交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
本記事は、交通事故慰謝料等の内払いについて解説しています。
交通事故で、当面の生活費に困窮する被害者の方は少なくありません。
交通事故の賠償金を受け取ることのできる時期は、原則として示談締結後です。
ただ、状況に応じて制度を利用することで、示談前に損害金を請求することも可能です。
交通事故示談は、場合によっては何年もかかることもあり得ます。
被害者の方は、まず交通事故の賠償金とは何なのか、賠償金の請求方法や時期はどのような流れになっているのかをはじめ、当面の生活費にも対応できるような知識をも知っておいた方が安心です。
目次
示談前に受け取ることのできる賠償金のことを、しばしば「内払金」や「仮渡金」といっています。
この2つのお金にはどのような違いがあるのでしょうか。
まずは順番に解説していきましょう。
「内払い」とはそもそも、確定した損害のうちの一部が、あらかじめ支払われることをいいます。
交通事故の内払いは、かつては自賠責保険に規定されていた制度でした。
ケガの治療が長引いて困っている被害者が、10万円以上をあらかじめ請求できるというもので、上限額は自賠責保険の傷害部分である120万円でした。
しかし制度としては平成20年に廃止されており、現在は「内払金」を自賠責保険からは請求できません。
現在使われている交通事故の「内払金」とは、任意保険から先に受け取ることのできる賠償金をさしていることが多いでしょう。
また、内払い請求に回数制限はありません。
任意保険から内払金を請求する方法については、「内払金の請求方法」で後述します。
仮渡金とは、自賠法に規定されており、損害が確定しない部分についてあらかじめ請求できる金額のことです。
損害額については自賠法施行令5条に記載されています。
請求先は加害者加入の自賠責保険であり、自賠法16条の被害者請求(本請求)とは別の制度です。
また、請求できる回数は1回限りとなっていることも特徴です。
仮渡金について詳しくは、関連記事『交通事故の慰謝料は仮払いできる?仮渡金制度とは』を参考にしてください。
つぎに、賠償金の内払い請求について解説していきます。
まずは内払い請求できる可能性のある費用についてざっと触れておきましょう。
賠償金とは、交通事故で被害者が請求する費用の全額です。
よって、治療費や休業損害、慰謝料等のすべてが含まれています。
細かいところですが、賠償金のなかには、通院にかかった交通費や診断書などの文書料なども含まれています。
そのため、示談交渉に期間を要する被害者の方は経済的に苦しむことになってしまうのです。
賠償金のうち、多くは慰謝料を占めている場合が多いのは事実です。
慰謝料とは精神的苦痛をお金に換えたものであり、入院や通院だけでも請求できる慰謝料はじめ、後遺障害慰謝料や死亡慰謝料など種類があります。
治療期間が長ければ長いほど請求額も大きくなり、何千万円もする慰謝料を請求できることも珍しくありません。
また、慰謝料の金額は算定基準により異なります。
慰謝料算定基準は3つあり、低額なものから順に、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準とがあります。
上記のうち、もっとも被害者にとって損のない算定基準は弁護士基準です。
自賠責基準 | 強制加入の自賠責保険による慰謝料基準。被害者への最低限補償を目的としているため低額。 |
任意保険基準 | 任意保険が独自で設定している慰謝料算定基準。自賠責基準よりかはやや高く算定される。金額については一般公開されていない。 |
弁護士基準 | 過去の裁判例をもとに設定している基準のため、もっとも高額で算定される。示談交渉を弁護士に依頼した際や裁判になった場合に採用される。 |
この章では、加害者側任意保険会社に対する内払い請求について解説します。
交通事故被害者は、任意保険会社に対し、すでに発生した損害分を請求できます。
請求できる費目の内訳は、さきほどご説明した慰謝料や、治療費、休業損害などです。
内払金請求に必要な主な書類は以下です。
このような書類は、示談交渉が始まる前にすでに任意保険会社に提出済みのものや任意保険会社が取得済みのものもあるかと思います。
人身事故に任意保険会社が介入している場合、治療費は基本的に任意保険会社の一括対応によって、被害者の支払いが必要でないケースがほとんどです。
その場合、診断書や診療報酬明細書などは、すでに任意保険会社が病院を介して入手しています。
よって、内払金請求に際しておもに検討していく書類は休業損害証明書になるでしょう。
任意保険会社の一括対応とは
人身事故で任意保険が窓口になっている場合、任意保険が自賠責保険分も一括して被害者に対応することをいいます。
内容としては、任意保険会社が通院費などの治療費を、被害者に代わって病院に直接支払います。
休業損害証明書は、会社員の方であれば勤務先に記入してもらい、任意保険会社に提出する流れになります。
その後、内払いできる金額や支払い時期などを、任意保険会社と交渉していくことになるでしょう。
また、人身事故では後遺障害が残る場合や死亡事故であるケースも考えられます。
しかし、後遺障害や死亡事故ではその費用項目を内払い金として請求しにくいので注意しましょう。
内払金で請求できる金額は、かつての自賠責保険の制度上の限度額である120万円になることが多いでしょう。
自賠責保険に請求できる仮渡金と同様、内払金も前払いされる金額であることに変わりはありません。
最終的に、被害者の受け取ることのできる示談金からは差し引かれることになります。
任意保険が内払い請求に応じてくれない場合、まずは弁護士に相談することが得策です。
弁護士委任となれば、内払い請求に必要な書類の整理から、任意保険会社との交渉までを対応してもらえます。
任意保険会社に対する内払いの請求は、あくまで任意保険会社のサービスによるものです。
よって、請求した金額がかならず認められるとも限りませんし、支払い自体を拒まれてしまうケースも考えられるのです。
さらに以下では、任意保険とは切り離した観点から、自賠責保険に請求できる「被害者請求」についてもみていきましょう。
被害者請求の本請求とは、自賠責保険の「加害者請求」と「被害者請求」をいいます。
以下では、自賠法16条に規定されている、被害者請求について解説します。
被害者請求の本請求手続きとは、被害者が加害者加入の自賠責保険に損害賠償額を請求することです。
自賠責保険に請求すると、請求時点での損害額が被害者に支払われます。
その損害賠償金の内訳は、治療費や慰謝料、休業損害等を含めた金額です。
また、傷害なのか、後遺障害なのか、死亡なのかにより限度額は変わってきます。
傷害 | 120万円 |
後遺障害 | 4000万円(常時介護を要する場合) 3000万円(上記以外の場合) |
死亡 | 3000万円 |
たとえば傷害の場合、慰謝料などすべての賠償金を含んだものを、120万円を限度に請求可能です。
自賠責保険に請求する賠償金ですので、その算定基準は「自賠責基準」によるものになります。
また、賠償金すべてを含むといっても、物損については請求できません。
自賠責保険はあくまで、人身に対する保険です。
人身事故にもかかわらず、警察の届け出を物損事故にしている場合は、人身事故への切り替え手続きをおこないましょう。
なお、自賠責保険の請求は示談成立前でも可能です。
交通事故について、弁護士に相談することに特段デメリットはありません。
これまで解説してきた被害者による「請求」については、弁護士に委任することはもちろん、まずは相談だけでもして損はないでしょう。
内払いについて、任意保険会社との交渉を弁護士に委任することが可能な点はご説明しました。
被害者請求についても、弁護士に委任することは可能です。
また、交通事故にあった被害者は以下のような流れをたどります。
治療期間に経済的に困窮した場合であっても、現況を弁護士に相談すれば、専門的な視点でのアドバイスが可能です。
弁護士委任では、その後の交渉期間も弁護士に一任できるため、被害者はストレスからも解放されます。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了