠責保険や任意保険に請求して二重取りすることはできません

もっとも、後ほど説明しますが、自賠責保険や任意保険と二重取りにならない労災保険からもらえる特別支給金というものもあるので、労災の交通事故では労災保険を併用した方がよいといえます。

交通事故なら会社に気を遣わず労災を使う

労災事故では「会社が嫌がりそうなので労災申請しにくい」というお悩みがあるようですが、交通事故であれば会社に気を遣わず労災申請することができるでしょう。

なぜなら、交通事故は通常、事故を起こした原因が労災保険関係の当事者以外の者になるからです。このような労災保険関係者の当事者以外が起こした事故は、労災保険上「第三者行為災害」として取り扱われており、労災を使ったからといって会社が支払う保険料が値上がりしたり、会社の責任が問われたりする等、会社に何らかの不利益が生じることはありません

会社が労災申請に消極的なケースは第三者行為災害ではなく、会社に安全配慮義務が問われるような事故でしょう。

とはいえ、そもそも労災を利用するかどうかは労働者の権利として認められています。会社が労災申請に積極的になってくれない場合は、労働基準監督署に相談してみることをおすすめします。

ポイント

交通事故で受けた損害としてもらえる慰謝料は、労災保険からは支払われません。慰謝料は、事故の相手方あるいは事故の相手方か加入する保険会社に対して請求します。交通事故で労災保険が使えるかどうかは、労災事故に該当することが前提です。損害賠償請求と労災を併用することで、二重取りできない範囲でお金を得ることができます。

後遺障害慰謝料の相場はどのくらい?

後遺障害慰謝料の適正相場

後遺障害が残った場合、労災保険から後遺障害慰謝料は支払われませんが、後遺障害が残る原因となった者に対して後遺障害慰謝料を請求することができます。後遺障害慰謝料を請求する際、交通事故の被害者が得られる最も適正な金額の慰謝料相場というものがあるので確認しておきましょう。

後遺障害慰謝料の相場

等級 弁護士基準
1級2,800
2級2,370
3級1,990
4級1,670
5級1,400
6級1,180
7級1,000
8級830
9級690
10級550
11級420
12級290
13級180
14級110

交通事故の被害者が得られる最も適正な金額の慰謝料相場を算出できるのは「弁護士基準」です。ここで紹介した弁護士基準による慰謝料相場よりも低い金額が相手方から提示されている場合は、増額の可能性があります。

後遺障害慰謝料が相場より増額することもある

後遺障害が残った場合の慰謝料相場は、過去に行われた裁判の判例に基づいて設定されています。しかし、事案によってはこのような相場から慰謝料が増額する場合もあります。
どのような事案で慰謝料が増額されるのか簡単に見ていきましょう。

  • 事故後に暴言を吐かれる等、被害者の精神的苦痛が大きい事案
  • 事故後に被害者の親族が精神疾患になる等、被害者に特別な事情がある事案

この他にも、将来的に手術をくり返さなければならないといった事情も慰謝料の増額事由として扱われることがあり、個別の事案に応じて一定の相場よりも慰謝料が増額することがわかります。

ポイント

後遺障害に認定されるともらえる後遺障害慰謝料は、労災保険からは支払われませんが、事故の相手方に対して請求することができます。慰謝料の相場として最も適正で妥当な金額になるのは弁護士基準を用いた場合です。もっとも、このような相場は事故の個別の状況に応じて増額する可能性があります。

通勤・業務中の交通事故で労災保険を使うメリットは?

労災における交通事故で労災保険を使うメリットがいくつかあります。事故の相手方に対する損害賠償請求とあわせて労災を利用することで手厚い補償が受けられます。

最終的な受取額を大きくできる

労災の交通事故では、事故の相手方である第三者に対して損害賠償を請求することができるのと同時に、労災保険に対しても給付金を請求することができます。事故の相手方と労災保険の両者から損害の補てんを受けると実際の損害額より多く手にすることになってしまうので、どちらか一方から損害の補てんを受けた場合、支払調整が行われます。

ただし、労災保険から支払われる特別支給金は保険給付ではなく社会復帰の促進を目的としていることから支払調整の対象とはなりません。特別支給金は損害賠償とあわせて手にすることができるので、最終的な受取額を大きくすることができます。

自賠責と重複しない範囲で併用すると良い

労災保険における補償給付の種類は大きく分けて3種類あります。

  1. 治療費に対応する療養補償
  2. 休業損害に対応する休業補償
  3. 後遺障害に対応する障害補償

これら補償給付を労災保険金として被害者が受け取った場合、交通事故の損害賠償額から控除されるのが原則です。労災保険金で交通事故の損害が補てんされたのであれば、その部分は自賠責保険や相手方の任意保険から二重でもらうことができません。

しかし、給付金に「特別支給金」という名称がついている場合、損害賠償額の控除から対象外となります。

名称損害賠償額からの控除
療養補償療養補償給付金:あり
休業補償休業補償給付金:あり
休業特別支給金なし
障害補償障害補償一時金:あり
障害特別支給金なし

つまり、事故の相手方の保険と労災を併用することで重複しない範囲でさらなる補償が得られるということです。

後遺障害7級以上なら別途、年金がもらえる

後遺障害に対応する障害補償として、後遺障害等級が7級以上に認定されると別途「障害特別年金」をもらうことができます。後遺障害等級が8級~14級の場合は等級に応じて決められた金額を一回きりで受け取ることができる一方、後遺障害等級が1級~7級の場合は等級に応じた金額を年金形式で受け取ることができます。

労災によって被害者が亡くなられた場合の死亡事故では、遺族に対して「遺族補償年金」が支払われます。

自賠責保険から支払われるお金は一度もらうとそれで終わりですが、労災保険からの年金は被害者が死亡するまで支給されます。したがって、事故の相手方に対する損害賠償と併せて労災保険の年金を受け取ることができれば、充実した補償が受けられることになるでしょう。

前払い一時金で早くお金を手にできる

障害補償の年金を受け取る場合、被害者が希望すれば前払い一時金という制度の利用が可能です。年金は決まった額が毎月支払われるものですが、前払い一時金制度を利用することでまとまったお金が手に入ります。

前払い一時金を受け取ると前払い一時金の全額に達するまで年金給付が停止されますが、あらかじめまとまった額を手元に置いておきたい方にとっては便利な制度です。

面談で後遺障害の審査が受けられる

自賠責による後遺障害の認定審査は原則として書面審査となりますが、労災による後遺障害の認定審査は地方労災医員という医師が被害者と面談を行います。

書類審査だけでは伝わりづらい症状であっても面談を通せば症状を把握しやすくなるので、自賠責による後遺障害の認定審査よりも、労災の認定審査の方が高い等級になりやすい傾向があるといえます。

ポイント

労災の交通事故では、事故の相手方に対する損害賠償請求と労災保険を併用することで、最終的な受取額を大きくできるほか、前払い一時金で早くお金が手にできたり、後遺障害の認定に有利になったりするメリットがあります。

後遺障害等級の認定では労災が深く関係する?

後遺障害認定は労災認定基準に依拠する

交通事故の後遺障害と労災は一見、関係がなさそうに見えますが、密接に関係しているところがあります。

交通事故の被害者に最低限の補償を与える自賠責保険では、後遺障害の等級認定を第三者機関が行っています。第三者機関が出した認定結果に基づいて、自賠責保険から保険金が支払われるのです。この自賠責保険で後遺障害の等級認定を行う第三者機関は、労災認定基準に準じて後遺障害の等級認定を行っています。

また、交通事故の裁判では、労災認定基準や自賠責保険における等級認定の結果が裁判官を拘束することはありませんが、実際には労災認定基準を無視して後遺障害を判断するわけではありません。ある程度、基準に依拠した判断をするために、裁判でも労災認定基準は事実上、大きな影響を与えています。

したがって、労災でも交通事故でも、後遺障害の判断や慰謝料の金額はいずれも同程度の水準になっています。

労災保険厚生労働省の労災認定基準に基づいて後遺障害等級を認定
自賠責保険労災認定基準に準じて後遺障害等級を認定
裁判労災認定基準に拘束されないが、労災認定基準が裁判での後遺障害等級の判断に与える影響は事実上大きい

後遺障害の認定基準

後遺障害として認定されるには、等級に応じて設けられた基準を満たす必要があります。後遺障害の認定範囲について確認していきましょう。

厚生労働省|労災の障害等級表

等級身体障害
1級両眼が失明したもの
そしやく及び言語の機能を廃したもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
両上肢をひじ関節以上で失つたもの
両上肢の用を全廃したもの
両下肢をひざ関節以上で失つたもの
両下肢の用を全廃したもの
2級一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
両上肢を手関節以上で失つたもの
両下肢を足関節以上で失つたもの
3級一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
そしやく又は言語の機能を廃したもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
両手の手指の全部を失つたもの
4級両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
両耳の聴力を全く失つたもの
一上肢をひじ関節以上で失つたもの
一下肢をひざ関節以上で失つたもの
両手の手指の全部の用を廃したもの
両足をリスフラン関節以上で失つたもの
5級一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
一上肢を手関節以上で失つたもの
一下肢を足関節以上で失つたもの
一上肢の用を全廃したもの
一下肢の用を全廃したもの
両足の足指の全部を失つたもの
6級両眼の視力が〇・一以下になつたもの
そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの
7級一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失つたもの
一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
一足をリスフラン関節以上で失つたもの
一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
両足の足指の全部の用を廃したもの
外貌に著しい醜状を残すもの
両側のこう丸を失つたもの
8級一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
せき柱に運動障害を残すもの
一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失つたもの
一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの
一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
一上肢に偽関節を残すもの
一下肢に偽関節を残すもの
一足の足指の全部を失つたもの
9級両眼の視力が〇・六以下になつたもの
一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
そしやく及び言語の機能に障害を残すもの
両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
一耳の聴力を全く失つたもの
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
一手の母指又は母指以外の二の手指を失つたもの
一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの
一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
一足の足指の全部の用を廃したもの
外貌に相当程度の醜状を残すもの
生殖器に著しい障害を残すもの
10級一眼の視力が〇・一以下になつたもの
正面視で複視を残すもの
そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの
一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11級両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
十歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
せき柱に変形を残すもの
一手の示指、中指又は環指を失つたもの
一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
12級一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
一耳の耳かくの大部分を欠損したもの
鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
長管骨に変形を残すもの
一手の小指を失つたもの
一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
局部にがん固な神経症状を残すもの
外貌に醜状を残すもの
13級一眼の視力が〇・六以下になつたもの
一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
正面視以外で複視を残すもの
両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
五歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
一手の小指の用を廃したもの
一手の母指の指骨の一部を失つたもの
一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
14級一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
局部に神経症状を残すもの

※出典:厚生労働省「労働者災害補償保険法施行規則 別表第一 障害等級表」

労災の後遺障害等級の認定は、労働基準監督署長によって行われます。

ポイント

後遺障害の認定が自賠責保険を通して行われる場合も、労災保険で行われる場合も、どちらも労災認定基準に依拠した判断が行われます。裁判によって後遺障害の有無が検討される場合も、労災基準が与える影響は大きくなっています。

労災で後遺障害等級の申請手続きを行うには?

労災保険と自賠責保険は同じような基準で後遺障害認定が行われますが、後遺障害の申請手続きや認定方法はそれぞれ異なります。労災保険における後遺障害等級の申請手続きについてみてきましょう。

労災の申請手続きの流れ

労災の申請手続きの大まかな流れは次の通りです。

  1. 医師による症状固定の診断
  2. 請求書を所轄の労働基準監督署に提出
  3. 労働基準監督署の審査・面談
  4. 審査結果の通知と障害等級に応じた給付

流れに沿って、労災の後遺障害申請で注意したいポイントもあわせてみていきましょう。

(1)医師による症状固定の診断

交通事故で負傷して治療を続けても、これ以上良くも悪くもならず、治療の効果が認められない状態になった時点を「症状固定」といいます。症状固定の判断は医師によって行われます

症状固定の時期は、怪我の程度に応じてさまざまです。たとえば、むちうち等の軽傷ケースなら事故から3~6ヶ月程度で症状固定になることが多いですが、重傷ケースなら事故から1~2年程度、長いと数年以上かかることもあります。

医師による症状固定の診断がでたら、後遺障害診断書の作成を依頼します。労災に申請する場合の後遺障害診断書は、労災指定の書式を使用する必要があるので注意が必要です。

(2)請求書を所轄の労働基準監督署に提出

労災保険の手続きは受けたい補償内容によって異なりますが、障害補償の場合は請求書を所轄の労働基準監督署に提出します。必要な資料は通勤災害と業務災害で少し違います。

通勤災害の必要書類

  • 障害給付支給請求書
  • 通勤災害に関する事項
  • 労災指定の診断書
  • 症状を伝えるレントゲン等の資料
  • 療養給付たる療養の費用請求書

業務災害の必要書類

  • 障害補償給付請求書
  • 労災指定の診断書
  • 症状を伝えるレントゲン等の資料
  • 療養補償給付たる療養の費用請求書

症状を伝えるレントゲン等の資料は病院で取り寄せる必要がありますが、それ以外の資料については厚生労働省のホームページよりダウンロードすることができます。

(3)労働基準監督署の審査・面談

労災の後遺障害認定では、提出した資料に基づいた書面審査のみならず、面談が行われます。自賠責による後遺障害認定では原則として面談が行われないので、大きな違いといえるでしょう。

面談では書類からは読み取りにくい症状も把握しやすいので、的確に症状を伝えられるように事前準備を整えておくことが大切です。

(4)審査結果の通知と障害等級に応じた給付

面談から数ヶ月後に審査結果を伝える支給決定通知が届くでしょう。労災における後遺障害の認定審査は3ヶ月程度になることが多いです。

後遺障害に認定されていれば、後遺障害等級に応じた給付が受けられます。支給決定通知は補償金の支払振込通知も兼ねているので、通知を受けた頃には補償金が振り込まれているでしょう。

残念ながら後遺障害に該当しないと判断された場合は、不支給決定通知が届きます。

認定結果に納得いかないなら不服申立て

後遺障害に該当しないと判断されたり、後遺障害に該当すると判断されても認定された等級が予想よりも低かったりすることもあるでしょう。後遺障害の審査で出された結果に納得いかない場合は、再び審査してもらえるように不服申立てを行うことができます。

不服申立てを行う場合は、後遺障害等級の認定結果を知ってから3ヶ月(90日)以内に行う必要があります。不服申立ては「労働者災害補償保険審査官」に対して審査請求を行います。不服申立て先は、労災の後遺障害申請を行う労働基準監督署とは異なりますのでご注意ください。

さらに、審査請求の結果にも納得いかない場合は、「労働保険審査会」に対して再審査請求を行うことができます。

もっとも、不服申し立てをしたからといって希望する結果が必ず得られるとは限りません。審査請求や再審査請求で出された決定をくつがえすことは非常にむずかしいといわれています。納得できないなら不服申立てで何とかなるだろう、という考えは一旦おいていただき、最初に行う後遺障害申請の段階から、症状を詳細に把握できる資料を集めたり、入念な準備をしておくことが大切です。

ポイント

医師による症状固定の診断を受けて労災保険で後遺障害等級の申請をおこなう場合は、労働基準監督署に必要書類を提出します。認定結果に納得できない場合は不服申立てをすることができますが、認定結果がくつがえる可能性は極めて低いのが実情です。

業務中の交通事故は弁護士に相談した方がいい?

労災保険を使うにも、加害者側との示談交渉を進めるにも、一人で対応するのは不安だと思います。そんな時は、交通事故の問題に精通した弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談することで、問題に対してさまざまなサポートがもらえます。

労災保険の仕組みは複雑なので弁護士に任せる

労災の利用は申請方法が複雑です。まずどのような資料がいるのか、どこから資料を集めたらいいのか、申請書類の記入方法がむずかしい等、申請方法や仕組みがわからないとお困りではないでしょうか。

労災で後遺障害申請をする場合は特に、指定の書式を用意して医師に依頼する必要があるのでより複雑だといえます。手続きをスムーズに行えないと、補償を受け取るまで時間がかかってしまいます。

弁護士に依頼すると申請手続きを弁護士に一任することができるので、不安から解放されるだけでなく、スムーズに補償を受け取ることができるでしょう。申請のやり方がよくわからないと不安な方は、労災認定の経験が豊富な弁護士に相談してみることをおすすめします。

加害者側との示談交渉を弁護士に任せる

労災の交通事故で労災を使用しても、労災から慰謝料は支払われません。慰謝料は、事故の相手方本人あるいは事故の相手方が加入する自賠責保険や任意保険に対して、示談交渉を通して請求していくことになります。

怪我の治療を続けていたり、仕事や家事があって忙しいという方にとって、示談交渉は大きなストレスを感じるというお悩みをいただきます。病院にいる時でも、仕事中や家事の最中でも示談の相手から交渉をしようと電話が来ると負担になるでしょう。

弁護士に依頼すると示談交渉を弁護士に一任することができるので、示談交渉のやり取りから解放されます。

また、示談の相手が保険会社の場合、保険会社が提示してくる金額は適正で妥当な金額とは言い難い低額な場合が多いです。弁護士が示談交渉に介入することによって、適正で妥当な金額の慰謝料を得られる可能性が高まります。

増額交渉(弁護士あり)

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アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象に「無料相談」を行っています。電話・LINE・メールのいずれか窓口をお選びいただき、まずは弁護士による無料相談の予約をお取りください。

無料相談のお受付は24時間365日いつでもおこなっております。

労災の利用に関してや、後遺障害の申請について悩みがある方は、弁護士に相談して専門家の力を借りてみましょう。無料なので気軽にご相談ください。

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ご加入の自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合は一定の上限はあるものの、弁護士費用の自己負担なしで弁護士に依頼することができます。

まとめ

  • 後遺障害慰謝料は労災保険から支払われないが、損害賠償請求と労災を利用することで最終的な受取額を大きくできる
  • 後遺障害の認定は、自賠責保険でも労災保険でも労災認定基準に依拠する
  • 労災における後遺障害の認定結果に納得いかない場合は不服申立てができる
  • 労災の申請方法や示談交渉に不安がある場合は弁護士相談がおすすめ

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