交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
車対自転車の事故について解説しています。
自転車は身軽な乗り物ですが、軽車両に該当し、交通事故においては過失割合の対象になります。
過失割合が適用されれば、その割合はケガによる損害だけでなく、物損に対しても関係してくるのです。
当記事ではおもに、自転車や車の損害のとらえ方について説明しています。
また、慰謝料と物損との関連性についても解説していますので、自転車の絡む事故にあった方はぜひ参考にしてください。
目次
交通事故にあわれた方は、まず過失割合について知っておく必要があります。
過失割合は通常、当事者の話し合いによって決められ、参考資料として過去の判例をもちいることになるでしょう。
この参考方法は損害保険会社も採用しており、基本の過失割合が決定されたあとは、個別の事情を反映した修正要素を加味し、さらにこまかく過失を決定していく流れとなります。
基本の過失割合についてはこちら
車と自転車の事故では、車側が強者とされ、自転車が保護されるケースが多くあります。
まずそのひとつに、過失割合の自転車側減算要素として自転車横断帯や横断歩道通行という項目があることです。
車を運転する人は、そのような場所を通行する自転車を、歩行者と同程度注意しなさいという義務が課されているのです。
しかし、悪質な自転車運転をする人を全面的に保護する必要はなく、高速度で進入する自転車や、2人乗り自転車などについては過失が加算されます。
では、実際の過失割合の例について少しみてみましょう。
ここでは交差点の事故について取り上げています。
まず自転車と車の基本の過失割合を決定する際、「信号機のある交差点」と「信号機のない交差点」とに分類されます。
信号機のある交差点事故の基本過失割合例
信号の色は、交差点進入時の色によります。
また、信号機が正常に作動していることが前提です。
信号機のない交差点事故の基本過失割合例
上記はあくまで基本の過失割合例です。
ここから修正要素が加わり、微調整がかかります。
交通事故の損害賠償金は、大きくケガの損害(人損)とモノの損害(物損)に分別されます。
過失割合がこれらに影響しますので、いくら被害者であってもご自分の過失分についてまで加害者に請求できません。
たとえば、自転車の修理代が50万円だった場合、ご自分の過失が30%あると35万円のみ請求できることになるのです。
物損事故でもめるケースとして、修理代が全額支払ってもらえなかったということがあります。
このことは法律上、どの範囲までを相手に請求できるかにかかってくるのですが、あくまで請求できる金額は「修理代」とは限りません。
加害者側に過失が100%あってもです。
では、実際に請求できる範囲についてわかりやすく解説していきましょう。
物損事故で請求できる被害金額とは
必要かつ相当な範囲での金額。
修理費用の金額は、原状回復、つまり事故前の状態に戻す部分までが認められる。
上記に示したとおり、あくまで原状回復が賠償責任の範囲となります。
また、賠償責任については民法709条の不法行為責任を根拠に追及できるものになります。
原状回復とは、かんたんにいえば事故直前の状態です。
被害者は事故により損害を被ったのですから、その損害がなかったものとして元の状態に戻すよう責任を追及できるのです。
どんなに高級な車が事故で傷ついてしまっても、たとえば全塗装をし直したり、中古車を新車のように回復させたりなどの責任は、原則追及できないでしょう。
自転車の場合であっても同様に、自転車の価値は事故直前のものとされます。
その状態に戻すためにかかった修理代を、相手に請求していくことになるでしょう。
全損には2つあります。
ひとつは対象のものが滅失(なくなること)することをいい、もうひとつは時価額よりも実際の修理費用が上回ることをいいます。
また、後者は「経済的全損」といわれるものです。
では実際に全損となった場合に、修理費用を上回る金額を請求できるのかというと、かならずしもそうではありません。
たとえ全損であっても、原則時価の範囲内で請求していくことになるでしょう。
中古の自動車の場合ですと、最高裁では時価について以下のように判示しています。
時価は、「同一の車種、年代、型、同程度の使用状態、走行距離等の自動車を中古車市場において取得するに要する価格によって定める」
最判昭和49年4月15日交民28巻3号385号
つまり、一般的に事故で請求できる車の損害は、市場での販売価格といっているのです。
しかし、買換えが必要になった場合はその費用についても損害の対象として考えていくことになります。
つぎに、ケガに関する請求項目について解説していきましょう。
人身事故で請求できる費目
治療費や通院交通費は、実費で請求するものです。
慰謝料や逸失利益には算定方法がいくつかあり、弁護士基準で計算・請求すると高額算定されます。
なお、慰謝料については目次「慰謝料の請求」でも後述します。
休業損害とは、仕事を休んだ減収分です。
サラリーマンであれば会社に収入を証明(休業損害証明書といいます)してもらい、相手方に提出することにより請求できます。
人身傷害補償・搭乗者傷害補償
ご自分のケガについて補償される保険です。
人身傷害補償は実損払い、搭乗者傷害補償は定額で支払われます。
また、どちらの保険も運転者だけでなく、搭乗中の全員が補償対象になります。
最高補償額は、ご自分で設定する支払い価格です。
対人賠償責任保険
相手のケガに対する保険です。
治療費や後遺障害、死亡について補償されます。
被害者であってもご自分にも過失がある場合はこの保険で対応できますし、ご自分が完全なる被害者であった場合、相手方(加害者)の対人賠償責任保険から治療費などを支払ってもらえる可能性があります。
対物賠償責任保険
モノの損害を補償する保険です。
車やガードレール、店舗や自転車修理代もこの保険で対応できます。
ポイントは、対物賠償責任保険が「無制限」で設定されていても、やはり上限は車や自転車の「時価額」であるという点です。
修理代が時価額を上回ってしまった場合は、つぎに説明する対物超過特約が役に立ちます。
対物超過特約
保険会社により名称は異なりますが、「対物超過修理費用特約」などといわれる保険です。
対物賠償責任保険を無制限に設定していても、保険金そのものが無制限に支払われるわけではありません。
そのため、たとえば時価額100万円のモノについて修理代が200万円かかってしまったとき、100万円については補償の対象から外れます。
よって対物超過特約を無制限で付帯していた場合、100万円がこの保険から支払われるというわけです。
自転車傷害特約
自転車に乗車中、加害者の車とぶつかってしまった際のケガや、歩行中に自転車とぶつかってしまった場合ご自分のケガについて補償されます。
自転車に特化した保険のため、自転車乗車中のご自分のケガだけでなく、対人や対物についても補償されるものが多いです。
個人賠償責任特約
個人賠償責任は、どちらかというと加害者になってしまったときに備える保険です。
自転車乗車中の歩行者とぶつかってしまった場合や、日常でお店のモノを壊してしまい賠償責任が発生した際に役に立ちます。
慰謝料は、精神的苦痛等をお金に換えたものです。
つまりは損害賠償のうち、非財産的損害を補てんするものになります。
また、単に精神的損害のみを金銭に換えるという趣旨ではなく、個人のさまざまな事情により金額算定されます。
ここで注意したいのが、物損事故では原則的に慰謝料の請求はできないということです。
その理由は、純粋な物損事故であれば、モノの損害は修理などによって精神的苦痛も回復すると考えられるためです。
よく誤解されやすい事故例としてあげられるのが、被害事故で大切にしていたペットが犠牲になり、精神的苦痛を受けたことで慰謝料を請求したいという例でしょう。
残念ながら法律上、ペットつまり動物は、「モノ」であると解されています。
事故当事者である人間にケガがなければ、ペットに損害の出た事故は「物損事故」として扱われます。
ですので保険請求においても、加害者の対物賠償保険から支払われることになるのです。
人身被害事故で請求できる慰謝料についてご説明します。
種類は以下3つあります。
慰謝料の種類
上記にあげた慰謝料は、運転していた車両が車であっても自転車であっても同じです。
慰謝料の相場は、計算基準により異なります。
計算基準にも3つの種類があります。
慰謝料計算基準
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了