後遺障害等級2級の慰謝料(具体例)

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で重傷にあい、治療のかいなく2級の後遺障害・後遺症を負ってしまった場合、慰謝料をどの程度請求できるのか、後遺障害の種類ごとに調査してみました。

随時介護が必要であれば2級になる!?

2級の後遺障害と認定してもらえる基準は何ですか?

随時介護が必要な状態になると2級の後遺障害に認定されるよ。高次脳機能障害で2級に認定されることが多いね。

随時の介護が分かりにくいですが、他人の支えなしには生活できないってことですね。

交通事故の後遺障害の認定にあたっては、原則として障害の残った部位や程度によって等級が判断されます。しかし、1級と2級の場合は例外的に、介護の必要性の程度によって等級が判断されるそうです。

神経、精神、胸腹部の機能に著しい障害を残し、随時介護を要する状態の場合には、2級の後遺障害が認められます。

食事・入浴・用便・更衣等の身の回りの処理に随時介護を要する場合だけでなく、認知症により随時監視を要する場合や、外出時に限って介護を要する場合も含まれるみたいです。

この類型の2級の後遺障害に当たる例として最も多いのが高次脳機能障害だそうです。高次脳機能障害とは、外見上は一般人と変わらないものの、脳損傷が原因で人格が以前と変わり、記憶力が乏しくなるなどの症状があり、症状の程度によって等級も変わってきます。

高次脳機能障害以外の場合でも、記憶障害や行動判断能力の障害などにより、随時介護が必要な場合も2級に当てはまるようです。

<別表第1の2級の後遺障害>

概要

神経系統・胸腹部の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

認定基準

生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、随時他人の介護を要する状態
●食事・入浴・用便・更衣等の随時介護
●高度の認知症・情意の荒廃で随時監視を要する場合
●自宅内の日常生活は可能だが、外出時に他人の介護を要する場合

高次脳機能障害

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができない

脊髄障害

●中等度の四肢麻痺
●軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等の随時介護を要する
●中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等の随時介護を要する

呼吸器

以下のいずれかに該当し、随時介護を要する
●動脈血酸素分圧が50Torr以下
●動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下で動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲を逸脱する。
●スパイロメトリーの結果が%1秒量≦35または%肺活量≦40であり、呼吸困難のため連続して100m以上歩けない

その他

●記憶障害・遂行機能障害・自発性低下
●記銘力障害・行動判断力の障害・見当識障害

どういう後遺症が2級になるの!?

どういう症状があれば2級になるんですか?

随時の介護が必要とまではいえなくても、失明や両手の切断などがあれば、2級と認めてくれることがあるよ。

両手の切断!?失明!?被害者の苦痛は想像を絶しますね。

介護の必要性で等級を判断する場合とは別に、どこの部位にどの程度の後遺障害が残れば、2級と判断してもらえるのでしょうか!?

まず、眼の後遺障害でいえば、片眼が失明し、もう一方の矯正視力が0.02以下になった場合か、両眼ともに矯正視力が0.02以下になった場合が2級に当たります。

また、両腕を手関節以上で失った場合や、両脚を足関節以上で失った場合にも、2級に当てはまるそうです。

随時の介護が必要かどうかについては評価が分かれる場合でも、形式的にこれらの要件を満たせば2級と判断してもらえるとのことです。

<別表第2の1級の後遺障害>

概要

認定基準

眼の障害

1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの ●失明とは以下の場合
a眼球を摘出したもの
b明暗を感じることが不可能または困難なもの
●視力は矯正後のもの
両眼の視力が0.02以下になったもの

上肢の障害

両腕を手関節以上で失ったもの

下肢の障害

両脚を足関節以上で失ったもの

2級の後遺障害慰謝料の相場は!?

2級の後遺障害の慰謝料相場はどれくらいですか!?

相場は2370万円だけど、被害者や家族が保険会社に請求してもこの金額を払ってもらえることはほとんどないんだよ。

2級の事例でさえ、保険会社は金額を値切ってくる世界なんですね。

2級の後遺障害が残った場合、生涯にわたって深刻な障害とともに生き続けなければならないので、加害者や保険会社からは相応の慰謝料を補償してもらわなければなりません。

2級の後遺障害慰謝料の基準は、自賠責基準任意保険基準弁護士基準の3種類があるといわれています。自賠責基準は、自賠責保険から給付される必要最小限の補償にすぎないので、以下の表のとおり低い水準となっているそうです。

一方、任意保険基準では、本来は法律上支払い義務のある慰謝料を支払うべき保険会社が、被害者との任意での示談交渉であることをいいことに、相場よりもかなり低い金額で慰謝料を提示しています。

裁判で認められる相場を示す弁護士基準では2級の慰謝料相場は2370万円とされていて、他の基準に比べて1000万円以上高い水準にあります。

弁護士基準での慰謝料を払ってもらうためには、弁護士に依頼した上で保険会社との交渉を行うことが必要不可欠らしいです。

弁護士に依頼すれば、本人だけで交渉する場合に比べて、慰謝料額だけでも1000万円もアップするというから、2級の後遺症事例では弁護士に相談して交渉を依頼する必要がありそうです。

これまでにアトム法律事務所が扱った事案における2級の解決実績については「2級の解決実績一覧」のページでご確認いただけます。

アトム法律事務所では、LINEを利用した無料相談を行っていて、LINEに友だち登録すれば、24時間いつでもどんな内容でも気軽に弁護士に質問できるそうです。

(まとめ表)

2級の後遺障害慰謝料

自賠責基準

●別表第1の場合:1163万円(被扶養者がいるときは1333万円)
●別表第2の場合: 958万円(被扶養者がいるときは1128万円)

任意保険基準

1120万円(父母、配偶者、子のいずれかがいる場合は1400万円)

弁護士基準

2370万円

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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