交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の被害者になると、想像以上に出費がかさむものです。
しかし、加害者側との示談交渉において、示談金(賠償金)のすべてを受け取ることができるタイミングは、示談締結後であることが通常です。
当記事では、交通事故の出費に困っている被害者に向け、当面の生活に備えることができるよう示談金の仮払い制度について解説しています。
また、賠償金の1つである慰謝料の位置づけや、支払いタイミングについても解説していますので、示談交渉にあたる方はぜひお読みください。
目次
交通事故の被害者が当面の生活苦に陥ることのないよう、自賠責保険の制度に仮払い制度というものがあります。
この仮払い制度は、被害者側からの請求をもって利用できますが、この請求のことを「仮渡金(かりわたしきん)請求」といいます。
通常自賠責保険金は、第三者機関での損害調査や自賠責への損害報告を経て支払われますが、仮払い制度を利用することにより、迅速に損害金の一部を受け取ることができるのです。
仮渡金制度は、自賠法に規定されている請求方法です。
根拠となる条文を確認してみましょう。
(被害者に対する仮渡金)
自賠法第十七条
保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を第十六条第一項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。
被害者が利用できる自賠責保険の請求方法には、被害者請求・仮渡金請求とがあります。
被害者請求も、自賠責で定められた基準額をあらかじめ請求することができますが、仮渡金請求とは異なり、あくまで損害確定後に受け取ることができるものです。
よって、当面のお金もないというときには、仮渡金請求を利用するといいでしょう。
賠償金を先払いで受け取る方法の1つに「内払い」というものもあります。
内払いは自賠責保険の制度とは異なり、任意保険の支払方法のことです。
かつては自賠責保険にも「内払い制度」が存在していましたが、平成20年に廃止されているので、ここでは説明を割愛します。
現在の「内払い」を具体的に説明すると、示談成立前に任意保険が被害者の治療費を先に立て替えたり、休業損害を支払ったりすることです。
内払いはあくまで任意保険のサービスの一環であるため、仮渡金制度のように迅速に支払ってもらえるとは限りません。
場合によっては、任意保険との交渉も必要になってくるでしょう。
仮渡金制度 | 内払い対応 | |
---|---|---|
保険 | 自賠責保険 | 任意保険 |
範囲 | 損害が確定していない部分についても、基準を満たせばある一定額を請求できる | 治療費や休業損害などを、明確な基準はないが交渉のうえ請求できる |
つづいて、仮渡金請求で受け取ることのできる「金額」についてみていきましょう。
金額の内容については、自賠法施行令5条に規定があります。
死亡もしくはケガの内容によって金額がかわってきます。
仮渡金290万円
仮渡金40万円
次の損害を受けた者
仮渡金20万円
次の損害を受けた者
※仮渡金40万円に該当する傷害は除く
仮渡金5万円
11日以上医師の治療を要する傷害を受けた者
※仮渡金40万円、20万円に該当する傷害は除く
仮渡金はあくまで賠償金の先払いです。
よって、最終的な損害金が上記金額よりも少なかった場合は、差額を返還する義務が生じますので注意しましょう。
仮渡金請求をする際、まずは加害者加入の自賠責保険に資料を請求しましょう。
同封の、「必要書類一覧表」に提出が必要なものが記載されています。
保険会社によって必要書類が変わることはないため、インターネットなどを通じて情報を取得することもできるでしょう。
仮渡金請求に必要な書類
自賠責保険に資料を取り寄せる際、請求書と事故発生状況報告書は同封されています。
委任状は、交通事故示談を弁護士など代理人に一任している被害者の場合、必要になります。
その場合は、被害者本人の印鑑証明書にくわえ、代理人の印鑑証明書も必要です。
また、死亡に関しては上記の必要書類に加えて、役所で取り付けた戸籍謄本も必要になります。
交通事故で被害者が受け取ることのできる賠償金(示談金)とは、慰謝料などすべてを含む損害金をいいます。
交通事故にあうと、真っ先に慰謝料をイメージする方もいらっしゃいますが、あくまで慰謝料は、賠償金(示談金)の一部であると認識しておきましょう。
賠償金と示談金は同じ意味を持ちますが、慰謝料はその一部だとご説明しました。
では、そのうちの慰謝料を仮渡金として受け取るというのは、どういう仕組みからなっているのでしょうか。
まず、慰謝料やその他の賠償金である逸失利益は、通常金額が確定後に支払われるものです。
そのため、最終的に計算された金額は示談後に受け取ることになります。
しかし、さきほど表でご説明した仮渡金請求で受け取れる金額分については、ひとまず仮で受け取れるということになっています。
仮で、しかも一時金として受け取ることのできる仮渡金の内訳は定まっていません。
あくまで最終的に受け取ることのできる示談金のうち、いくらかをもらえるというだけです。
よって、受け取った仮渡金のなかには、慰謝料や逸失利益なども含まれているとお考え下さい。
交通事故で被害者が請求できる慰謝料は3つあります。
入院や通院を強いられたことによる入通院慰謝料、後遺障害等級に認定された際の後遺障害慰謝料、死亡したことによる死亡慰謝料とがあります。
慰謝料とは精神的苦痛に対する損害ですので、どの被害者でも同じ金額を受け取れるものではありません。
入通院慰謝料なら入院や通院期間によって金額は変わりますし、後遺障害慰謝料であれば後遺障害等級ごとに金額が違います。
死亡慰謝料についても、死亡した本人やその近親者の人数など、その人の背景によって金額は変わります。
さらに個別事情も考慮されて金額が決まってくるため、非常に奥深く単純なものではないのです。
また、慰謝料算定方法も一通りではありません。
算定方法も3つあり、最低基準の自賠責基準・任意保険が用いる任意保険基準・裁判所が用いる裁判基準(弁護士基準)とがあり、被害者の請求方法によって差が出てくるものなのです。
なお、慰謝料額は裁判基準(弁護士基準)で計算すると、もっとも高額で算定されます。
治療費が支払われるタイミングは、加害者側が任意保険に加入していれば任意保険が一括対応してくれます。
つまり、任意保険に通院する病院を告げておけば、任意保険が指定の病院に連絡を入れ、被害者が立て替えなくてもいいようにしてくれます。
しかし、病院連絡よりも先に治療が行われた場合などは、いったん立替える必要も出てくるでしょう。
また、加害者が任意保険に加入のないケースだと、治療費は自賠責からの支払いとなりますので、その際は全額立て替える必要があります。
自賠責保険に請求する場合は、立て替えた領収書を送付し、後日支払ってもらう流れになります。
支払いの時期としては、原則治療終了後です。
この場合の被害者側の請求は「被害者請求」となり、仮渡金請求とは別の「本請求」とも呼ばれるものです。
休業損害を請求する場合、休業の証明を保険会社に提出する必要があります。
加害者が自賠責保険にしか加入していないのであれば自賠責保険へ、任意保険に加入していれば任意保険会社に提出します。
会社員の場合、休業損害証明書は会社側に記載してもらう必要がります。そのため、会社に休業損害証明書の作成を依頼してから受け取るまでの時間も見積もっておく必要があるでしょう。
休業証明書を提出してから支払いまでの期間は、およそ1週間から2週間程度です。
休業損害ももちろん、示談金の一部です。
示談の際は、先払いで受け取った分は差し引かれ、未払い分だけが最終的に支払われることになります。
ここまで、仮渡金制度やその金額、示談金の中身についてみてきました。
仮渡金はケガの状態などによって金額が自賠法で決まっていること、あくまで先払いであることについておわかりいただけたかと思います。
また、示談金の中でも、治療費や休業損害など、それぞれ支払方法やタイミングは様々です。
被害者の状況や加害者の保険加入状況によっても変わってくるため、請求から支払いまでの時間を要する場合などは、自賠責の仮渡金制度を利用するといいでしょう。
仮渡金はあくまで先払いのお金です。
のちに被害者が受け取ることのできる示談金の一部ですので、利用してもデメリットは特段存在しません。
状況に応じて、賢く利用しましょう。
迅速な示談金の受け取りには、示談交渉をうまく進めるほかありません。
交通事故の場合、被害者に過失が全くなければご自分で示談交渉をする必要があります。
多くの被害者は示談交渉に慣れていないため、示談締結までに時間がかかってしまうことは当然でしょう。
くり返しになりますが、示談金は原則、示談締結後に全額支払われます。
事故後、治療中であっても、示談交渉の準備は弁護士を味方につけておくと有利です。
被害者が妥当な慰謝料を受け取るには、弁護士に間に入ってもらい、交渉を一任することがベストといえます。
示談の全容をよく知るアトム法律事務所の弁護士に、ぜひ一度ご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了