おかまほられた交通事故の対処方法|過失割合や慰謝料はどうなるか弁護士が解説!

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

信号待ちの停車中などに、いきなり「おかまほられた」ら、どうすれば良いのか混乱してしまうでしょう。まずは落ち着いてケガをしていないか確認し、警察を呼ぶことが大切です。

今回は「おかまほられた」とはどういう意味なのか、事故に遭ったときの対処方法や過失割合、請求できる賠償金額の相場を解説します。

事故に遭って不当な不利益を受けないよう、正しい知識を押さえておきましょう。

「おかまほられた」とは

交通事故に遭ったとき「おかまほられた」と表現するケースがあります。

おかまほられた交通事故は「追突事故」のことです。実はもともと「男色」からきている言葉なので、語源が気になるなら使わない方が良いかもしれません。

追突事故は、交通事故の中でも非常に多いパターンです。車を運転する方や同乗する機会のある方には、誰にとっても他人事ではありません。

おかまほられたときの対処方法や慰謝料などの知識を身に付けておきましょう。

おかまほられたら、まず何をすれば良いのか

おかまほられたら、以下のように対応してください。

ケガの状態を確認する

まずは自分のケガの状態を確認しましょう。強い痛みや外傷がなくても、首のあたりに違和感があれば「むちうち」になっている可能性があります。ケガをしていたら「人身事故」として届け出なければなりません。

警察を呼ぶ

おかまほられたら、必ずすぐに警察を呼びましょう。交通事故当事者(運転者や同乗者)には、警察への事故報告義務があります(道路交通法第72条1項後段)。被害者であっても警察を呼ばねばならないので、注意しましょう。

周囲の危険を除去する

追突事故が発生すると、周囲に金属の破片が散らばったりして危険が発生する可能性があります。また道路の真ん中に事故車両が停まったままでは後続車に迷惑となるでしょう。すぐに車を路肩に寄せて、散らばったものを片付けてください。さらに三角表示板などを置いて後続車へ危険を伝えましょう。

相手の氏名や保険会社を確認

警察が来るまでの間や警察が実況見分を行っている間、事故の相手の氏名や住所、連絡先(電話番号やメールアドレス)、加入している保険会社名などの情報を確認しましょう。特に相手が任意保険に入っていない場合、損害賠償請求は直接交渉となるので相手の情報が非常に重要です。

警察が来たら状況を正確に伝える

警察が実況見分を行っている間、警察へ事故の状況を正確に伝えてください。当事者の説明をもとに「実況見分調書」が作成されるからです。実況見分調書は、後に過失割合について争いが発生した場合などに重要な証拠になります。

病院へ行く

「おかまほられた」被害者は、むちうちになる可能性が高いので注意してください。むちうちとは追突された衝撃で頸椎(首の骨)が歪み、中の神経が傷つくことによる症状です。

その場で自覚症状がないケースも多く、翌日に痛みが発生する場合もあります。できれば事故当日に整形外科を受診しましょう。その日に行けなかった場合には、必ず翌日に受診してください。

病院に行かなかったら「治療費」や「慰謝料」「休業損害」などの賠償金を請求できなくなるおそれがあるので、忙しくても必ず時間をとりましょう。

おかまほられて「ひき逃げ」されたときの対応

おかまほられたとき、加害者が逃げてしまうケースも少なくありません。そんなときには以下のように対応しましょう。

加害者の特徴を記録する

まずは加害者の特徴を記録することが大切です。ひき逃げされたら、警察に報告して捜査をしてもらわねばなりません。その際、相手の特徴がわからなければ探しようがなくなります。

  • 車のナンバー
  • 車の色や車種、年式(古いか新しいか)
  • ステッカーなどの車の特徴
  • ドライバーの性別、年格好、服装など

できるだけ多くの情報を取得して、写真を撮影したりメモをとったりして記録を残してください。

周囲に救助を求める

大けがをして動けない場合などには、周囲の人に救助を求めましょう。「追突事故でひき逃げされた」と伝えます。応急処置をしてもらい、救急車を呼んでもらってください。

警察を呼んで状況を伝える

ひき逃げ犯人を捕まえてもらうには、警察への通報が必須です。必ずすぐに警察を呼んで、到着したら相手の特徴や事故の状況を伝えましょう。

おかまほられたときにやってはいけないこと

おかまほられたとき、以下のような行動をとってはなりません。

立ち去る

「急いでいるから」、「たいしたことがないから」などの理由でその場を立ち去ってはなりません。そもそも交通事故の当事者には警察への報告義務があり、無視して立ち去ると道路交通法違反となります。被害者であっても必ず警察へ報告しなければなりません。

また警察へ報告しないと「交通事故証明書」が発行されず「事故がなかったこと」になってしまうおそれがあります。そうなれば、慰謝料や休業損害、治療費などを請求できなくなる可能性があり、大変な不利益となるでしょう。

その場で痛みがなくても後遺障害が残るほどの重傷であるケースが少なくありません。急いでいても停車して警察を呼び、事故対応をしてください。

その場で示談

交通事故が発生すると、加害者が被害者へ「警察を呼ばないでこの場で示談してほしい」と頼んでくるケースがあります。加害者としては、警察を呼ばれたら運転免許の点数が加算されますし、刑事事件になる可能性もあるためです。

しかしその場で示談してはなりません。そもそも、事故現場では「どの程度の損害が発生するのか」が不明です。もしかして、予想外に重傷かもしれません。後に重大な症状が出てきたとき、先に示談していたら追加の賠償金を請求できなくなるおそれがあります。

後に保険会社へ保険金を請求しようとしても、当事者同士で話し合ってお金の受け渡しがあると混乱が発生し、保険金支払いを拒否されるケースもあるのです。

その場で示談しても、被害者には何のメリットもありません。加害者から頼まれても絶対に応じないようにしましょう。

おかまほられたときの過失割合

おかまほられた追突事故では、お互いの過失割合はどのくらいになるのでしょうか?

基本は100:0

おかまほられた場合の過失割合は、基本的に追突車両が100%、追突された車両が0%です。

道路交通法を守って停車していた前方車両には何の責任もありません。

過失割合が修正される場合

前方車両が急ブレーキを踏んだために追突された場合には、前方車両にも30%程度の過失が認められ、追突車両の過失割合が70%となります。

高速道路の場合

高速道路上では、「最低速度」がありすべての車両が一定以上の速度で走行しなければなりません。前方車両が停車していた場合には、前方車両に高い過失が認められます。

高速道路上でおかまほられた場合には、追突車両の過失割合が60%、前方車両の過失割合が40%となります。

おかまほられた場合に請求できる賠償金は?

追突事故でおかまほられたら、以下のような賠償金を請求できる可能性があります。

  • 治療関係費(治療費、薬代、交通費、付添看護費用、雑費)
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)
  • 物損(車の修理費用など)

どのような賠償金が発生するかはケースによって異なります。賠償金の種類や適正な金額を知りたい場合には、弁護士に相談しましょう。

おかまほられた場合の慰謝料相場

人身事故の被害者になったら、相手へ慰謝料を請求できます。

実は交通事故の慰謝料には、以下の3種類があります。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

それぞれの相場をみていきましょう。

入通院慰謝料の相場
入通院慰謝料は、ケガをしたときに請求できる慰謝料。後遺障害がなくても請求可能です。おかまほられてむちうちなどになったら、入通院慰謝料を払ってもらえると考えましょう。

通院3ヶ月軽傷なら53万円程度
通常程度のケガなら73万円程度
通院6ヶ月軽傷なら89万円程度
通常程度のケガなら116万円程度

※弁護士基準で計算

後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残った場合に支払われる慰謝料です。ただし自賠責保険で「後遺障害等級認定」を受けなければなりません。

追突事故でむちうちになった場合、12級が認定されたら290万円程度、14級となった場合には110万円程度が相場となります。

12級290万円
14級110万円

※弁護士基準で計算

死亡慰謝料の相場
死亡慰謝料は、被害者が死亡したときに請求できる慰謝料です。被害者が一家の大黒柱であれば2,800万円程度、配偶者や母親の場合には2,500万円程度、その他のケースでは2,000~2,500万円程度となるでしょう。

一家の大黒柱2,800万円
配偶者や母親2,500万円
その他2,000~2,500万円

※弁護士基準で計算

おかまほられたら弁護士に相談すべき理由

おかまほられた交通事故では、必ず弁護士に依頼するようお勧めします。

保険会社が示談交渉を代行してくれない

被害者の過失割合が0%の交通事故では、保険会社は示談交渉を代行してくれません。被害者が自分で加害者の保険会社と話し合わねばならないので、不利になりやすい傾向があります。

弁護士に依頼すれば、法律論に従って相手に適切な金額の賠償金を請求できます。不当にを減額されるおそれがなくなり、安心できるでしょう。

賠償金がアップするケースが多い

被害者が保険会社と示談交渉をするときには、低額な「任意保険基準」で賠償金が計算されます。その結果、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などの各種賠償金が大きく減額されてしまう例がほとんどです。

一方、弁護士に依頼すれば高額な弁護士基準が適用されるので、賠償金額が大幅に増額されるケースが多くなっています。

まとめ

「おかまほられた」ときには、すぐに警察を呼んで冷静に対応しましょう。保険会社が示談交渉を代行してくれないケースが多いので、早めの段階で弁護士に対応を依頼するのが得策です。

追突事故で「むちうち」になると通院が長期化する傾向があり、保険会社とトラブルになる例も。困ったときには交通事故に詳しい弁護士へ相談しましょう。

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監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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