事故の過失割合を相手が納得しない場合の対処法

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「事故にあって、過失割合を提示されたけれど納得いかない」
「相手が過失割合に納得してくれない」

交通事故における過失割合は、非常にもめやすい問題の一つです。

今回の記事では、過失割合でもめる原因から、相手が納得しない場合の対処法交通事故に強い弁護士の選び方まで詳しくまとめました。

交通事故の過失割合でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

過失割合でもめる原因とは?

過失割合とは、交通事故が発生した原因について、当事者それぞれにどのくらいの過失があったのか割合で示したものです。過失とは、不注意などによって生じたミスのことをいいます。

それでは、過失割合でもめる原因は何でしょうか?
主な原因は2通りです。

自分と相手の主張が食い違っている

事故状況に関して自分と相手の主張が食い違っているために、過失割合でもめることがあります。

よくある例としては、事故の当事者双方が「自身の信号は青だった」と主張するケースがです。また、信号機のない交差点での事故では、車両のスピードや進入の度合について、主張が食い違うことも少なくありません。

任意保険会社が主観的な意見を主張してくる

相手方が任意保険に加入していると、任意保険会社とやり取りすることになるでしょう。被害者である自分には過失がないと思っていても、保険会社から「過失割合は7対3で決定しました」などと突然の連絡が来て、驚いたという方も多いです。

このように、相手方の任意保険会社が判例に基づかない恣意的な主張をしてくることがあります。

というのも、任意保険会社は営利組織であるため、自社からの支払金額を少しでも抑えようと考えます。過失割合は支払金額に影響するため、被保険者である相手方の過失割合を減らし、被害者の過失割合が多くなるように算定してくることがあるのです。

過失割合は誰が決める?

そもそも、過失割合は誰が決めるのでしょうか?

過失割合は、加入しているそれぞれの保険会社の介入のもと、当事者により決定されます。

警察は、過失割合の決定には介入しません。過失割合の決定は、民事上の問題(民事不介入)だからです。警察は、事故現場に立ち合い、状況の確認と記録のみを行います。

事故の示談交渉に保険会社が対応している場合、保険会社は判例に基づいて事故状況から過失割合を判断し、通達してきます。ここで、相手側と自分側双方が納得すれば、そこで過失割合が決定します。

ただし、保険会社の判断が実際の事故状況を反映した適正な過失割合でないことも多いでしょう。
判例に基づいているとはいえ、保険会社の判断が本当に妥当なものなのかは慎重に見極める必要があります。

被害者側に「納得のいかない根拠」があるのであれば、安易に保険会社が提示する過失割合に同意してはいけません。

交通事故の判例からどのようにして過失割合が決まったのか解説したこちらの関連記事『交通事故|過失割合の判例7つを解説!過失割合の決まり方』もおすすめです。あわせてご覧ください。

納得してもらえない場合の対処法

相手が過失割合に納得しない場合の主な対処法を紹介します。

示談交渉をする

過失割合に納得できない場合は、示談交渉を行いましょう。

相手方の保険会社が提示してきた過失割合が変更され、示談金の受取額が増えることもあります。

ただし、ご自身だけで保険会社を説得しきるのはむずかしいでしょう。単純に「納得できない」ことを理由に交渉しても意味がありません。主張する過失割合の根拠となるドライブレコーダーや事故現場付近の監視カメラ映像といった客観的な証拠が必要です。

ご自身だけでこのような証拠を収集するのはむずかしいですが、弁護士がついていれば、弁護士という職権を用いて収集が容易になることもあるでしょう。

また、そもそも事故状況を適切に反映した過失割合を導き出すには、専門知識が必要です。交通事故の専門知識を豊富に持つ弁護士に相談するのが望ましいでしょう。弁護士に事故状況や判例を確認してもらい、事故の適正な過失割合を教えてもらいましょう。

再検証を行う(再検証に必要なもの)

判例による過失割合の変更がむずしい場合は、資料を再検証して示談交渉が有利にすすむ証拠を探します。

再検証の際に必要なもの

  • 交通事故現場やケガの状態などの写真
  • ドライブレコーダーや防犯カメラの映像
  • 目撃者の証言
  • 実況見分調書や供述調書 など

たとえばドライブレコーダーで判明した、相手の「明らかな交通ルール違反」や「スピード違反」は修正要素となり得ます。修正要素とは、事故の状況ごとに細かく過失を調整するために用いられる基準のことです。

この修正要素を基に、過失割合を変更できる可能性があります。

裁判なども有効

事故当事者の両者の主張があまりにも食い違って示談交渉で折り合いがつかない場合は、調停やADR、裁判の利用が有効です。

  • 調停
    調停とは、当事者同士の合意によって紛争の解決を図る手続きです。裁判官1名と調停委員2名以上で組織された調停委員会が間に立ち、双方が合意すれば調停成立です。調停が成立したときには、その内容は裁判の判決と同じ効力を発揮します。
  • ADR
    ADRとは、Alternative Dispute Resolution(裁判外紛争解決)の略で、裁判所以外で実施される紛争解決のための手続きのことです。
    「日弁連交通事故相談センター」や「交通事故紛争処理センター」が、ADR機関として有名です。
  • 裁判
    裁判とは、法廷で事故の当事者双方が自身の主張を述べ、証拠を提示し、最終的に裁判官が判決を下す手続きのことです。

示談や裁判を弁護士に任せるメリット3つ

過失割合でもめた場合は、弁護士への依頼をおすすめします。弁護士に依頼するメリットは3つあります。

(1)適正な過失割合がわかる

弁護士に依頼した場合、事故状況の資料や過去の判例から、適正な過失割合がわかります。相手方の任意保険会社が提示してくる過失割合が本当に正しいのか、疑問を解消できるでしょう。

(2)過失割合の変更交渉がスムーズになる

過失割合が本当に適正かを判断するためには、証拠が必要です。事故被害者では手に入れられない証拠も、弁護士職権により集められます。

弁護士に依頼することで、相手方の保険会社の態度が軟化することもあり、過失割合の変更交渉がスムーズになるでしょう。

(3)裁判になっても対応できる

過失割合の交渉が決裂した場合、裁判にもつれこみます。その際、弁護士へ依頼していればスムーズに対応してもらえるでしょう。

交通事故に強い弁護士に依頼する

弁護士といっても、離婚分野に強い、医療関係に強いなど、それぞれ得意な専門分野ごとに活躍していることが多いです。交通事故の場合は、やはり交通事故に強い弁護士に依頼するのがよいでしょう。

交通事故に強い弁護士なら、損害の計算方法や任意保険会社への反論方法などを熟知しています。そのため示談交渉や損害賠償請求訴訟を有利に進められるでしょう。

それでは、交通事故に強い弁護士とは?
その見分け方をご紹介します。

交通事故解決の実績が豊富

ホームページやウェブサイトに、事故の解決実績を掲載している法律事務所があります。相談実績は、解決せずに決着している場合もあるため、必ず「解決実績」から判断しましょう。

交通事故に関する本やコラムを執筆している

多くの弁護士は、得意分野の本やコラムを執筆します。そのため、交通事故に関する本や、コラムを執筆している弁護士は交通事故に強い弁護士と考えられます。

講演歴、メディア出演歴がある

さまざまな交通事故関係のイベントやセミナーで講演している、交通事故に関するメディアへの出演歴のある弁護士は、交通事故に強い弁護士である可能性が高いです。

自分と相性がいい弁護士かどうかもチェックしよう

ここまで、交通事故に強い弁護士の見分け方を紹介しましたが、このような見分け方は一つの指標にすぎません。

弁護士を選ぶ上で、最も大切なことは弁護士との相性です。実際に会って、心から信頼できる交通事故に強い弁護士に依頼することが大切です。

アトム法律事務所では、弁護士による無料相談を実施しています。無料で気軽に弁護士と直接、話せる機会なので、自分との相性も見極めやすいのではないでしょうか。

無料相談はまず下記フォームよりご予約をおとりください。ご予約は24時間365日いつでも受付中です。

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まとめ

交通事故後に、保険会社から提示される過失割合が、常に納得できるものとは限りません。

過失割合が適正でない場合、あなたが損をすることもあります。必ず適正な過失割合での事故解決を目指しましょう。

事故解決のためには、示談交渉や調停、裁判になることも考えられます。

交通事故にあった時は、それだけで心身ともに疲れ切っている状態です。一刻も早く、自身の納得のいく過失割合で決着するために、積極的に弁護士に相談しましょう。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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