バイクの交通事故は示談交渉で揉めやすい?損しないための対処法

更新日:

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

バイクと自動車の交通事故の場合、必ず自動車のほうが過失割合は高くなるのでしょうか?

バイクと自動車の交通事故における過失割合は、基本的にバイクの方が低いですが、事故の状況によってバイクの方が高くなることもあります。

この記事では、バイクと自動車の交通事故に遭ってしまった場合の過失割合の決め方と基準、不利な交渉をされたときの対処方法について解説しています。

自動車とバイクの交通事故ではどっちが有利?

有利なのはバイクだが一定の過失もあるのが通常

自動車とバイクによる交通事故において、過失割合を決める際にはバイクが有利といえます。

二輪しかないバイクは安定性にかける上、運転者は頭以外保護されておらず、大きな怪我を負う可能性が高いです。また、自動車よりも小さいバイクは、事故の回避がしにくいものです。そのため、過失割合においてバイクは保護されるべきと考えられています。

ただし、バイクの方が有利といっても過失が0と判断されるケースは少なく、バイク運転者にもある程度の過失は認定されることになるでしょう。

過失割合は誰が決めるのか

過失割合とは、交通事故が発生することになった責任を数値で表したものです。過失割合は、示談交渉の中で当事者の話し合いによって決めます。任意の保険会社に加入している場合は、保険会社同士の示談交渉で、過去の交通事故案件の裁判例を基準にしながら決められます。

損害保険料率算出機構「2020年度 自動車保険の概況」によると、二輪車を保有する人のうち対人賠償の任意保険に加入する割合は43.8%にとどまっていることがわかります。つまり、バイク運転者の半分以上は任意保険に入っていないことが多いため、被害者であるバイク運転者本人と、加害者側の保険会社との間で話し合うことが多くなるでしょう。

しかし、このような場合、加害者側の保険会社は、被害者側の過失割合を高めに提示してくることがあります。

事故状況を正確に反映できている過失割合ならば受け入れざるを得ないですが、適正な過失割合でないのなら安易に合意しないようにしましょう。
過失割合が高くつけばつくほど、最終的に手に入る損害賠償金が少なくなってしまいます。

加害者側の保険会社が提示する過失割合に納得がいかない場合、弁護士に相談することをおすすめします。示談交渉は一度でも成立してしまうと、覆すことはむずかしいです。弁護士に依頼して交渉してもらい、損しないようにしましょう。

バイクの交通事故で過失割合を決定する要素とは

過失割合を決定する3つの要素

自動車とバイクの交通事故で過失割合を決定する要素には以下の3つの要素があります。

  1. 交差点で起こった事故か
  2. 信号機はあったか
  3. 信号機は何色が灯っていたか

交差点の場合、道路交通法第37条第1項において「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」とされています。
つまり、交差点に置いて優先されるべき順番は、1 直進車、2 左折車、3 右折車の順となり、このルールを遵守していたかどうかが、過失割合を決める上で、非常に重要なポイントになります。

また、信号機があったかどうか、あった場合は信号機の指示に従ったかどうかも過失割合を決定する非常に大きな要素のひとつです。たとえば、信号無視をした場合、過失割合は非常に高くなります。黄色も停止するのが原則なので、黄色で交差点に侵入して事故になったら、赤色のときほどではないものの、バイク側の過失割合は高くなることもあります。

信号機のない交差点だった場合は、交差点進入時に減速したかどうか、交差点以外の場合はその場所の交通ルールを遵守したかどうかがポイントになります。

いずれの場合も、バイクは自動車よりも事故回避責任が低いとされ、過失割合は自動車よりも低くなることが多いです。

過失割合は事故の状況でも違ってくる

過失割合は、事故を起こした場所や状況によって違ってきます。それぞれの場合で遵守すべき交通ルールに従っていたかが大きなポイントになり、過去の裁判例から基本の過失割合が決められます。

ここでは、東京地裁民事交通訴訟研究会編著の「別冊判例タイムズ38」より抜粋の、バイクと自動車の過失割合の早見表を状況別に掲載しています。ご自身の状況に照らして参考にしてください。(基本の過失割合で、割合は%で示しています。)

1 信号機有りの交差点、バイク:直進、自動車:直進の場合

進入状況バイク自動車
バイク(青)・自動車(赤)0100
バイク(赤)・自動車(青)1000
バイク(黄)・自動車(赤)1090
バイク(赤)・自動車(黄)7030
両方とも赤で進入4060

2 信号機有りの交差点、バイク:右折、自動車:直進の場合

進入状況バイク自動車
両方とも青で進入7030
バイク(青で進入・黄で右折)・自動車(黄)2575
両方とも黄で進入5050
バイク(青で進入・赤で右折)・自動車(赤)1090
バイク(黄で進入・赤で右折)・自動車(赤)2080
バイク(右折の青矢印信号)・自動車(赤)0100
両方とも赤で進入4060

3 信号機有りの交差点、バイク:直進、自動車:右折の場合

進入状況バイク自動車
両方とも青で進入1585
バイク(黄)・自動車(青で進入・黄で右折)6040
両方とも黄で進入3070
バイク(赤)・自動車(青で進入・赤で右折)8020
バイク(赤)・自動車(黄で進入・赤で右折)6040
バイク(赤)・自動車(右折の青矢印信号)1000
両方とも赤で進入4060

4 信号機無しの交差点・同じ道幅、バイク:左方、自動車:右方の場合

進入状況バイク自動車
両方とも同速度3070
バイク(減速)・自動車(減速なし)1585
バイク(減速なし)・自動車(減速)4555

5 信号機無しの交差点・同じ道幅、バイク:右方、自動車:左方の場合

進入状況バイク自動車
両方とも同速度5050
バイク(減速)・自動車(減速なし)3565
バイク(減速なし)・自動車(減速)6040

6 正面衝突・追突・巻き込みの場合

進入状況バイク自動車
自動車がセンターラインを越えてきて正面衝突0100
バイクに自動車が追突※2080
自動車にバイクが追突※6040
巻き込み事故2080

※被追突車が不要な急ブレーキを踏んだなどの場合

7 その他の場合

進入状況バイク自動車
バイクが優先道路1090
自動車が優先道路7030
バイクの一方通行違反7030
自動車の一方通行違反1090

こちらで紹介した過失割合は、基本の過失割合に過ぎないので注意しましょう。事故の状況に応じて基本の過失割合に修正要素などが加えられて、過失割合は決まっていきます。

過失割合ではもめることが多い

過失割合は、加害者側の保険会社との示談交渉の中で決められますが、もめることも少なくありません。任意保険に入っていない場合は自身で交渉しなければなりません。加害者側の保険会社の提示する過失割合に納得がいかない場合、交渉は難航します。特に損害金額が大きい場合は過失割合が金額に与える影響も大きいので、あきらめずに交渉すべきです。

一度でも示談が成立してしまえば、無効にすることは極めてむずかしいです。弁護士に相談すれば、過去の裁判例から適切な過失割合を示して交渉してもらえるので、不利な過失割合になることはありません。

また、示談交渉が難航し、裁判に発展することもあるでしょう。裁判ではより法律の専門知識が必要になってくるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故に詳しい弁護士に相談する

バイクと自動車の事故の場合、バイク運転者の怪我が重いことが多く、損害賠償金額も高額になるケースが多いです。万が一後遺障害が残ってしまったら、その分の賠償や慰謝料も請求する必要があり、その場合の賠償金額はさらに高額になります。金額が高額になればなるほど、不利な過失割合のまま進められてしまうと、損をする金額も大きくなります。

バイク事故で損をしないためにも、交通事故に詳しい弁護士に相談するのが一番です。

交通事故に強い弁護士とは、数多くの交通事故案件を扱った実績があり、専門知識の豊富な弁護士のことです。法律以外に医療知識や保険についての知識が必要な交通事故案件は特殊な分野ともいえます。

多くの交通事故案件に対応してきた弁護士ならノウハウも豊富ですし、示談交渉がまとまらず裁判になった場合でも対応してもらえます。

法律相談

ご希望される方は

こちら

まとめ

バイクと自動車の交通事故の場合、過失割合の配分においてバイクの方が有利な傾向にあります。しかし、バイク運転者の多くは任意保険に加入しておらず、加害者側の保険会社との示談交渉を自分でやる必要があります。

そのため、納得のいかない過失割合を提示された場合、交渉が難航しがちです。バイク事故の場合は怪我の程度も重くなりやすく、その分賠償金額も大きいので、不利な過失割合を受け容れてしまうと、かなり損をすることになります。そのような事態を避けるためにも、バイク事故に遭った場合の示談交渉は弁護士に相談しましょう。

シェアする

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

あわせて読みたい記事