交通事故案件を扱う弁護士の探し方|示談交渉を弁護士に依頼する利点

更新日:

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

年々、交通事故の発生件数は減少傾向にあります。しかし、2020年は全国で30万9,000件に上り、多くの貴い人命が失われ、身体が傷つけられました。(参考:道路の交通に関する統計「令和2年中の交通事故死者について」

誰でも遭遇する可能性のある交通事故ですが、示談交渉を弁護士に依頼することに慣れている方は少ないでしょう。

この記事では、弁護士の探し方、弁護士に依頼するメリットなどについて解説します。

交通事故に強い弁護士とは

弁護士の取扱業務は多岐にわたり、各々の専門分野で活動しています。

そのため、弁護士ならだれでも交通事故案件を相談、依頼できるというわけではありません。

では、どんな弁護士を探すべきなのでしょうか。

実務経験がある

まず、少なくとも過去に交通事故案件を取り扱った経験のある弁護士がよいでしょう。

交通事故の示談交渉では、保険制度や後遺障害等級に関することなど、交通事故案件特有の専門知識が必要となります。このような交通事故案件特有の専門知識があることが、そのまま強みとなるでしょう。

交通事故を専門に取り扱っている法律事務所もあります。

信頼関係がある

そして、弁護士に依頼するにあたり、自分と弁護士との相性や信頼関係があるかどうかは非常に重要なポイントです。

依頼後の弁護士の対応は、あなたのその後の人生を大きく左右するといっても過言ではありません。そのため、相手方との交渉の前段階で、都合が悪いことも含め、何でも話せる関係が構築できるか見極めましょう。

弁護士探しの方法

近年では、多くの法律事務所が積極的にネット進出しており、弁護士を探す方法も多様化しています。

ネット検索

スマートフォンが普及した現在、ネット検索は手軽にはじめられる方法ではないでしょうか。

メリット:場所や時間の制限なく調べられる。ウェブサイトだけでも多くの知識が得られる。

デメリット:実際に会って相談しないことには、信頼関係を築けるかどうか未知数。

知人や保険会社の紹介

知人や保険会社から弁護士を紹介してもらう方法です。

メリット:自分一人で探すより見つかるのが早い。

デメリット:紹介した知人や保険会社の手前、信頼関係が構築できなかった場合でも解任しづらいなど「しがらみ」の問題がある。

弁護士会の紹介

各都道府県の弁護士会には「弁護士紹介センター」があり、分野ごとの弁護士の紹介を受けることができます。

メリット:弁護士会の紹介による一定の信用がある。

デメリット:予約して弁護士会に出向く多少の時間と手間がかかる。弁護士を選べない。

法テラス(日本司法支援センター)の紹介

法テラスは、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。

メリット:無料で法律相談を受けられ、相談機関・団体等の情報提供を受けられる。一定の条件で弁護士費用の立替えを行っている。

デメリット:手続に時間と手間がかかる。

交通事故を弁護士に相談するメリット

交通事故に遭うと保険会社を通して示談交渉しがちですが、弁護士に示談交渉などを依頼することには数多くのメリットがあります。ここでは、弁護士に依頼するメリットのうち3つをご紹介します。

弁護士基準による算定で慰謝料アップの可能性

交通事故による慰謝料や保険金の計算には3つの基準があります。
自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類です。

慰謝料金額相場の3基準比較

保険会社は営利企業なので、利益を上げるためにできる限り低い賠償額を見積もって提示してきます。

その一方、弁護士であれば過去の判例の損害賠償額に基づいた弁護士基準を用いて算定します。弁護士基準は3つの基準の中でも最も高い金額を算定することができるものです。

交渉事をすべて一任してストレスから解放

仕事や家事をしながら、治療をつづけるのは時間的にも体力的にも疲弊します。この状況に加えて、自分一人で保険会社と交渉するとなると大きなストレスを感じることでしょう。

保険会社は示談交渉に慣れているので、専門用語を使って話をむずかしくしたり、示談内容に納得していないのに言いくるめてきたりすることもあります。

このような状況に不安やストレスを感じているなら、弁護士に示談交渉を一任してしまうことをおすすめします。弁護士に依頼すれば、保険会社とのやり取りをしなくて済むようになるので、ストレスからも解放されるでしょう。

スムーズな示談交渉

保険会社は示談交渉に弁護士が登場すると、保険会社の態度が軟化し、早期にしかも有利な条件で示談交渉が整いやすくなる傾向にあります。

というのも、保険会社は示談交渉がもつれて民事裁判に発展することを危惧しています。民事裁判となれば時間も費用もかかることになり、多くの案件を抱える保険会社にとっては負担となり得ます。

先述の通り、弁護士基準は過去の判例に基づいた金額が算定されるものです。時間も費用もかけて民事裁判を行った結果、弁護士基準の金額を結局のところ支払うことになるくらいであれば、示談交渉で話がまとまるようにしたいという保険会社の思惑があります。

弁護士が介入することで、弁護士基準を実現しつつ、裁判よりも早く解決に導くことができる示談交渉によってスムーズに事が進むでしょう。

弁護士に依頼するのはどんな場合?

では、交通事故後の示談交渉を弁護士に依頼すべきなのは具体的にどんな場合でしょうか。

治療の打ち切りを打診されたとき

怪我の治療をはじめてからある一定の時期を過ぎると、まだ治療が終わっていないにもかかわらず、相手方の保険会社から、もうこれ以上通院しないよう打診されることがあります。

本来、治療を打ち切るかどうかを決めるのは保険会社ではありません。医師の診断や、医師と相談のうえ治療を打ち切るか継続するか決めるものです。

とはいっても、自分一人で対応していると、保険会社が言うままに治療を終了してしまい、必要な治療を断念してしまうケースが往々にして生じます。

弁護士がついていれば、保険会社に対して治療の必要性を説明するなどして、治療打ち切りの回避に向けて交渉してくれます。

慰謝料が低いとき

相手方の保険会社が提示する慰謝料は、自賠責基準や任意保険基準で算出したもので、営利企業として可能な限り低く抑えた金額です。

弁護士に依頼すると、より高額な水準である弁護士基準での再交渉となり、慰謝料額の大幅なアップの可能性が高まります。

忙しくて示談などに時間を割けないとき

仕事や家事に加えて事故後の通院を余儀なくされる状況で、相手方とのやり取りを行おうとすると、多くの時間が奪われます。

方針を固めて弁護士に依頼しておけば、弁護士が相手方とのやり取りを対応してくれるので仕事や治療に専念できます。

後遺症がある

怪我の症状が固定し、これ以上治療しても後遺症が残ってしまうことがあります。後遺症は、後遺障害等級申請し、無事に認定されれば「後遺障害」として扱われることになります。後遺障害は1~14段階の等級に分かれています。

後遺障害等級申請の手続を相手方の保険会社に任せてしまうと、等級認定に有利な証拠や資料を提出できないばかりか、認定後も自賠責保険分の保険金がすぐに支払われないなどのデメリットが多いです。

一方、後遺障害等級認定申請も含めて示談交渉を弁護士に依頼すれば、有利な証拠や資料を収集し、「被害者請求」という手法で申請を任せることができます。

慰謝料の大部分は等級認定の結果に基づいて算定されるため、どのような等級の後遺障害が認定されるかは重大です。したがって、この手続にこそ弁護士の介入を依頼する強い必要性と意義があるといえるでしょう。

示談交渉が遅れている

示談交渉はある程度、損害額が算定できる段階にならないとはじめることができません。特に後遺障害が残るようなケースでは、後遺障害申請ができる段階にいくまで治療期間が長引くことが予想されます。

相手方から交通事故の賠償を受け取るには、時効が成立するまでに示談を成立させなければなりません。

人身事故
(後遺障害なし)
事故発生の翌日から5年※
人身事故
(後遺障害あり)
症状固定の翌日から5年※
死亡事故死亡日の翌日から5年※
加害者不明事故の翌日から20年
 または
加害者が判明したらその翌日から5年※
物損事故事故の翌日から3年

※2017年3月31日以前の事故については3年

示談交渉そのものの期間としては1~2ヶ月程度が通常ですが、時効は示談交渉開始前からはじまっています。
弁護士に依頼すればスムーズな示談交渉が可能なだけでなく、必要に応じて時効を中断する手続きを任せることができるでしょう。

交通事故相談を弁護士にするときの費用相場

弁護士への依頼に多くのメリットがあったとしても、高額の費用がかかるのではないかと、心配されることもあるでしょう。では実際、どれほどの費用がかかるのでしょうか。

費用相場

大きく分けて弁護士費用には、相談料・着手金・成功報酬・日当・実費があります。

相談料は事件を弁護士に個別に相談する費用で、30分ごとに5,000円から2万5,000円が料金として設定されていることが多いです。

着手金は弁護士が事件に着手するためにかかる費用、成功報酬は事件終了時点で弁護士に支払う費用です。多くの場合、経済的利益の額に対する割合で算出されるでしょう。

日当は、交通事故の現場調査・裁判所出廷など、弁護士が事務所から離れて事件に対応した場合に発生する費用です。

実費は、交通費・切手印紙代・振込手数料などの必要経費です。

昨今、多くの法律事務所で見られる交通事故案件の報酬体系は次のとおりです。

  • 相談料:0円
  • 着手金:0円
  • 成功報酬 :相手方からの獲得金額を元に算定
  • 実費:発生分

このように、交通事故に遭って困難な状況にある被害者が依頼しやすい報酬体系となっているため、躊躇せず安心して積極的に弁護士の門を叩いてみましょう。

無料相談を活用する

上述のように、多くの法律事務所が最初の法律相談を無料に設定しています。
ネット検索などを活用して、無料相談を行っている弁護士に気軽に相談してみましょう。

他にも、公的機関が無料法律相談を定期的に実施しており、事前予約した上で相談できます。
ただし、相談した弁護士には依頼できない場合がほとんどであることには注意が必要です。

弁護士特約を利用する

弁護士特約とは、被害者やその家族が加入している自動車保険(任意保険)などに付帯されているオプションで、加害者に賠償請求するための弁護士費用を保険会社に負担してもらえるものです。
一部の火災保険や傷害保険などにも弁護士特約が付いている場合があるので、加入する保険に特約が付いているか確認しましょう。

弁護士費用特約があれば保険会社が弁護士費用を負担する

ほとんどの弁護士費用特約は限度額が300万円に設定されています。

重大案件を除けば弁護士費用は300万円以内で収まることが多く、重大案件の場合は賠償額も大きくなるため、そこから弁護士費用を差し引くことが可能です。

したがって、最終的に被害者が弁護士費用を負担することは極めて稀なケースに限られます。

まとめ

交通事故案件の示談交渉を弁護士に依頼することには、非常に多くの利点があります。

弁護士基準によって最終的に相手方から得られる賠償額が上がることはとても魅力的ですし、弁護士に任せてしまえば保険会社とのやり取りも任せてしまうことができます。

これらの充実した法律の専門家によるサポートを、初期費用なし、自己負担なしで依頼できるケースも多いわけですから、万が一の際には積極的に弁護士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

シェアする

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

あわせて読みたい記事