交通事故慰謝料の
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故により仕事ができなくなれば給料が得られなくなるので、生活費の捻出が困難となってしまう恐れがあります。
このような事態を防ぐために、休業補償制度の利用や休業損害の請求を行いましょう。
休業補償と休業損害は似たような制度であるため、制度の違いや請求方法を理解していないと正しい補償を得られない恐れがります。
本記事では、休業補償と休業損害の請求方法や計算方法を解説し、両制度の正しい利用方法を紹介しているので、交通事故のケガにより給料が心配な方は是非ご覧ください。
休業補償と休業損害は、どちらもケガにより仕事ができなくなったことにより生じる損害を補てんするという点で共通していますが、給付の対象や計算方法が異なる別制度です。
名称や制度内容が似ているため、混同しないよう注意してください。
両制度の主な違いは以下のようになります。
休業補償とは、労働者の業務上や通勤中に発生した傷害によって仕事ができなくなった際の損害を対象とした労災保険による給付をいいます。
業務上や通勤中に傷害が発生することが前提となっているので、サラリーマン、アルバイト、パートタイマーなどの雇用契約のもとで仕事をしている人でなくてはなりません。
そのため、仕事をしていない専業主婦や学生、雇用契約により働いてはいない自営業者などは対象外となります。
休業損害とは、交通事故により生じたケガによって仕事ができなくなったことで生じた損害を対象とした自賠責保険による給付をいいます。
交通事故により生じた損害であることを条件とするので、職業を問わないことから、雇用関係のない自営業者でも請求が可能です。
また、家事労働ができなくなることによる損害も対象となることから、専業主婦(専業主夫を含む)も請求の対象となります。
両制度からの二重取りはできないため、どちらかの制度により給付を受けた後にもう一方の制度を利用する場合は、すでに給付を受けた部分を差し引いて請求することになるのです。
休業補償と休業損害の違い
まず、請求の対象となるのが業務上や通勤中に生じたケガのため、業務上や通勤中とは具体的にどのようなケースであるのかを知っておく必要があります。
業務上において生じたケガである場合には、業務災害として休業補償の対象となります。
業務上といえるためには、業務遂行性と業務起因性に該当する事案であることを立証する必要があるのです。
具体的には、以下のような事実となります。
業務遂行性
労働者が労働契約にもとづいた事業主の支配下にある状態にあること。
休憩時間や作業の準備中、出張による外出中も支配下に該当しうる。
業務起因性
業務と発生したケガの間に因果関係が必要となります。
業務上行われるべき行為によってケガが発生したといえなければならないので、通常想定しえない行為を行った結果としてケガが発生した場合には認められないでしょう。
通勤中にケガが発生した場合は、通勤災害として休業補償の請求が可能となります。
通勤中に該当すると判断されるためには、以下のような事実が必要です。
移動経路が合理的なものでなければならないので、業務とは関係のない寄り道を行っている場合には対象外となります。
事業主である会社に対して休業補償給付を受けたい旨を伝えましょう。
会社の総務課に伝えれば、必要な書類を用意してくれるはずです。
必要書類に事業主の署名と押印をもらったうえで、一般的に会社経由で労働基準監督署への提出が行われます。
審査のうえで要件を満たしている場合には、1ヶ月程度で支給決定の通知がなされ、実際の支給となるでしょう。
会社が労災ではないと判断して協力してくれない場合には、被害者自身による請求を行って下さい。
具体的な請求方法や書類の記載内容については、専門家である弁護士に確認を取りましょう。
休業補償は以下の計算式にもとづいて算出されます。
給付基礎日額×0.6×休業日数
給付基礎日額とは、原則として事故前3ヶ月間の賃金を日額に換算したものです。
季節により給与額の変動額が大きい場合には、前年度の収入額を参考とする場合があります。
休業日数については、治療のために現実に休業した日数が対象です。
対象となる休業期間は、ケガが完治、または、これ以上は治療の効果が望めないという症状固定の段階になったと医師が判断するまでになります。
休業の開始から3日間は待期期間となり、4日目からが支給の対象です。
ただし、労働基準法により、業務災害であれば待期期間中について事業主に補償義務が認められているので、会社から待期期間中の休業補償をもらえます。
休業補償とは別に、労災保険からは給付基礎日額の20%分について休業特別支給金が給付されるので、実質として給付基礎日額の80%を受け取ることが可能です。
休業補償の請求について
休業補償は給与の一部を負担するに限るので、不足分について休業損害により請求することが可能な場合があります。
休業損害の請求方法や計算方法について解説しているので、休業補償の金額と比較し、休業損害の請求が可能かどうかを検討してください。
休業損害の請求は、加害者が加入している自賠責保険に対して行うことが可能です。
また、加害者が任意の自動車保険に加入しているのであれば、加害者側の任意保険会社にも請求することができます。
加害者が任意保険に加入しているのであれば、任意保険会社に対する請求を行うべきでしょう。
任意保険は自賠責保険では補償されない部分を補償することを対価として保険料を得てるので、任意保険会社に請求した方が得られる金額が大きくなります。
また、自賠責保険への請求で不足が生じたのであれば任意保険会社に不足分の請求が必要となることからも、任意保険会社に請求を行い二度手間になることを防ぐべきです。
自賠責保険と任意保険で計算方法が異なるため、それぞれの計算方法を説明します。
自賠責保険に請求した場合には、以下の計算式で算出された金額が支払われます。
日額6100円×休業日数
2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合は日額5700円とする
ただし、収入の日額が6100円を超えることを証拠資料により明らかにした場合には、日額を1万9000円を上限として増額することが可能です。
源泉徴収票や確定申告書類などから適切な金額を証明しましょう。
具体的な金額は、自賠責調査事務所の調査結果により決まります。
しかし、休業損害の請求には限度額が存在します。
具体的には、休業損害は以下の金額を含めて合計120万円までしか請求することができません。
長期の入院や通院が必要となり治療期間が長引いた場合には、休業損害以外に請求できる費用も高額になるので、120万円の限度額に引っかかる可能性が高いでしょう。
また、交通事故の原因として被害者に重大な過失が存在すると認定された場合には、過失の程度に応じて請求できる金額が減少します。
具体的な限度額は以下の通りです。
被害者の過失 | 後遺障害/死亡 | 傷害 |
---|---|---|
7割~8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割~9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
9割~10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
ケガが完治せずに残った後遺症が後遺障害に該当すると認定された場合や、被害者が死亡した場合には「後遺障害/死亡」が適用されます。
任意保険会社に請求を行うと、任意保険会社が独自に定めている計算基準により算出された金額を支払うと任意保険会社から提案してくるでしょう。
しかし、任意保険会社は少しでも支払う金額を安くしたいと考えているため、提案額は相場の金額より低額となることが大半です。
そのため、被害者側としては以下の計算式で算出された金額を支払いを求めましょう。
基礎収入×休業日数
基礎収入は、基本的に事故前の3ヶ月間の平均賃金額です。
月ごとの収入に大きな変動がある場合には、前年の収入といった長期間の平均額とすることがあります。
休業日数は、休業補償や自賠責保険への請求の場合と同様に、治療のために実際に休業した日数です。
ケガの内容や程度、治療内容、被害者の業務内容などを考慮して日数が決まるでしょう。
治療のために有給休暇を使用した場合も、休業日数に含めて判断してください。
休業したことにより、賞与の支給額が減少した、昇給が遅れたというような損害の発生を証明した場合には、休業損害として別途請求可能です。
被害者がケガを原因とする入通院や欠勤を理由に勤務先を退職、または解雇となった場合には、休業中の減収分について請求することが可能な場合があります。
任意保険会社に請求する場合も、被害者の過失割合に応じて請求額が減少します。
任意保険会社が相手方の場合には、互いの過失割合を決定し、割合に応じて減額するため、少しでも過失があれば減額となるので注意してください。
休業補償 | 休業損害 | |
---|---|---|
請求先 | 労災保険 | 自賠責保険 任意保険 |
請求対象 | 業務上、通勤中のケガ | 休業による損害 |
計算方法 | 給与基礎日額の60%×休業日数 | 基礎収入×休業日数 |
過失による減額 | 減額無し | 減額あり |
どちらの制度をどの程度利用するのが適切なのかどうかは、専門家である弁護士に相談するべきでしょう。
休業損害の請求について
休業補償や休業損害を請求する際には、休業により生じた損害以外に損害賠償請求が可能なものについて同時に請求を行うでしょう。
請求の際には、何がいくら請求できるのか、どのような方法で請求することができるのかという点を知っておく必要があります。
交通事故被害者が請求可能な内容や請求方法について気を付けるべきポイントを紹介しているので、これから加害者への請求を検討している方は確認してください。
休業補償以外にも、労災保険にもとづいて以下のような請求が可能です。
障害年金や傷病年金の金額は、障害や傷病の程度に対応して認定される等級により異なります。
休業補償の給付を申請する際に、これらの給付についても検討しましょう。
休業損害以外に加害者に請求できる損害は、以下の3種類に分けることができます。
それぞれの詳細な請求内容は以下の通りです。
積極損害
消極損害
慰謝料
上記の内、請求可能な損害額の合計を加害者側に請求することになるでしょう。
慰謝料の相場額については、自動計算機を利用で確認することが可能です。
交通事故における加害者に対する損害賠償請求の多くは、示談交渉における話し合いにより解決します。
示談交渉では、当事者が互いに以下の3つの計算基準のうちから算出された金額の支払いを求めることになるでしょう。
自賠責基準
自賠責保険に対して請求を行った場合に、自賠責保険が支払う損害賠償金額を算出する際に利用する計算基準
任意保険基準
任意保険会社が支払うと提示する損害賠償金を算出する際に利用する任意保険独自の計算基準
裁判基準
裁判において損害賠償金額を算出する際に利用する計算基準
弁護士が請求を行う際にも利用するため弁護士基準とも呼ばれる
裁判で請求が認められる金額こそ本来請求できる適正な金額であるため、裁判基準により算出された金額が相場額といえます。
そのため、被害者側は裁判基準により算出された損害賠償金額の支払いを求めることになるでしょう。
相場額の計算方法については、赤い本と呼ばれている民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準という書籍で知ることが可能です。
一方、自賠責基準や任意保険基準で算出される金額は相場額より低額になるので、加害者側はこれらの計算基準で算出された金額を示談金として支払うという交渉をしてきます。
加害者の多くが任意保険に加入していることから、示談交渉の相手方は任意保険会社の担当者となるので、担当者が任意保険基準により算出された金額の支払いを提案してくるでしょう。
そのため、示談交渉において納得のいく示談金を得るためには、被害者側からの増額交渉が欠かせません。
示談交渉は話し合いによる解決方法であるため、当事者間の合意が必要となります。
そのため、主張が折り合わず、当事者間の合意が得られない場合には示談成立とはならないので、他の手段による解決が必要です。
他の解決方法は基本的に公的機関を通して行うというものになります。
ADR機関とは、仲介人を通して話し合いによる解決を図る場所を提供してくれる機関です。
交通事故に関するADR機関には、以下のような場所があります。
ADR機関が紹介した仲介人に対して当事者がそれぞれの主張を行い、仲介人が解決案を提案してくれます。
無料で利用可能であり、裁判を行うより早期に解決する可能性が高いので、気軽に利用することができるでしょう。
また、仲介人の解決案は裁判基準に近い金額になることが多いので、被害者側にとって妥当な解決案である可能性が高いといえます。
もっとも、示談交渉と同様に当事者間の合意が必要なため、示談交渉の時点で主張内容に大きな違いがある場合には、おすすめできません。
裁判所に訴訟を提起したのであれば、当事者の合意がなくても判決により損害賠償金額が決定されます。
しかし、裁判手続きは専門知識が必要となる複雑な手続きであるため、法律知識が不十分な人が行うと、納得のいく判決内容とならない可能性が高いでしょう。
そのため、裁判により解決を図るのであれば、専門家である弁護士への依頼を行うべきです。
請求する際の注意点
相場の休業補償や休業損害などを取得するためには、専門家である弁護士に依頼することが相当といえる場面があります。
弁護士に依頼することで生じるメリットや、デメリットである弁護士費用を抑える方法などを紹介しているので、弁護士への依頼を検討している方は確認してください。
休業補償を受けるには、労災保険制度を利用した請求が必要となります。
しかし、労災保険制度の利用は簡単ではなく、会社の協力がない場合にはケガの治療やリハビリをしながら自分自身で行わなくてはなりません。
弁護士に依頼すれば、休業補償をはじめとする労災保険制度の利用方法や書類に記入する内容についてアドバイスを受けることが可能です。
労災保険制度の利用方法がよくわからない、納得のいく金額を確実に得たいという場合には、弁護士に依頼すべきでしょう。
示談交渉では、話し合いにより休業損害や慰謝料などの金額を決定し、決められた金額を示談金として加害者が被害者に支払うこととなります。
しかし、加害者側は少しでも低い金額で示談したいと考えるので、示談交渉で提案する金額は相場よりも低額になるでしょう。
そのため、被害者側からの増額交渉が必要となりますが、法律知識が不十分な状態では適切な交渉を行えない可能性が高くなります。
特に、加害者が任意保険に加入していると、示談交渉の相手方は示談経験が豊富な任意保険会社の担当者となるので、簡単にはいきません。
弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらえば、相場に近い金額まで増額となる可能性が高まります。
なぜなら、弁護士がついている状態で示談交渉が不成立になると訴訟提起が行われ、裁判により休業損害や慰謝料の金額が決められることが多くなるでしょう。
裁判では裁判基準にもとづいた相場に近い金額を加害者が支払うという内容の判決がなされる状況になる可能性が高いので、増額交渉に応じて示談交渉により解決した方が加害者側にとって利益となるのです。
したがって、示談交渉において相場額の休業損害や慰謝料を得たい場合には、弁護士に依頼しましょう。
加害者に休業損害や慰謝料を請求するには、加害者や加害者の加入している任意保険会社と連絡を取り合う必要があります。
しかし、ケガの治療や労災保険制度を利用する準備をしている最中に加害者からの連絡に対応することはストレスとなり、連絡を取りたくないために示談金額を妥協してしまう恐れもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば連絡の窓口となってくれるので、被害者が加害者からの連絡を取らずに済むようになるため、ケガの治療や労災保険制度の利用に専念することが可能です。
弁護士に依頼する際には、弁護士に支払うお金がいくらになるのかという点が気になる方が多いのではないでしょうか。
弁護士費用については、弁護士費用特約が利用できないかどうかを確認してください。
弁護士費用特約が利用できるのであれば、基本的に相談料は10万円まで、報酬は300万円まで保険会社が負担してくれます。
弁護士費用の負担がかなり軽くなるので、弁護士に依頼すべきでしょう。
しかし、休業補償の対象となる業務上や通勤中の交通事故では、弁護士費用特約が利用できない可能性があるので、利用範囲について弁護士に確認を取っておくことをおすすめします。
無料法律相談を行っている法律事務所であれば、金銭的な負担なく判断が可能です。
弁護士に依頼する場合には、交通事故事件を多く取り扱っている弁護士に依頼しましょう。
過去の経験から適切な手続きを理解しているので、個別の事情に対応しつつ、納得のいく休業補償や休業損害の請求を行ってくれます。
アトム法律事務所は交通事故事件を今まで多く取り扱ってきているので、交通事故事件の経験が豊富な弁護士に依頼することが可能です。
無料相談が可能なため、一度気軽にご連絡のうえ、依頼すべきかどうかご判断ください。
無料相談の連絡は、電話だけでなくメールやLINEでも可能であり、24時間受け付けています。
弁護士に依頼するメリット
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了