交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
高齢者が交通事故被害にあい、後遺障害が残った場合、逸失利益を認めてもらえるのか、逸失利益の額はいくらになるのか調査してみました。
高齢の被害者に後遺障害が残った場合、被害者が事故当時、実際に仕事をして収入を得ていれば、逸失利益が認められることに問題はないようです。
一方、高齢者が事故当時に無職の場合に、逸失利益を認めてもらうのはハードルが高いようです。裁判で無職の高齢者について逸失利益を認めてもらうためには、過去の就労実績と、今後の就労の蓋然性の2点が重要なポイントになるとのことです。
実際の裁判例でも、この2点で逸失利益の有無が判断されているようです。以下の表の3つ目の事例のように、具体的な就労予定がある場合にしか、基本的に逸失利益を認めてくれないんだそう。
実際に、逸失利益を認めてもらえるかどうか気になる場合には、弁護士さんに一度相談してみるといいですね。
(高齢者の逸失利益の裁判例)
年齢 |
被害者の属性 |
結論 |
69歳 |
男性・事故の前年に米穀店を廃業 |
逸失利益を否定 |
77歳 |
男性・事故当時無職で生活保護を受けていた |
逸失利益を否定 |
69歳 |
男性・技術を有し具体的な就職予定があった | 男性68歳の平均385万円を基礎収入とした |
高齢者って、あまり長い期間は働けなさそうですけど、労働期間はどうやって決めるんですか!?
高齢者の将来の就労期間は、平均余命の2分の1と67歳までの期間のうち、長い方を採用するとのことです。
たとえば、60歳の男性を例にとると、平均余命(23.14歳)の2分の1は11.57であり、67歳までの年数は7年であるため、就労可能期間は11.57年の小数点以下を切り捨てた11年間になるようです。
(まとめ表)
年齢 |
就労可能期間 |
68歳以上 |
平均余命の2分の1 |
67歳以下 |
67歳までの期間と平均余命の2分の1とを比較した長期 |
なお、平均余命と混同しがちな概念として平均寿命があります。平均寿命とは、0歳の子が何歳まで生存するかの平均値であるのに対し、平均余命は各年齢ごとに、あと何年生存するかの平均値を示したものであり、全く異なる概念なんだそうです。
平均寿命 |
平均余命 |
0歳の子が平均して何歳まで生存するかの指標。女性の平均寿命は86歳。 | 各年齢の人が、平均してあと何年生存するかの指標。たとえば90歳女性の平均余命は5.53年。 |
高齢者で自営業をしている場合は、どうやって逸失利益を計算するんですか?
高齢の被害者が自営業の仕事をしている場合、逸失利益をどのように計算するのでしょう?
弁護士さんによれば、事故の前年度の確定申告による所得額を基準に収入額を把握するのが原則なのだそうです。
ただし、確定申告では、節税のために経費額を過大に計上したり、売上高を少なめに申告したりすることがあり、現実の収入を反映していないことがあるそうです。
このような場合、税法に違反するかどうかは別として、交通事故の裁判では、申告所得以上の収入を個別に立証できれば、立証された収入を基礎として逸失利益を計算してもらえるそうです。
また、高齢者が無職の場合であっても、家族と同居して家事を分担していることがあります。このような場合には、主婦に逸失利益が認められることとの均衡で、高齢者にも賃金センサスを参考にしつつ、一部逸失利益を認めてもらえることがあるそうです。
(まとめ表)
自営業の高齢者 | 原則として申告所得額が基礎収入となる。それ以上の収入を立証できれば加算されることあり。 |
家事を分担する高齢者 | 年齢別賃金センサスを基準にして、家事分担の割合に応じた収入を認めてもらえることあり。 |
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了