交通事故慰謝料の
無料相談はこちら
お気軽にご連絡ください
新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
実は労災で骨折しても「労災保険」からは慰謝料が支払われません。
ただし、会社の安全管理方法に問題があったり、一緒に作業していた同僚の故意や過失によって事故が発生したりした場合には、会社や同僚へ慰謝料を請求できる可能性があります。営業の外回り中などに交通事故にあった場合には、加害者の保険会社にも慰謝料を払ってもらえるケースもあります。
今回は、労災事故で骨折したときに慰謝料請求できる相手や金額の相場について解説します。労災にあって悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
労災に巻き込まれたら、通常は労災保険へ給付金の申請をするものです。
そこで、まずは「労災保険」から慰謝料が支払われるのかみてみましょう。
労災保険は、労働者が労災にあったときに被害を補填するための公的保険です。労災は労働災害の略で、仕事中や業務に起因するけが、病気、後遺障害や死亡などを意味します。通勤退勤中の事故も労災の1種なので、労災保険給付の対象です。
労災で骨折したときに労災保険の申請をすると、状況に応じて以下のような給付金が支給されます。
上記のように、労災保険には「慰謝料」が含まれません。
なぜ労災保険からは慰謝料が払われないのでしょうか?
そもそも「慰謝料」とは何なのか、みてみましょう。
慰謝料は「精神的苦痛に対する賠償金」のことをいいます。労災事故にあうと、被災者は痛みや恐怖、不安などを感じて大きな精神的苦痛を受けるでしょう。その苦痛を和らげるために支払われるのが慰謝料です。
慰謝料は目に見えない損害であり、治療費や休業による損害、介護料、逸失利益などのわかりやすい損失ではありません。人によっても精神的苦痛の程度が異なるでしょう。
こういったことから、労災保険は被災者の精神的苦痛までは補填しないのです。
労災で骨折したときに、労災保険を申請するだけでは補償が不十分となる可能性が高いので注意してください。
労災で骨折したら大きな精神的苦痛を受けるのに、慰謝料を請求できないのは納得できない方が多いでしょう。
実は労災でも慰謝料請求できる可能性があります。
労災事故は被災者の全面的な過失によって起こるものばかりではありません。使用者である企業側がきちんと安全対策を行っていなかったために発生するケースが多々あります。
企業の責任によって労災事故が発生した場合、企業へ損害賠償請求ができます。
企業には法律的にどういった責任が発生するのか、みてみましょう。
企業が従業員を働かせる際、従業員が安全に働けるように労働環境や安全措置を整備しなければなりません。安全措置を行うべき義務は、企業と労働者との雇用契約により、当然発生するものです。このように、企業が労働者の安全に配慮しなければならない義務を「安全配慮義務」といいます。
もしも、企業が安全管理を怠ったために労災事故が発生したら「安全配慮義務違反」が成立するため、企業は損害賠償しなければなりません。その賠償金の中には「慰謝料」も含まれます。
労災で骨折したとき、企業側の安全管理に問題があれば「安全配慮義務違反」を理由に企業へ慰謝料請求できるということです。
一緒に作業をしていた同僚や上司部下の故意や過失で労災事故が発生するケースも少なくありません。その場合、企業には同僚や上司部下の「使用者(雇用者)」としての責任が発生します。これを法律上「使用者責任」といい、使用者は被害者へ賠償金を払わねばなりません。そしてその賠償金には慰謝料が含まれます。
仮に企業が安全配慮を尽くしていたとしても、同僚などの故意過失によって労災事故が発生したら、企業へ慰謝料を請求できると考えましょう。
労災で骨折したとき、一緒に作業していた同僚などの加害者へ慰謝料請求できるケースもあります。
損害賠償金の中には慰謝料も含まれるので、直接の加害者へ損害賠償請求するときにも慰謝料を払ってもらえると考えましょう。
労災事故で骨折したとき、慰謝料はどのくらい請求できるのでしょうか?
事故でけがをしたら、基本的に「傷害慰謝料」が払われます。入通院期間に応じて金額が変わるので、以下でいくつか例をみながら相場を把握しましょう。
骨折すると、治療を受けても症状が完治せずに「後遺症」が残ってしまうケースも少なくありません。その場合、被災者の受ける精神的苦痛はより大きくなるので、別途「後遺障害慰謝料」が支払われます。後遺障害慰謝料の金額は、残った後遺症の内容や程度によって異なります。
基本的に労災の「後遺障害認定基準」を基準に評価するとよいでしょう。労災の後遺障害認定基準では、後遺障害が1~14の等級に分類されています。
(なお労災保険からは慰謝料が払われません。等級認定基準を参考にしつつも、慰謝料自身は企業や加害者へ請求する必要があります。)
等級ごとの後遺障害慰謝料額(相場)は、以下のとおりです。
等級 | 慰謝料 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
労災事故で骨折したら、企業や同僚へ上記の「傷害慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の合計額を請求しましょう。
労災事故が交通事故だった場合、事故の相手(加害者)や保険会社にも慰謝料を請求できる可能性があります。
交通事故が労災になるのは以下のように業務中、通勤や退勤途中に交通事故にあったような場合です。
上記のような事故で骨折したら、「加害者の自動車保険会社(加害者が保険に入っていない場合には加害者本人)」に対して賠償金を請求できます。
自動車保険会社へ請求できる慰謝料の金額は、基本的に上記でご紹介した傷害慰謝料や後遺障害慰謝料と同じです。
ただし、自動車保険には、独自の後遺障害認定制度があるので注意してください。認定要件は労災保険と同じですが認定する機関が異なるため、最終的に認定される等級が労災保険とは違ってくる可能性もあります。自動車保険(自賠責保険)で後遺障害認定されないと、後遺障害慰謝料は払ってもらえません。
交通事故が労災になる場合、労災保険と自動車保険はどのような関係になるのでしょうか?
交通事故が労災になると、労災保険と自動車保険の両方が適用されます。
しかし、「両方とも満額受け取れる」わけではありません。これらの2つの保険には「重複する部分」があるからです。
重複する補償を両方受け取ると、被災者は「2重取り」ができてしまい「事故にあわなかった場合より得をしてしまう」結果となります。そういった不合理なことは認められません。補償が重複するときには、被災者はどちらか一方しか受け取れないと考えましょう。
たとえば、治療費などはどちらか一方からしか支払を受けられません。労災保険には限度額がなく、保険会社からの打ち切りの心配などもないので、治療を受けるなら労災保険を選択するようお勧めします。
労災保険と自動車保険が重複しない部分として、以下のようなものがあります。
労災で骨折したときには、企業(使用者)や同僚などの直接の加害者、交通事故の相手方や保険会社などさまざまな相手に慰謝料請求できる可能性があります。
状況により、とるべき対処方法が異なるので、素人の方には判断が困難でしょう。迷ったときには、一度労災や交通事故にくわしい弁護士に相談してみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了