交通事故の慰謝料は軽傷でも請求できる!正しい相場はいくら?

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故では、命に関わるような大きな被害が発生することもありますが、入院する必要がない軽傷で済むこともあります。

簡単な治療や数回の通院で治るような軽傷の場合でも、慰謝料を請求することができます

この記事では、交通事故で軽傷を負った際に支払われる慰謝料の相場について解説します。

交通事故による軽傷でも慰謝料請求できる

結論からいうと、交通事故でケガをした場合は軽傷でも慰謝料の請求が可能です。

警察庁の交通事故統計によると、軽傷とは「1ヶ月(30日)未満の治療を要するケガ」と定義されています。つまり、打撲や擦り傷など短期間の通院で治るようなケガが軽傷だといえるでしょう。

ただし、軽傷であっても、顔や首、頭部などを負傷して傷跡が残ってしまった場合は「外貌醜状」という後遺障害として認められる可能性があります。「外貌」とは日常的に人目につく部分のことであり、日常的に受ける精神的苦痛に対して慰謝料が発生するというわけです。傷跡が大きい場合やいちじるしく目立つ場合は後遺障害の等級も高くなるため、たとえ傷そのものが軽傷であっても必ず医師の診断を受けて後遺障害認定の申請をしましょう。

軽傷を負った場合の慰謝料相場

交通事故で軽傷を負った場合に支払われる慰謝料の金額は、症状や通院期間によって異なります。擦り傷や切り傷など、何度も通院する必要がなく1週間程度で治る軽いケガの慰謝料はおよそ4万円です。

打撲(衝撃によって筋肉や皮下組織を損傷するケガ)の場合は程度によっても異なり、通院期間が2週間程度であればおよそ9万円1ヶ月程度であればおよそ19万円です。

捻挫(関節の靭帯や関節包を損傷するケガ)、むち打ち(首の部分の神経や筋肉を損傷するケガ)は入院が必要とまではいかないものの治りにくく、通院期間が長引く傾向があります。この場合の慰謝料は、自覚症状のみで1ヶ月程度通院したケースだとおよそ19万円3ヶ月程度通院した場合はおよそ50万円です。

また、ケガにより入院したのち通院して治療を受けた場合は、通院のみのケースより高額になる傾向があります。このように軽傷といっても、症状や通院期間によって慰謝料には差が生まれます

交通事故による軽傷の慰謝料が増額されるケース

慰謝料には相場がありますが、金額はケースバイケースです。

たとえば「乳児や幼児の世話をしなくてはならない」「仕事の代替要員がいない」など被害者側のやむを得ない事情で通院を短期間で切り上げた場合、慰謝料算定時の通院日数が加算され慰謝料が増額されることが少なくありません。

また、加害者側が原因で増額されることもあります。

たとえば、加害者に居眠り運転や飲酒運転、著しいスピード違反や信号無視といった重大な過失がある場合です。また、治療費の支払いを拒否する、連絡を無視するなど、加害者の不誠実な態度によってさらなる精神的苦痛を受けた場合も慰謝料が加算される可能性があります。

ただし、慰謝料増額を渋る保険会社も存在するため、金額に納得できず増額したいときは弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故による軽傷の慰謝料が減額されるケース

慰謝料を相場から減額されてしまうケースもあります。

1つ目のケースが、身体的・心因的素因による減額です。たとえば、もともと骨粗しょう症をわずらっている人が交通事故で骨折した場合、骨粗しょう症によってケガがひどくなったと判断され、慰謝料を減額される可能性があります。

2つ目のケースは被害者側にも過失割合がついた場合です。たとえば過失割合が被害者:加害者=10:90だとすると、事故の責任が被害者に1割分あるとみなされ、その分減額されます。

3つ目のケースは被害者の治療方法や頻度に問題がある場合です。通院の頻度が著しく低かったり、治療に消極的だったりする場合や、医師の許可なく整骨院・接骨院に通院したときに減額されることがあります。

被害者側からすれば、慰謝料の減額は受け入れがたいものです。提示された金額が低い場合や納得できない場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

軽傷で慰謝料をもらうために知っておくべきこと

交通事故の慰謝料をもらうために何より重要なのは、軽傷でも医師の診断を受けることです。

病院へ行く最適のタイミングは事故直後です。あとから痛み出した場合は、痛みを感じた時点ですぐに医師の診断を受けなくてはなりません。時間が経ってからだと、ケガと事故との因果関係が証明できなくなり、慰謝料を含めた損害賠償請求に支障が出ることがあります。診察の際はきちんと自覚症状を伝え、適切な治療を受けましょう。さらに自分で勝手に通院を中断してはいけません。

また、被害にあった場合は、人身事故扱いにすることも重要です。物損事故として処理されてしまうとケガに対する治療費や慰謝料は支払われない可能性があります。

軽傷で請求できる慰謝の種類

慰謝料とは、被害者が感じる精神的な苦痛に対して支払われるお金のことです。交通事故で軽傷を負った場合に請求できる慰謝料は「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」と「後遺障害慰謝料」があります。

入通院慰謝料は、入院や通院によって感じる「痛みが続いてつらい」「治療が苦痛だ」「治療に時間をとられてしまう」といった精神的苦痛に対して支払われます。

後遺障害慰謝料は、ケガによって後遺障害が残った場合に感じる「加害者が許せない」「将来的に悪い影響があるかもしれず不安」といった精神的苦痛に対して支払われるものです。後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

慰謝料以外にも請求できる賠償金がある

交通事故の被害者となったときに請求できるお金は、慰謝料だけではありません。損害賠償金としてケガの治療費や修理費などを請求することができます。

交通事故損害賠償の内訳

治療費は病院に支払った金額だけでなく、通院にかかった電車代やタクシー代、事故でかかった電話代、歯ブラシや雑誌などの入院雑費、治療に必要な器具といったものが含まれます。後遺障害によって自宅をリフォームする必要がある場合はその費用も対象です。

修理費は、事故によって壊れてしまった自動車や自転車などの修理にかかった費用のことです。車に載せていたノートパソコンや楽器が破損した場合も請求できるため、事故で壊れたことを証明できる証拠を残しておきましょう。

また、ケガが原因で仕事を休まざるを得ず収入が減ってしまった場合は、休業損害を請求できます。

まとめ

交通事故でケガをした際は、たとえ軽傷でも被害に応じた慰謝料や損害賠償金を受け取ることができます。ただし、そのためにはきちんと医師の診察を受け、適切な治療を継続する必要があります。交通事故にあってしまったら、すぐに病院へ行き医師の診断を受けましょう。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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