交通事故の示談金に納得できない?示談交渉を有利に進める方法を徹底解説

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「交通事故は自分で処理できる?」
「加害者側が高圧的な態度で困っている」
「示談金が納得できないんだけどどうすればいい?」

交通事故は起こってほしくない事象のため、その後の対処に関してもご存じないところが多いですよね。

特に被害者であるなら、少しでも有利に交渉を進めたいはずでしょう。そこで今回は交通事故後の交渉で、示談金に納得できない場合の対処方法を解説します。

交通事故の示談で納得できないときは

交通事故の示談金に納得できない場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談せず、被害者だけで保険会社と示談交渉した場合、示談金交渉は最低限の金額しか得られない可能性が高くなってしまいます。

弁護士に相談すれば、被害者が本来受け取れるはずの示談金まで増額を実現できる可能性があるのかなどお話しすることができます。弁護士であれば、増額が実現できるだけでなく他にもメリットがいくつかあげられます。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットは大きく3つあります。

代理可能で精神的負担を軽くできる

交通事故が起きたあとは、示談交渉が行われます。その際、弁護士に依頼しておくと交渉を有利に進められるだけでなく、精神的負担を軽減することも可能です。

たとえば、交通事故で怪我を負った場合は、治療が数ヶ月に及ぶことも多いです。治療を続けながら仕事をされている場合、この両立だけでも大変だと思います。そこに示談交渉のやり取りも加わると負担がさらに大きくなるでしょう。
弁護士に依頼すれば示談交渉を代理で行うので、負担が軽減されて、治療や仕事に集中できます。

また、加害者との接触や事故の詳細状況などを聞くことで、フラッシュバックを起こす被害者の方もいるので、積極的な依頼をおすすめします。

高い示談金を期待できる

交通事故の示談金については、納得できない提示を受けることがあります。弁護士に依頼すれば、増額の可能性が高まります。

増額交渉(弁護士あり)

というのも、保険会社が提示する示談金の金額は、本来であれば被害者が受け取れるはずの示談金よりも低い金額になります。営利目的である保険会社は自社の利益を守るため、支払う示談金が少ないほど保険会社にメリットがあるからです。このような理由から示談金の提示額が低くなり、納得できない被害者が生まれてしまうのです。

被害者一人だけで示談交渉をしていると、徹底的に示談金を引き下げてくるかもしれません。自己防衛のためにも、弁護士に依頼しておくと安心です。

専門書類などの作成をしてもらえる

交通事故後の処理には多く書類が必要となります。示談金をもらう際にも示談書などの専用書類が必要です。初めて見る書類をご自身で作成するのはかなり大変な作業です。
弁護士に依頼すれば、このような専門書類の処理も丁寧に対応してくれます。

突然の交通事故でも慌てないために、普段から頼れる弁護士を探しておくと安心です

弁護士費用特約があれば安心

「交通事故の被害者なのに、弁護士に依頼してしまうと弁護士費用の負担が高いかもしれない」と考えていませんか?

保険会社が一定の上限の範囲内で弁護士費用を負担する「弁護士費用特約(弁護士特約)」という特約に加入していれば、費用を気にせず弁護士に相談・依頼することができます。

弁護士費用特約があれば保険会社が弁護士費用を負担する(上限あり)

弁護士への依頼に踏み切れないとお悩みの方は、一度、ご自身が加入する任意保険に弁護士費用特約が付帯されているかご確認ください。

慰謝料を増額させるには?

示談金の提示金額は計算の基礎となる基準によって大きく変わってきます。基準は以下の通り3つのうちいずれかが用いられます。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

示談金を構成する損害項目の一つである「慰謝料」は特に、計算に用いる基準によって金額に大きな開きが生じます。

慰謝料金額相場の3基準比較

3つの基準のうち、最も高い金額となるのは弁護士基準です。

自賠責基準|もっとも低い

任意保険基準や弁護士基準と比べて、もっとも低い基準値を設定しているのが「自賠責基準」です。人身事故の場合のみに補償がおります。車両を持つ場合に加入が強制される自賠責保険ですが、多くの慰謝料をもらうことはできず、法令で定められた最低限度の補償にとどまります。

任意保険基準|自賠責程度

自賠責基準よりも高い基準値が設定されているものの、弁護士基準と比較すると基準を低く設定しているのが任意保険基準です。

保険会社ごとに設定基準が微妙に異なっており、その基準値は公表されていません。もっとも、どの保険会社も自賠責基準に少し上乗せした程度になるといわれています。

弁護士基準|もっとも高い

3つのなかでもっとも高い基準値が「弁護士基準」です。弁護士基準は時に「裁判基準」とも呼ばれていますが、本記事では弁護士基準と統一しています。

どのくらい違うのか基準を比較してみよう

ここで、基準ごとにどのくらい金額の開きがあるのか比較してみましょう。

違いが分かりやすい「後遺障害慰謝料」を用いて確認してみます。後遺障害慰謝料とは、怪我が完治せずに後遺症が残り、後遺障害等級に認定された場合に請求できる慰謝料のことです。1~14級まである後遺障害の等級に応じて、慰謝料の金額は異なります。

では、慰謝料の算定基準を確認してみましょう。
もっとも金額が低い自賠責基準と、もっとも金額が高い弁護士基準と比較してみます。

後遺障害慰謝料の違い

等級 自賠責基準弁護士基準
要介護1級1,650万円
(1,600万円)
2,800万円
要介護2級1,203万円
(1,163万円)
2,370万円
1級1,150万円
(1,100万円)
2,800万円
2級998万円
(958万円)
2,370万円
3級861万円
(829万円)
1,990万円
4級737万円
(712万円)
1,670万円
5級618万円
(599万円)
1,400万円
6級512万円
(498万円)
1,180万円
7級419万円
(409万円)
1,000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

※すべて税込の価格

自賠責基準と弁護士基準では、1.7倍~3.5倍程度の開きがあることがわかります。
弁護士基準を基にするには、弁護士への依頼が必要です。

加害者側の態度が気に入らない場合

交通事故を起こす加害者のなかには、納得できないような謝罪の仕方や態度をとる人もいます。
また、加害者側が加入している保険会社の担当者が、高圧的な態度であったり専門用語を多用する場合もあります。威圧感に負けて示談に応じてしまわないようにしましょう。

このような相手と直接、話し合いをするのはストレスを感じてしまう方も多いです。やり取りに困ったら、弁護士に相談してみましょう。

過失割合に納得できない場合

特に、過失割合に納得できない場合は、示談交渉のプロである弁護士に依頼するのが安心です。

納得できないまま最終的な過失割合に合意してしまうと、過失相殺により受け取れる金額が減ってしまいます。
低い金額で慰謝料が算定されている状況に加えて、過失割合まで多くついてしまうと、さらなる減額につながってしまいます。

保険会社によっては、過失割合がさも最終決定したように連絡をしてくる場合もありますが、安易に合意しないようにしましょう。弁護士がついていれば、事故の状況を丁寧に反映した適切な過失割合を導き出すことができます。

過失割合に納得できない場合は弁護士に相談しましょう。

納得ができない示談こそ早めに対処

交通事故後は早めに弁護士へ依頼することをおすすめしています。それには以下の3つの理由があります。

(1)同意書類にサインをしてしまったあと条件変更は不可能

話し合い後、「示談書」にサインをするのですが、これに署名・捺印した後は再交渉や条件変更は不可能となります。
条件を不利にしないため一刻も早い弁護士への相談が必要です。

(2)示談金の受け取りが遅くなる

示談金は書類にサインして、示談成立後にもらえるのが通常です。しかし、示談成立前までに被害者は病院に通院したり、車両を修理したりなどたくさんの出費があり、示談成立まで待てないという方も多いでしょう。

弁護士がついていれば、仮渡金の請求や被害者請求など示談前でも示談金を先行して受け取る方法についてアドバイスすることができます。

また、少しでもはやく示談金が欲しい場合には、示談もスピードを意識して進めていく必要があります。そこで示談交渉のプロである弁護士に依頼すれば、示談交渉がスムーズに進むよう立ち回ってくれ、一人で交渉を行うより早く示談金を受け取れるでしょう。

(3)慰謝料請求には期限がある

慰謝料請求には期限があることを知っていましたか?
事故日・症状固定日・死亡日からそれぞれ5年以内に請求しなければ、権利が消滅してしまいます。(保険会社に対する請求は3年以内です。)
弁護士への相談を先延ばしすると、それだけ慰謝料請求の期限が短くなってしまうのです。

なかにはむずかしい交通事故や納得できない条件によって裁判が長引く可能性もあるため、早めに弁護士へ相談しましょう。

まとめ

交通事故の示談交渉はむずかしいことが多く、自分で処理をしてしまうと納得できない条件で示談成立となってしまう可能性もあります。

交通事故後は警察を呼ぶということと同じくらい、保険会社への連絡と弁護士への相談は早めに行うことがおすすめです。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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