交通事故慰謝料の
無料相談はこちら
お気軽にご連絡ください
更新日:
新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の相手が任意保険未加入の場合、被害者が不利益を受けるリスクが高くなるので注意が必要です。
不誠実な相手で無視されたら、示談を進めることもままなりません。
今回は、事故の相手が任意保険未加入だった場合に被害者がどうすればよいのか、解説します。
相手が無保険でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
任意保険は、ドライバーが交通事故に備えて自ら選んで加入する自動車保険です。
自賠責保険は法律上必ず加入しなければならない「強制保険」ですが、任意保険への加入は自由です。任意保険に加入しなくても、罰則はありません。
任意保険に加入すると、自賠責保険でまかなえない損害が補填されます。たとえば、物損事故は自賠責保険の支払い対象になりませんが、任意保険の対物賠償責任保険に入っていれば、保険金が支払われるのでメリットがあるでしょう。
人身事故の場合、自賠責保険には限度額が設定されていて全額の補償に足りないケースがよくあります。そういった場合、任意保険の対人賠償責任保険に入っていれば、不足分の支払を受けられるので安心です。
任意保険の未加入率は、以下の通りです。
交通事故にあったとき、相手が四輪自動車なら20%の確率で相手が任意保険に入っていない可能性があるといえます。
加害者が任意保険未加入の場合、示談交渉が難航するリスクが高まるので注意しましょう。
加害者が任意保険に未加入の場合、示談交渉でどういったリスクが発生するのでしょうか?
任意保険の対人賠償責任保険や対物賠償責任保険には「示談代行サービス」がついています。加害者が任意保険に入っていれば、保険会社が示談交渉を代行するので加害者本人と連絡をとりあう必要はありません。
しかし、任意保険未加入の場合、保険会社が示談交渉を代行しないので、加害者を直接話し合う必要があります。加害者本人が誠実に対応しなければ、示談交渉を進めるのが困難になるでしょう。無視されて連絡すらとれないケースも少なくありません。
相手と直接交渉するケースについて詳しくはこちらの関連記事『交通事故の示談交渉は自分でもできるのか?』でも解説しています。
加害者が任意保険に入っていない場合、補償を受けられないリスクも高くなります。
相手が任意保険に入っていれば保険会社がほぼ確実に示談金を払ってくれますが、加害者本人には支払能力がない場合も少なくありません。資産も収入もない相手であれば、裁判を起こしても取り立てに失敗します。加害者が開き直って「賠償金は支払わない」などと言ってくるケースもあるでしょう。
加害者が任意保険未加入のケースでは、示談が成立しても約束が守られないリスクがあります。
保険会社が相手であれば、示談が成立したら通常1~2週間の間には示談金が一括で振り込まれるものです。しかし、加害者本人は約束を守るとは限りません。
特に、分割払いになれば途中で支払を止めてしまうケースも多いでしょう。
加害者が任意保険に未加入でも「自賠責保険」を適用できる可能性があります。
自賠責保険が適用されるのは、「人身事故」のみです。
人身事故とは被害者がケガをしたり死亡したりした事故のことをいいます。自賠責保険からは、人身事故に関する以下のような補償が支払われます。
自賠責保険からは、損害の全額を補填してもらえるとは限りません。「限度額」があるからです。限度額を超える損害が発生しても限度額までしか支払われないため、補償が不足するケースも少なくありません。
たとえば、通常の人身事故であれば限度額は120万円です。治療費や休業損害などを合わせると、すぐに超えてしまう金額でしょう。自賠責保険はあくまで最低限の補償を行うものであり、万全ではないので注意が必要です。
物損には自賠責保険が適用されません。
車が壊れたとき、修理費用や買い換え費用などの損害は、加害者へ直接請求するしかないのです。
加害者が支払わない場合には訴訟を起こす必要がありますし、支払能力がなければ取り立てができないリスクも発生します。
まれに、加害者が任意保険だけではなく「自賠責保険にも未加入」のケースがあります。
自賠責保険は強制加入なので、ほとんどすべてのドライバーが加入しているはず。しかし、まれに法律違反で自賠責に加入していない人も存在します。
相手が自賠責保険にも加入していなければ、人身損害についても自賠責による最低限の補償すら受けられません。加害者へ賠償を求める必要がありますが、自賠責保険にも入っていないような相手がきちんと賠償金を払うかどうかは大きな疑問が残ります。
相手が任意保険へ未加入の場合、事故現場で以下のように対応しましょう。
まずはけが人がいないか確認し、けが人がいれば応急処置を行いましょう。必要に応じて救急車を呼んでください。
次に必ず警察を呼びましょう。任意保険に入っていない相手が「警察を呼ばないでこの場で示談したい」などといってきても応じてはなりません。警察を呼ばないと道路交通法違反になります。
相手が任意保険未加入の場合、相手と直接示談交渉しなければなりません。必ず住所や氏名、連絡先を聞いておきましょう。また自賠責保険会社も確認しておく必要があります。
事故現場の状況について争いが発生する可能性があるので、証拠保全しましょう。写真を撮影したりメモをとったりして、現場に目撃者がいたら連絡先を聞いておいてください。
自分がケガをしていたら、必ず事故直後に病院へ行って診察を受けましょう。病院に通わなければ、加害者側へ治療費や休業損害、慰謝料などを請求できません。事故現場で痛みを自覚していなくても必ず医師に診てもらって状態を確認してもらってください。
事故の加害者が任意保険に未加入の場合、以下のように対応すれば不利益を受けるリスクが低減します。
加害者が任意保険に入っていなくても、通常は自賠責保険に加入しているものです。
その場合、自賠責保険へ「被害者請求」しましょう。
被害者請求とは、被害者が自ら自賠責保険や共済へ保険金(共済金)を請求すること。治療費、休業損害、慰謝料や逸失利益など最低限の支払をしてもらえます。
被害者請求について詳しくはこちらの関連記事『交通事故で被害者請求はすべき?手続きの方法や必要書類、限度額もわかる』をご覧ください。
物損や自賠責保険の限度を超える人身損害については、加害者へ直接請求しなければなりません。相手に電話やメール、郵便などで連絡をして交渉を行いましょう。無視されるなど不誠実な態度をとられたら、内容証明郵便で損害賠償請求書を送ってみてください。
それでも相手が対応しない場合、弁護士に相談して示談交渉の代行を依頼すると相手の態度が変わる可能性があります。
加害者との示談が成立したら、必ず「示談書」を作成しましょう。以下の内容を書き込んでください。
加害者と被害者の双方が署名押印すれば、示談書が完成します。
加害者本人と示談するときには、示談書を公正証書にしましょう。
公正証書があれば、相手が約束を破ったとき、すぐに給料や預貯金を差し押さえて賠償金を回収できます。特に示談金を分割払いにすると不払いリスクが高まるので、必ず公正証書を作成しましょう。
公正証書は、お近くの公証役場で作成してもらえます。まずは申込みをして、日程調整のうえ加害者と被害者がそろって公証役場を訪れ、用意されている書面に署名押印すれば完成します。
ただし、公正証書を作成するには相手の同意が必要です。示談の際に必要性を示して納得させましょう。
示談書についてはこちらの関連記事『交通事故の示談書|記載項目やテンプレ』でも詳しく解説しています。
相手や自賠責保険から充分な補償を受けられない場合、被害者が加入している保険を利用しましょう。
これらの保険は、被保険者や同乗者、家族が人身事故にあったときに補償を受けられるものです。
人身傷害補償保険からは実際に発生した損害ベースで保険金が支払われます。
搭乗者傷害保険の保険金は「入院1日いくら」などの定額計算です。
どちらにしても、相手が無保険で支払をしてもらえない状況であれば、心強いでしょう。
相手が無保険の場合や保険に入っていても適用されない場合、ひき逃げの場合などに適用される保険です。
死亡や後遺障害が残った事故が対象で、限度額は2億円。後遺障害が残らない人身事故や物損事故は対象外です。
人身傷害補償保険が適用される場合には、重複するため適用されません。
自分の車両の物損については「車両保険」を適用して修理する方法があります。
ただし、車両保険には免責額がありますし、利用すると保険等級も下がってしまうので有利になるとは限りません。
次年度からの保険料負担なども確認し、適用するかどうかを判断しましょう。
相手が無保険の交通事故にあったとき、弁護士費用特約をつけているなら、必ず利用しましょう。
弁護士に依頼すれば、相手との示談交渉や訴訟などのすべての手続きを任せられます。万一相手の資力不足で支払を受けられなくても、弁護士費用で足が出る可能性はありません。
事故にあったら自分や家族の自動車保険の内容を確認してみてください。
弁護士費用や弁護士費用特約については、こちらの関連記事『交通事故の弁護士費用相場・弁護士費用特約がわかる』でさらに詳しく解説しています。
相手が任意保険未加入の場合、自己判断で動くと不利益を受けるリスクが高まります。
弁護士の力を借りて、できるだけ有利に示談交渉を進めましょう。
当事務所では交通事故に力を入れて取り組んでいますので、よければ一度ご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了